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第一章 五十六




 心配げにドレイクを見る美神光葉をエクレールは舌打ちし、美神光葉を睨み据えていた。


 ──気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない……………………。


 エクレールは、負の感情をただ漏れにし、美神光葉に対して敵愾心をあらわにする。


 ちょっとでも裏切るような動きを見せた場合、電撃を与えて動けなくなったところを捕縛して、知っていることを洗いざらい吐かせてから、無理矢理にでも〈錬成異空間〉から脱出口を開けさせようと虎視眈々と狙っていた。


 精神的に余裕がないエクレールには、冷静に考えることが出来ないでいた。少し経てば、冷静に物事を考えられるのだが、それでも美神光葉への敵愾心が消えるわけではない。


 自分の前を歩き、数分前までは拉致しょうとしていた清神翼の横で笑っていられる神経がエクレールには理解ができない。ドレイクに熱視線を向ける意味も。


 それに、間者のくせに先輩、上官として上から目線で来られることが気に食わないでいた。事実、美神光葉は先輩で上官にあたるがエクレールの癪に触った。


 その矢先である。


 ふと、精神的余裕が訪れた。


 これまで溢れそうなくらい縁まで注がれていた水が誰かが飲み干され水が減ったことにより、余裕が生まれるが如く、エクレールに冷静に考える余裕が生まれる。


 わたくしは一体何を? といった我や記憶を忘れたわけではない。これまでのことはちゃんと覚えているし、基本的に美神光葉のことが気に食わない。


 冷静な判断ができる余裕が生まれたエクレールは、すぐに現状を考えて、後方を警戒をする。


 その瞬間。


 一際強い風が吹いた。


「!」


 風の中に、明らかな異音が混じり、エクレールが驚いていると、美神光葉も気づいたようで、咄嗟に身を低くして周囲を警戒する。


 美神光葉はすぐに清神翼、ドレイク、エクレールに警戒しろと合図をする。それに指図されたかのように感じてエクレールは苛立ちを覚えたが、緊急時の行動で間違いはない。ドレイクも聞こえたようで、まだ何もわからない清神翼を連れ立って、近辺にあった建物の横に身を隠した。


「何かあったんですか……?」


「しー」


 翼の問いに、ドレイクは答えず、人指し指を口元を封じるように立てて、静かにするように合図を送る。敵に悟られる恐れがあるため、こういった状況化では、なるべく小声もしくはジェスチャーで伝えるのが鉄則である。


 ただ、ドレイクのシーという合図だけで、何か起こっていることを理解した翼は黙った。エクレールは不慣れながらも戦場慣れして来たな、と翼を見た後に、建物の横から顔を出して辺りを窺うと、五十メートル程離れた建物の屋上に、奇妙な人影があった。


 その影は、緋色の和服を身に纏っていた。巫女装束風であるが少し花魁が着るような和服でもある。小柄で、五歳ほどの幼い少女のような幼い可愛らしい顔立ちにもかかわらず、蠱惑的と呼びたくなる雰囲気を持っており、煙管をふかしそうな出で立ちである。


 黄金に妖しげに輝く異形の二つの眼。腰まで長い髪も眼と同じ黄金。そして、極めつけは頭にある尖った狐の耳とモコモコとした毛並みであることは遠目ながらもわかる九本の狐の尻尾だろう。九尾は大きく、そして多すぎる。そのためか、小さな躰から隠すことができずにはみ出している。今すぐにでも飛びついてモコモコとしたいという衝動を起こしてしまうほどに、毛並みが豊かにゆさゆさと動いている。


 エクレールは、ハトラレ・アローラにああいった種族がいたことや、学び舎で通ってた頃に、同じクラスにいたことを思い出す。


 ──あれは確か、妖弧でしたわね……。


 妖弧。


 妖弧は龍人とは違い、精霊や妖怪に近い存在である。幻術や呪術が得意とされた種族だ。魔力よりも妖力を持ち、年を経て妖力を増すことにより尻尾が増えていき、最終的には九本まで増えるといわれている。


 だとするならば、ビルの屋上で佇む妖弧は、強力な妖力を保持していることになるだろう。


 人間界──特に中国や日本に伝わる伝承では、吉兆をもたらす神獣とされる場合と、人を惑わす妖怪とされる場合がある。彼らにとって、エクレールたちにとって吉凶のどちらをもたらす存在なのか。


