出会い
父、荒木 雄太はその父から受け継いだ小さな会社を大きくして、忙しくしているようだ。その割には週末のゴルフは欠かさないみたいだが。
母、荒木 亮子は同じ大学の同級生で父の会社で一緒に働いていたが、今は俺の為に長期の産休を取っているようだ。前世で母を早く失っている俺には母の記憶がない。母親というものはいいものだ。
代々受け継いだ家は古いが敷地は周りの家の2、3件分はある。離れもあるし掃除が大変そうだ。
言葉は徐々に覚えた。いや、俺の感覚では徐々にだが、一般的には驚異的な速度だろう。
そしてこの世界についても(俺の感覚では)徐々にではあるが理解していった。
この世界は剣や魔法の世界ではなさそうだ。
その代わり科学技術が発展していて、スイッチひとつで明かりがつくし、車や飛行機なんてものもある。
TVは楽しいが、勇者が魔王を倒すだと!んなばかな話があるかっ!!
そんな俺だが、成長とともにHPをMPに変換して使い切るのが厳しくなってきた。
というかステータスを見ることができないこの世界で限界までHPを消費するのは、動き回れるようになって転んで怪我などした際に危険が伴う。
そう感じ始めた5歳のころ、俺と同じ年の娘とその2つ下の妹を持つシングルマザーが住み込みのメイドとしてやってきた。
母親は宮島 美恵、姉が美佐、妹が美樹というらしい。3人は離れに住み、美恵さんに家事をまかせ、母は復職するらしい。
美恵「おぼっちゃま、娘ともどもよろしくお願いしますね。」
美恵さんは、化粧っけはないのにシミひとつない肌、口元の妖艶なほくろに、たれ目ぎみの慈愛に満ちたまなざし、言葉では言い表せない豊満な胸にぐっと締まった腰つきに安産型のお尻に届く長い黒髪、2人の娘を産んだとは思えない若々しい美貌を持った魅力的な女性だった。とりあえず今後、魅了は優先的にかけよう。
娘の美佐や美樹も成長したらこんな美人になるのだろうか?今後、この2人にも魅了は優先的にかけよう。
というか人族なのに美恵さんの美貌はおかしいんじゃないかと思う。
もしかして美恵さんはアリッサの転生じゃないか?そうとでも考えないと不思議な美貌を持っていた。
そうだろう?俺が転生してるんだから他に転生者がいないとは限らないし、死んだ時期が一緒だとしても同じ年に転生するとは限らないだろ?
まぁ、その可能性はほぼないと思うがな。
アリッサとは違い、美恵さんは仕事以外は基本おっとりとしている。常に攻撃的なアリッサとは正反対だ。
万が一に備え、美恵さんがアリッサの転生だとして魅了を阻害されても、娘には効くかもしれないのでいざと言う時の保険のためにも念入りに魅了しておこう。
俺も前世の失敗で学習したのだ。魔族の名言にもあるじゃないか。
「将を射んとする者はまず騎竜を射よ」
元々効くかどうかも判らない力だけど。
それにしてもこんな美人が住み込みのメイドだなんて、もしかして父の愛人か?姉妹は異母兄弟なのか?と一瞬疑ったが、母の様子に変化はないし、なにより父は母一筋だ。
というか高校まで男子校出身だった父は大学で知り合って結婚した母以外の女性が苦手らしい。
父に連れられて散歩に行き、帰りにコンビニに寄った際、父が妙に緊張しているのでなぜかと聞いたら、こっそり教えてくれた。仕事では平気だが、それ以外で女性と接するとなるとたとえ店員さんでも緊張してしまい「お弁当を温めてください」程度もしゃべれないとのことだ。
父よ、女性耐性が低すぎないか?。
まぁ母も美恵さんほどではないが普通に美人だ。大事にしろよ。
やっとウハウハできるぜ