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魔族の王子の死

 「ねぇリード、まだできるだけのMPがあるんでしょ?もっと、お願い♡」アリッサが似合わない甘い声をだす。

 「MPの話、どこから聞いた?」

 「うふふ。女の情報網を甘く見ちゃダメよ。」

 「迂闊なことは言えないな。」


 リードはアリッサ主導で3戦を終えて、彼女の豊満な胸に抱かれつつ、心地よい疲労感とともに眠りについた。



 グサッ!

 「ぐぅっ」



 リードは突然胸に激痛を感じる。目を開けるとアリッサがリードの胸から引き抜いた血が滴るナイフをなめながらリードを冷ややかな目で見つめている。


 どんどんHPが減っていく中、胸をから流れる血を手で押さえ魔族ならではの生命力でなんとかベッドから這い出るが、出口は裸のアリッサが立ちふさがり逃げることはできない。


 「逃がさないわよ。苦しみながら死になさい。クックックッ」


 足元には血だまりが。そしてベッドまで血が滴っている。


 「衛兵!ゴホッ、衛兵はどうした!!ゴホゴホッ」リードは肺にはいった血の痛みに苦しみながらありったけの声で叫ぶが、ドアから入ってきたのはにやにやと笑うアランとその取り巻き達であった。


 アリッサは裸体を隠すこともなくアランの肩にもたれかかる。


 「そういうことか。」

 リードは察する。


 「アリッサ、なぜだ?いつからだ!どうしてだ!?」


 「言ったでしょ?私、負ける賭けはしないの。いつからってそんなの最初っからに決まってるじゃない。私のお父様は今ではアラン派よ、バカね。あなたを支援していたおじい様が生きていたらまた違ったかもしれないけどね。」


 クスリと笑うアリッサが続ける。


 「あ、そうそう、あなたの魅了だけど、わたし魅了が効かないスキルもってるの。残念ね。

 私としてはMPが足りなくて1回もセックスできない童貞のアランよりあなたの方がずっと良かったんだけどね(笑)」


 アランが「よ、余計なことを言うな!」とアリッサを突き飛ばしす。そして取り巻きのベルムとかいった男に目配せする。

 すると、うなずいたベルムは剣を抜きアリッサを切りつけた。


 カロルが言っていた村長に会っていた男だ。こいつは自分の判断でなにかをするということはない。ひたすらアランの言いなりになる忠実な僕だ。つまり最初からアリッサを殺す気だったということだ。


 「な、なぜ私を…」

 「ふっ、お前なんぞただの捨て駒だ。お前の父親も了承している。というか最初からお前を捨て駒にするために育てたんだとよ。バカな女だ。ブワッハハハハッ」


 アランが斧でアリッサにとどめを刺す。


 「さて、次期魔王殿下、意外と兄上も甘いようで。戦いとは常に二手三手先を読んで行うものですよ。

 まさか、そんな必要はないだろうとは思っていたのですが、念のためにアリッサを仕込んでおいてよかったですよ。」


 アランを先頭に歩み寄る男たち。


 「さて、あなたにも死んでもらいます。戦闘系スキルもないのに分をわきまえないからいけないのですよ。

 あなたはいい兄であったが、後継者にあなたを選んだ父上がいけないのだよ…ブワッハハハハッ」と言うや否や、取り巻き達がリードを殴り殺した。


 「魔王になるのは私だ!ブワッハハハハッ」

ふぅ~。次から第二章。やっと転生できます。


ブックマークと、面白いと思った方は☆5つ、つまらないと思ったら☆1つつけていただき、できればここがよくなかったなどご意見・ご感想いただけると幸いです。


'22/1/14 6:00に2話目を挿入していますが、あとで出てきますので読み直す必要はありません。


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