 エクレールはドレイクと同じように、妖弧がどう動いてもいいように瞬きすらせず、油断なく三尖両刃刀を構えている。


 すると。


 からん、と下駄の音を響いた。


 その刹那。


 前触れもなく妖弧は、その場から姿を消し、エクレールたちの前に降り立った。


 相手がどう出てもいいように、エクレールとエクレールは最大限体内の魔力を高める。美神光葉と清神翼は、二人とは違う反応を示す。


 見知った顔を見るかのような表情で二人は妖弧を見ている。それにドレイクは気づき、問おうとした時に、美神光葉の口が開く。


「え……あなた、何故ここに?」


 そう口にして、目の前に降り立った妖弧はニタリと微笑んだ。


「およそ五年────いや、詳細に語るのならば、まだ五年は経っていないのう。あの日はお盆じゃったから四年と十一ヶ月くらいじゃな。二人とも一日か二日ばかりか日にちや時間差は多少はあるが…………まあ、そのくらいぶりの邂逅じゃな。美神光葉に清神翼」


 古風な話し方で話してから、ペコリと頭を下げる。


「玉藻前じゃ。久しぶりの下界じゃからお手柔らかに頼むぞ」


 悪戯を思いついた子どものように妖弧────玉藻前は嗤うと、右手を翳した。


 すると次の瞬間、虚空から光り輝く錫杖が現れた。豪奢な装飾が施された上部には、丸い鏡があしられており、横には羽根のような衣が取り付けられている。


 錫杖を手にした玉藻前は、それをドレイクに向けると、


「さてと、これでも水無月山では護り神だったからのう。それなりに戦いを潜り抜けたこともあった身じゃ。そちらとは違い、戦い慣れはしておらんがな」


「では、交渉しょうということか。にしては、好戦的に感じられたのだが」


 ドレイクは、戦斧を構えて言った。


 それを玉藻前はおかしそうに嗤う。


「そうじゃな。どちらか言えば戦いたくはない。戦ったとして、一対四ではちっと不公平じゃなかろうか。まあ、四人のうちの三人に関しては戦力外じゃろうがな」


 玉藻前は、清神翼と美神光葉とエクレールを一瞥し、戦力外と言った。


 確かに、人間である清神翼では妖弧である玉藻前に勝てる見込みはないだろう。麓々壹間刀をドレイクに預かられている美神光葉は、魔力の消費量が少なくなりつつある。武術だけで玉藻前を倒せるかどうかは戦わないとわからないが、素手で勝てるような相手ではないことは窺える。


 極めつけは、エクレールである。龍族の上位種である金龍族の彼女は、十分に戦力になるだろうが、それは魔力の消費量が芳しくなく、精神的負担は大きくない状態の彼女だった場合に限る。現在は安定しつつあるが、ジェットコースターのような精神的な波はまた起こるかもしれない以上は、無理して戦わせるわけにはいかないだろう。


 よって、玉藻前と戦えるのはドレイクだけだ。


「ほう。どうしてそう思う?」


「簡単なことじゃ。妾には朱雀と同等の見透す力を持っている。これでも護り神をやっとからのう」


「つまり見ただけでわかったと?」


「そういうことじゃ。まあ、一人だけは、戦力外というか。戦力にはなり得るが、今は戦いたくとも戦えない状態のようじゃが、安心せい。時期に、その時は来るじゃろから」


「どういう────」


「その前に邪魔者は立ち去れ!」


 ドレイクの言葉を遮るかのように、玉藻前は目にもとまらぬ速さで錫杖を振るった。


「光激波!」


「うわぁ!」


 驚き身を竦めた翼の脇を衝撃波が通り過ぎて、エクレールの背後から迫っていた影を吹き飛ばした。


 玉藻前は自ら放ったそれを追うように影に一気に肉薄して、錫杖を振るう。およそ五十もの衝撃波を伴う一撃を影に喰らわすと、影はふらつく。


 ふらつく影を見て、清神翼は顔を恐怖に、ドレイク、エクレール、美神光葉は忌々しそうに歪ませた。


「……ラスノマス!」


 全長二メートルから、百八十センチ程度に縮んでおり、十五、六歳程の美青年になっていたが、禍々しい気配と特徴的な三白眼といった面影により、ドレイクたちはラスノマスと見抜いた。


「…………く、糞……、何故……わかったのだ?」


「まさかあれで気配を消したつもりか。とんだうつけ者よ。そんな憎悪と怨念と殺意をただ漏れにしてよく言う。そこまであの人間の少年────いや、人間全てか。そんなに人間が憎いのか。まあ、そんな負の感情でまみれた気配にまみれた貴様など、妾にとって目を使わずともわかる」


 玉藻前は、憎たらしげに顔を歪むラスノマスを睨み据える。ラスノマスの手には剣が携えていた。触れなくとも侵されてしまいそうな瘴気と強毒にまみれた剣である。


 玉藻前、ドレイクたちは油断なく武器を構えながら言う。


「ラスノマスよ。何故、ここにいる?」


「愚問だな。わしがここにいて何が悪い。この〈錬成異空間〉は【創世敬団ジェネシス】によって、開かれたも同然だぞ」


「そう言ってますが、どうですの美神光葉さん?」


 エクレールはすかさず美神光葉に訪ねた。エクレールが美神光葉に声をかけて、ラスノマスは美神光葉がいることに気づいたのか、一瞬だけ驚いた表情を浮かべる。


 しかし、すぐに狡猾な微笑みを向けた。


「いたのか」


「いましたけど……」


「わしを裏切っといて、よく顔を見せたのう」


「勝手に現れて、勝手に見たのはそっちでしょう……」


「どちらも眼中にはなかったということですわね」


 美神光葉とラスノマスの会話を聞いたエクレールは肩をすくめる。


「眼中にもないとは、悲しいものじゃな。消えてしまいたくなったじゃろ。妾が跡形もなく消してくれよう。貴様がいては、邪魔なだけじゃからな」


 玉藻前は錫杖を持っていない左手を頭上に掲げる。左掌から厳かに黄金に光ったかと思うと、強烈な光線となって、ラスノマスに向かって放射された。


 ラスノマスは〈結界〉を展開させて、防ごうとしたが急な悪寒を感じて、咄嗟に右横に避けた──


 その瞬間。


 ドレイクたちの視界が、黄金に染まった。


 空が割れるかのような音が辺りに響き渡り、玉藻前が放った光線は、妖力の波がラスノマスが先程まで立っていた場所を通り抜け、後方にあった建物の全てを、延長戦上に存在したものを一切合切粉砕していった。ビル等の建物。その下に広がる地面。さらにその先に広がる街並み。そして、視界の奥の奥に見える山々に至るまで。


 一瞬にして、消失した。


 その光景に、ラスノマスだけではなく、ドレイクたちも言葉を失った。玉藻前が放った光線は左掌に収集された際、ドレイクたちは延長戦上にあった建物を地面ごとは消失するほどの力を感じられなかった。勿論、街並みやその奥に見える山々に至るまで妖力の光線により消えるだなんて予想だに出来なかったために呆然とするしか出来ない。


 ドレイクたちからの右横斜め前方にいた光線を放った張本人である玉藻前は、ちっと強すぎじゃったな、と悪戯っ子のような微笑みを浮かべている。


「……な、なぜ……、放つ寸前までは何も感じなかったのにかかわらず、あのような威力がある…………」


 玉藻前の光線に危うく消失さるかけそうになったラスノマスは恐怖し、戸惑いながらも震える声で玉藻前に聞いた。


 恐怖で震えて立てない、せっかく若返り、美青年に生まれ変わったにもかかわらず、生まれたての小鹿のような姿のようになっているラスノマスを玉藻前はおかしそうに笑う。


「こーんこんこんこん……! ものの見事な不様な格好じゃな………。愉快じゃ愉快! こんなに腹を抱えて笑ったのはいつぶりじゃろか」


 こーんこんこんこん、と玉藻前は妖狐らしい笑い声を上げて腹を抱える。


 ラスノマスは、顔を真っ赤に染め上げて屈辱に口を噛みしめた。


 ひとしきり涙を流して笑った玉藻前はどうにか収まめて、ようやく口を開く。


「……は、恥ずかしいところをお見せてすまないが、まあ……それを詫びて教えてやろう」


 そう言いながら、威厳を取り戻そうと居住まいを正す。


「妾の妖力は、神聖を帯びている。護り神として水無月山で奉られた妾の妖力は、既に陰の力ではない。もはや神と同等────いや、神そのものの力なのじゃ。要するに、人間の信仰心が妾を神として神聖を帯びたのじゃよ」


「そんな莫迦な……」


「人間たちに恨みを抱く貴様にはわかるまい。人間たちに信仰心は、時には力となって、ただの妖怪を神となるのも可能ということじゃよ。まあ……どちらかといえば、妖力だけを備わっていても陰の力に群がってくる輩がわんさかといるから、信仰心を抱く人間たちを護るにはそれを排除しなければならんから、どうして陽の力が必要だったからに過ぎないがな」


 玉藻前は前半は神らしく厳かに言い、後半は神の台所事情を吐き出した。多分、後半が本音だろうとドレイクたちは何となくわかった。


「そんなこんなで陽の力を身につけた妾の力が陰の力が強い魔力など、そのくらいの力で十分じゃ。特に瘴気と強毒のかたまりである貴様など、当たったらひとたまりもないじゃろうがな」


 ニヤリ、と神らしくない悪魔的な微笑みを浮かべた玉藻前は、再び左手を頭上に掲げた。


「ひぃ!」


 ラスノマスは玉藻前が左手を受けただけで恐怖に慄いた。


 “陰”と“陽”は決して、混じること出来ない。全てのものは陰と陽で構成されている。光があれば闇がある。昼と夜。太陽と月。男と女。乾と湿。剛と柔。動と静。光と影。天と地。生と死。興隆と没落。栄華と衰弱……等、世界の全ては表裏一体であり、対極に出来ている。陰と陽は決して相容れるものではないが、決してそればかりではない。陽極まれば陰となり、陰極まれば陽となる。陽と陰が極端に続くわけではない。それが循環の法則である。


 ラスノマスの司る力は、瘴気と強毒である。それらは陰の力だ。加えて魔力は陰よりである。対して玉藻前は、妖力は陰の力では違いないが、人間の信仰心によって神聖という陽の力を手に入れている。陽極まれば陰となり、陰極まれば陽となる、といった法則を無視した力だ。


 本来であれば混じり合うことはあり得ない陰と陽が、玉藻前の中で存在している。人間の信仰心だけではそうならないはずである。


 ドレイクは思い至った。ラスノマスも気づいたのだろう。玉藻前が陰と陽の力を得られた理由を。


「……き、貴様……もしや、神聖ある人間か神のどちらかのと狐妖怪の間の子か?」


「ほう」


 玉藻前は感心したように笑う。


「よくわかったな。妾の父上は、妖狐の大将じゃが、母上は名は知られていない神界の者じゃ」


「そうか。陰と陽は決して混じり合うことはできない。ただの妖狐の分際で、人間の信仰心を受けただけで神聖な力を得るわけはない」


「そうじゃな。陰の存在である妖弧が、信仰心だけで神聖の力を得ることはあり得んからな。まあ……妾の成り立ちを知れば窺い知れるがな。手がかりが少ない中でよくぞわかったと手離しで誉めてやりたいが────先程、妖弧の分際と言ったことに少しばかりか気に障った」


 玉藻前の表情や声音を冷淡なものに変えた。


 左掌に陽の力を収束させながら右手に持つ錫杖を頭上に掲げる。錫杖の先端にある鏡から厳かに黄金に光り出す。


「次、転生する際は、差別せぬ誰だろうと相手を見下したりしない者になることを願うぞ」


 そう言って、玉藻前は左掌と錫杖の鏡から光線をラスノマスに向かって放射した。


「くっ……」


 ラスノマスは咄嗟に右横に魔方陣を展開し、飛び込んで姿を消した。魔方陣を潜り抜けた零.零五秒差でラスノマスが先程までいたところを玉藻前が放った光線が一切合切粉砕して通り抜けていった。


「逃げたのう。口先だけの奴に限って、敗ける相手には尻尾を振りやすいのう。まあ……この場合は、尻尾を振って逃げるじゃが」


 玉藻前はラスノマスが開いた魔方陣を蔑んだ視線で一瞥し、ドレイクたちに振り返る。


「さてと、話の続きじゃ。といっても、まだ話す段階でもなかったが……お、そういえば確認するのを忘れたのう」


 冷淡な表情を暖かいものに変えて微笑む玉藻前は、ドレイクに目を向ける。


「そちがドレイクか?」


「ん……ああ」


 ドレイクは自分の名前を玉藻前に口にしたことに驚きながら答えてしまった。まだ敵味方もわからない者に名を訊ねられて頷けるほどの信頼感は玉藻前にはないというのに。


 自分の行動に驚きを隠しきれないドレイクに玉藻前は殊更おかしげに笑う。


「何じゃ何じゃ。その呆けた顔は。まあ……仕方のないことじゃな。拒まれても面倒じゃがのう。申し訳ないがこちらからの問いには絶対に答えるように術をかけた。こちらも答えられるところは答えてやるつもりじゃからな。どちらか一方的にはせぬから安心せい」


 そう言ってから、玉藻前は清神翼に目を向けると、懐かしそうに微笑んだ。


「清神翼か?」


「え……は、はい」


「おっきくなったのう」


「…………え? ……は、はい…………」


 玉藻前の次に口にした言葉に清神翼は戸惑った。


 確かに、清神翼は玉藻前を知っている。知っているが、それは気絶している最中、夢の中で出会った大男に見せられた過去の記憶というもので出会っただけに過ぎない。


 二メートルもある長身。ボディビルダーのような筋骨隆々な身体を美しい黄金のスケール・アーマーに似た装甲で纏っていた低めで渋いダンディな男のような声音を響かせて、一見は外国人と変わらない出で立ちである大男。未だに彼の正体はわからない。夢の通りならどこで習ったのか完璧で流暢な日本語を使いこなす彼の正体は────


 そこまで思考して清神翼は、玉藻前がいつの間にか眼前にいることに気づく。夢で見た過去のこと、大男のことについて没頭して玉藻前が近づいてきたことに気づかなかったのかと考えたがそうではない。


 ドレイクたちも接近した玉藻前に驚いた顔を浮かべて、警戒態勢を取っている。


 亜人の動体視力は人間の数倍を持っている。種族ごとに様々だが、ただ単に移動しただけならば、動きを読むことが出来るのだが──


 何の前触れもなくその姿が虚空へ消えて、翼の前に顕れた。


 それは玉藻前は何の術式も使わず、亜人の動体視力をもってしても捉えられない速度で移動してきたことになる。


 エクレールはシンと対面した時よりも速く、目の前に顕れた玉藻前に驚きを隠しきれず、あの時がトラウマとして蘇った。


 美神光葉はシンよりも速く目の前に顕れたことに目を見張る。


 目算、という言葉は目で見て速度を測れない場合は使えないが、これまで見てきた相手よりも速い。特にもっとも速く移動できる者────シンと比較した結果、玉藻前は美神光葉が知る限りシンよりも速いと至った。


 玉藻前は、清神翼を真っ直ぐに覗き込むようにして見ながら口を開く。


「何じゃそのうっすい反応は……。もしやまだ記憶が戻っておらんのか?」


「え……まあ、はい……すみませんでした」


 清神翼が頷くと、玉藻前は酷く残念そうに項垂れた。そのあまりにもその姿が痛ましく感じた翼は何だか申し訳なくなり謝った。


「別に構わぬ。記憶を思い出させることができんなかった“奴”の力不足のせいじゃからな」


 玉藻前はそう言って、再び覗き込むように視線を向ける。その視線は翼を見ているのではない。翼の中にいる“何か”に向けられていた。


 翼は、彼女が批難する“奴”が夢で見たあの大男なのではないか、と思い恐る恐る口を開く。


「……あ、あの……、“奴”って……?」


「“奴”は“奴”じゃ……」


 玉藻前は不機嫌そうに答える。


「清神翼の中にいる“奴”じゃ。思い出させてないということは、今はまだ名を明かすわけにはいかなくなった。どうしてくれるのだ、あの木偶の坊……まあ、よい。いずれ厭でも思い出すだろう。その時には全てを教えてやることを約束するのじゃ」


 玉藻前は、翼に微笑んで言った。


 翼が過去のことを思い出さない限り、大男の名前は教えることは出来ない。名前を教えたら、何か危惧することが起こるのだろうか。翼の心中に一抹の不安が吹き荒れようとしている。


 玉藻前は、そんな翼の心中を察しながらも、再び何の前触れもなくその姿が虚空へ消える。一瞬にして美神光葉の前に移動した。


「で、美神光葉か?」


「……ええ」


 美神光葉は玉藻前を観察しながら、そう言った。


 術式を使った形跡はない。高速移動をするにも、瞬間移動系の魔術を発動した形跡がない以上は、玉藻前は亜人の平均の動体視力で追いつける二千三百キロ以上の速度で移動したことになる。


 亜人の動態視力は、人間界の最高時速二千三百キロのリニアモーターカーでさえ止まってみえてしまうくらいに、人間よりも優れているが、魔術を発動せずに二千三百キロ以上の速度で移動したことになるが、それにしても、無風である。シンでさえも少しのそよ風程度は起こしてしまう時もあるにも関わらず。


 どこぞの執事が力を見せつけるために行ったものだとしたら、それはそれで性格が悪いと言わざるを得ない。


 玉藻前は、口の端を吊り上げて言った。


「お主は、変わってないのう」


「……五、六年でそうは変わりません」


「それもそうだのう。だから亜人はつまらんのじゃ。成長が目に見える人間の方が可愛いげがある」


「そもそも生態系の違う世界線の住人であって、寿命が違うのだから仕方ありません」


「そうじゃのう……。人間は、すぐに寿命が尽きてしまうのが悲しいのう……。儚いのう…………」


 一瞬だけもの悲しげに表情を変えて玉藻前はそう言ってから再び何の前触れもなく、姿を虚空へ消えた。次に姿を現したのはエクレールの前である。


 玉藻前は、悪戯好きな子どものような微笑みを浮かべて、エクレールの前に出現した。


「さてと、そちがエクレールか?」


「ええ。そうですわ」


 エクレールは玉藻前の問いかけに答えた。


 瞬間移動を目の当たりにしても彼女は大して驚かなかった。その代わりに刺すような冷酷な視線を玉藻前に向けている。


「何じゃ何じゃ、名を問うただけでその人を刺し殺そうな目は?」


「先程まで、あなたのように、いきなり消えては移動して顕れるといった方に少しばかりやられてしまいましたから」


 またやられないように牽制をはっているだけですわ、とエクレールはより明るい笑顔で答えたつもりだったが、玉藻前の動物的勘が彼女から危険な何かを感じ取る。


「……そ、それは難儀じゃったな。御愁傷様じゃ……」


 玉藻前はエクレールとの会話を早めに打ち切った方がいいと考え、適当に話を合わせて、切り上げようとしたが。


「別に対したことはありません。これで一つ学びましたから」


 エクレールは、黒く笑った。美しい笑顔なのに、目は一切笑ってはおらず、ますます険悪さを増しており、不穏な空気を漂わせている。


 また精神的に不安定になっているのか、心配になる翼たちをよそに玉藻前は口を開く。


「……な、何を……、じゃ?」


「瞬間移動をする不粋な方にはろくなのがいないということですわ!」


 そう言って、エクレールは三尖両刃刀を玉藻前に降り下ろした。


 三尖両刃刀が玉藻前の姿を斬る前に、その姿は消える。三尖両刃刀の刀身が虚空を斬った。


 本日五度目の移動を行い回避をした玉藻前は、翼の側に移動してきて、すかさず翼の後ろに隠れると、服の裾を掴み、抗議の声を上げる。


「何じゃ何じゃ、いきなり妾に向かって刃を振るう頭の働きと行動がおかしいぞエクレールよ」


「やかましいですわ!」


 エクレールは、三尖両刃刀に自分の司る力を注ぎ込む、刀身からバチバチと黄金と青白い火花を散らして音が響いた。


 のそりのそり、と近づく度に、まるでそれが電極みたいにバチバチと火花を散らしている。


 風に乗ったどこから飛んできたコンビニ袋が彼女の顔の側に飛んだ瞬間、迎撃装置のように火花を飛ばして、コンビニ袋を吹っ飛ばした。


 うわぁ、と翼は背筋が寒くなるのを感じて、両掌を向ける。


「おい待て待てエクレール! 一旦、深呼吸をして落ち着こうぜ」


「そうじゃそうじゃ」


「やかましいですわ」


 エクレールは苛立たしげに言って、歩みを止めない。


「エクレール・ブリアン・ルドオル。少し落ち着け」


「落ち着いていますわ」


「何があったか知らないが、少し自棄を起こしているように感じるのですが……」


「気のせいですわよ」


 ドレイクと美神光葉もエクレールを制止しょうと声をかけるが、エクレールはそう言って歩みを止める気配はない。


「何があったかは知らんが悩み事があるのなら聞くぞ。生けとし生ける者────特に理性を持つ人間や別世界の亜人たちはどんなに年を老いても迷いも悩みも尽きない。だがそんなとき、そばに誰かにそのことを聞いてもらうだけでも心は楽になれるのじゃ」


「あなたに打ち明ける悩み事はありませんわ……」


「そんなに情緒不安定なのに悩み事がないわけがあるまい!」


 玉藻前は、エクレールにそう言うが彼女は譲らない。


「大丈夫ですわよ。それよりもあなたはわたくしたちの敵か味方かをおっしゃっていただきたいですわね。言ったところで、信用をするかどうかはわかりませんが」


 エクレールの発言に玉藻前はこめかみに指を当てて唸る。


「それでは、妾を信用されないのではないか?」


「そうですわね」


 エクレールは有無を言わせない剣幕で、玉藻前の前に立った。エクレールと玉藻前に挟まれた翼は嫌な予感をますます深める。


 シルベットや蓮歌と比べれば、【部隊チーム】の中では一応は冷静沈着で慎重派の分類に入るエクレールである。シン以降、精神的に不安定になってしまったために、気を赦さないようにしているのだろう。再び同じ轍を踏まないように慎重し過ぎてしまっている感じは否めない。用心に越したことはないが。


「エクレールよ。先程、妾がラスノマスから救ったところを見て、どちらの味方かわかぬのか?」


「相手に信頼されるために助けて味方と思い込ませる連中はいますわ。相手に信用を与えて寝首をかこうとする可能性は少なくありません。それだけで味方だと考えるのは浅はかだと思いますが」


「た、確かにそうじゃが……、妾は神じゃぞ。少しは信用しても良いはずじゃが……」


「わたくし、神界の連中は信用を致しませんのよ」


「どうしてじゃ?」


「神界の連中は、他の世界線を監視してはいますが、殆どが傍観しているだけで積極的に干渉は致しませんわ。現に、世界がどうなろうと助ける気はないことは明白ですし、何より実験的感覚、娯楽的感覚で世界を見ている輩は好きになれませんのよ」


「全ての神がそう言う輩ではないぞ。自分を信仰する人間や生き物には神界は寛容じゃ。赦しさえ請えば、何度でもやり直せる好機を与えようとするはずじゃ」


「何で赦しを請う必要性があるのでしょうか? 無条件に助ければよいのに」


「それには、いろいろと規定があるのじゃ。無条件に助けられない事情というものが」


「言い換えるなら、つまり信仰がない人間や生物たちは自己犠牲だから不幸になれということですわね」


「それは、違うぞ。神界は世界の秩序を監視することにあるのじゃ。あらゆる物事をその世界でなるべく解決しなければ、生き物は成長も進化もできぬのじゃよ。それに全ての神が実験的感覚や娯楽的感覚で傍観しているわけではないぞ」


「用は丸投げなのでしょう」


 エクレールはそう言って聞き分けない。


 神を信じる信じないは、人間界でも良くある話でもある。


 人間界には様々な宗教が存在している。仏教、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教 、ヒンドゥー教、バラモン、道教、神道、ジャイナ教、シク教、細かく分ければキリがない程の宗教が存在しており、それ故に神の存在を信じるか信じないかといった有神論、無神論といった内容の話は尽きない。


 人間界にとって、神とは信仰の対象として尊崇・畏怖されるものである。日本では、神の存在そのものが否定されやすくなっているものの、お盆や正月といった宗教的行事は行っている。クリスマスやハロウィンといった他の宗教の行事も精力的に行っており、有神論者や無神論者関係なく参加していたり案外曖昧だ。


 清神翼は、神様が存在していて願い事を叶えてくれるだなんて思ってはいない。それでも初詣の際には近所の神社まで家族で出向いて、これまでの神様の慈悲に感謝して、賽銭箱に五円玉を放ると、鈴を鳴らして二礼二拍手一礼をする。そして目を閉じながら、頭の中で今年の抱負と願い事を思い浮かべるくらいはする。


 そもそも日本の神様は八百万だ。数多の神の集まりである。その中の一柱に、年初めに集まった参拝客の多種多様な願い事全てに対応するのは無理な話だろう。願いや望み、目標は誰しもが持っているものである。年初めの初詣の際に、それを強く意識を持つことによって、願い事を成就するものだと清神翼は自分なりに解釈していた。その解釈も玉藻前の存在によって揺るぎかけているが。


 玉藻前は神と妖弧の混血である。妖弧との混血を神と呼んでいいのかは境界線がわからない清神翼にとって疑問に残るが、玉藻前は神だから信用しろと言っている。


 だが、そう易々と、はいわかりました、と信用するエクレールではなかった。


「分からず屋じゃのう」


「あら。自らを神と自称するあなたには言われたくなくてよ」


 神だからといって、エクレールは信用しないと言った。神の存在を神界の連中として認識しておきながら、神は助けてはくれないといって信頼たり得るものではない、と玉藻前に言ってしまった。それにより、勃発してしまった談義である。


 神と名乗る妖弧と神を信じない金龍族の女王がそんな悶着を続けるという稀有な構図が続いたのは、恐らく五分も無かっただろう。


 神を信じるか信じないかという談義は決着が付かないまま、永久に終わらないじゃないかと思われはじめていた矢先に、呆れ返った声が響いた。


「くだらないことを言ってないで、さっさっと要件をまとめてください。エクレールも戦いを仕掛けるにはまだ早急し過ぎます」


 美神光葉は眉根を寄せて顔を顰めて言った。それをすかさず返したのは、玉藻前だった。


「くだらないじゃどぉ? これは神の信頼に関わる問題じゃ!」


「信頼も何も……。信仰心がない人に無理矢理に神を信じろ、と言っても逆効果ですよ。神ならば、信仰を求めなくとも信仰されるように努力してください」


「……ど、努力じゃぞ……」


 美神光葉はそう玉藻前を宥めると、“努力”という言葉に衝撃を受けた。


 そもそも神は努力するものなのか、甚だ疑問だが、エクレールが口にした“神界”という言葉を察するに、人間界やハトラレ・アローラという亜人界の他にも存在していることは窺える。人間界で神と名を馳せる者たちは神界から来た者を指すならば、神とは一体何なのか、と清神翼は考えてしまう。


 清神翼がそんなことを考えている僅か数秒間、衝撃を受けていた玉藻前は立ち直った。


「確かにそうじゃな……。努力は大事じゃ。妾もすぐに信用されるように精進しょうと改めよう。しかし────こやつの場合は、“速く移動が出来る者には不粋な者しかいない”という一点だけで口撃しているようにしか思えないんじゃが……」


 玉藻前は、エクレールを人差し指で示して言った。玉藻前に指をさされたエクレールは、顔を不愉快そうに歪める。


「人を指でさしてはいけませんと教育されませんでしたの? 神と自称するには教育がされていないようですわね」


「神を信じない無礼な奴は別じゃ」


「差別を致しますのね。やはり、神は皆に平等に身護っているというのは嘘ですわね。教えてらした信者に申し訳がたちませんわね」


「……教えてきた信者には申し訳ないと言わざるを得ないが、貴様は妾を最初から信用しておらんじゃろ。そんな者に無条件で恩恵を与えるほど、暇でもないのじゃ」


「そうですか。別に構いませんわよ」


「妾を信用しておらず、無礼を働く不神論を唱える貴様などもう知らぬ」


 玉藻前は段々とイライラとしてきて、つい口調が険悪になる。


「二人ともこんな時に口論はやめて頂きたい。その件に関して、愚かな執事に代わって私が謝らせていただきます」


 不要な口論を続ける二人をこれ以上悪化させないためにも、仲裁に入る。これ以上は不要な争いを生みかねないと判断したためだ。


 それにこれ以上、口論が長く続けば、また敵に見つかる危険性が高まる。ラスノマスは逃げたとしても、この〈錬成異空間〉から出ることは困難な状態だ。さっきは退いたが、今一度不意討ちを狙ってくる恐れは低くない。


 それに天上にいるボルコナ兵が玉藻前とエクレールの口論に気づき、包囲されてしまう恐れも充分にある。ボルコナ兵に囲まれてしまう状況は、美神光葉だけではなく、エクレールたちにとって好ましくないはずだ。


 二人が諍いを悪化させないためにも、今は矛を納めてもらわなければならない。


「玉藻前様には後ほど、原因を与えた執事に油揚げでも持たせてお供えにしに行きますから今は場を納めてください」


「油揚げじゃぞ………はっ! いやいや……」


 玉藻前は油揚げと聞いた途端に目の色を変えたが、ふるふると頭を降った。


「油揚げ一つで、すんなりと矛を納めることは出来ぬほどに神界の信頼に関わる問題なのじゃ」


「一つでありません。九尾ということで、九つ納めましょう」


「うむ。わかった」


 そう言って、玉藻前はあっさりと矛を納めた。


 妖弧もやはり狐なのだろうか。お稲荷様へのお供え物といえば五穀(米・粟・ヒエ・蕎麦・大豆)の初穂だが、それ以上に油揚げが大好物として全国的に有名だ。しかし、野生の狐は油揚げを一応は食べられるが好物ではないことを幼い頃に読んでいた図鑑に載っていたことを清神翼はうろ覚えながらも思い出す。


 狐は、主に齧歯類などの小動物を食べている。いわゆる野ネズミやウサギやリスだ。それにヤマウズラやキジなどの鳥、時にはカラスさえも捕食し、ニワトリへの被害も絶えない。あとは、昆虫などを好物とし、ヘビやカエルやカタツムリなども食べている。


 何でも食べる雑食性である野生の狐は、秋などは木の実なども多く食べて冬に備え、人間が育てる果実や農作物などは格好の獲物になるため山奥よりも人里に近いところに巣を作ることが多い。


 余談だが、人間が与えるジャンクフード的なものも食べるが、決してキツネのためにはならず、人里に降りてしまうきっかけを作る恐れがあるために注意しなければならない。地元じゃないからいいか、という甘い考えであげれば、人間は餌を持っていると覚えてしまう。野生の狐は雑食ゆえにいろんな細菌を持っている、気軽に触れてしまえば感染する危険性もあるために気をつける必要性があるのだ。


 玉藻前は妖弧であり、野生の狐とは違うが、油揚げ九つで矛を納めてくれたことに胸を撫で下ろす。


 だが。


 問題はまだ残っている。


「玉藻前も矛を納めてくれた。エクレールも武器を一度納めてくれないか。今は争っている場合ではないはずです」


 そう玉藻前に言ってから、エクレールにも注意をする。


「何を勝手に取り仕切っていますのよ!」


 エクレールは美神光葉が予想した通りに、反抗的な態度を取ってきた。


 それに、どう説得するかを考えた美神光葉は、


「わかりました。私は玉藻前様を説得しました。ドレイクさん、エクレールに教えてください」


 と、エクレールの【部隊チーム】の教官であるドレイクに丸投げした。


 ドレイクは深い溜め息を吐き、


「では──」


 ドレイクが教官としてエクレールに教え諭そうとしたと口を開いた──


 その刹那。


 〈錬成異空間〉に創られた世界に浮かぶ赤い月に、一直線にヒビが入ったのである。月を綺麗に両断していたそれは、すぐに、皓々と輝く月の前に何か影がやったものであることに気づいた。




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