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第一章 三十六




「────というわけで、半年間ほでみっちりと修業をしてあげたのさ」


 ゴーシュは、白蓮との思いがけない邂逅から半年間の修業話を語り終えた。時間にして、三十分以上の長話である。


 巻き付く麓々壹間刀の拘束によって身振り手振りでの大仰に語れない分、ベテランの朗読者のようにあらゆる声音を使い分けていて、思わず殆ど聞いてしまった。


 三十分もかけて話した内容の殆どが白蓮のことだが。未だに肝心な話題に達していない。


 そろそろ本題に入らないと何の情報を得ないまま、元同級生を殺さなければならない。それでは全くの無駄話を聞かせられただけだ。


 美神光葉はため息を吐く。


「そうですか。────で、白蓮の性根は叩きなおされたのですか?」


「ああ。何とも言えないが以前というほどくらいじゃなくなったよ。現在は、ハトラレ・アローラの事情なんて皆無に等しい人間界で、細々というほどではないが現在も暮らしているよ」


 ”何とも言えない”、”細々というほとではない”というゴーシュの言葉に美神光葉は察する。


「何とも言えないという言葉から、相変わらずに戻りつつあるということですか……」


 美神光葉は呆れ果てた。


 あれだけのバッシングを受けておいて、逃れるために人間界に行っても、相変わらずの女癖の悪さがなおしていないというところだろう。白夜の想い人である地弦に手を出して、そのおかげで白夜の怒りをかってしまい、西方大陸ヨルムンの気候を荒れてしまっただけのことはある。


 数十年前に、白虎と白龍族が仲たがいを起こした際に、国境近い都市部の治安も悪くし、スラム街が多く点在させ、地獄のような有様とさせた時に、玄武には仲立ちとして立ってもらい、白虎と白龍族は休戦協定を結び、治安を良くすることを手伝ってもらった経緯があるというにもかかわらず、結局は白龍族は恩を仇に返す一族なのだろう。


 元々、生真面目で厳格であり戦を司る獣にして清純。恋心を抱く地弦に幾千の年月を経ても、目を合わせられないほどの恥ずかしがり屋である白夜と淫奔な白龍族、特に白蓮とは性格的に相容れなかったのもあるが。


「で、ゴーシュはそんな彼と会って性根を叩きなおしたけど、女好きは完治しなかったということですね」


「まあ、そうだね。残念だけど」


「腐った性根はとことん腐り果てたというところですか……」


 白蓮は、ゴーシュの厳しいと有名な特訓を受けてもなお、ハトラレ・アローラに西方大陸ヨルムンの皇子としていた頃とは変わらない昼夜問わず淫欲に明け暮れているということに美神光葉は頭が痛くなってきた。ハトラレ・アローラにいた頃と違うならば、得意のふしだらさを武器に商売していることだけだが──


「協調性が皆無の白蓮のことだから、とことん嫌われていそうですね」


 白蓮は、一部の異性に対しての扱いは優れているが、同性に対しては極めて雑だ。同性だとあからさまに嫌そうにして、少しも隠そうとしない。蚊か蝿を追い払うように手を振り、異性に腰を振るのが彼のスタンスだ。


 いくら得意の性交渉を売りとする店であっても、基本は女性客を接待する。主に来店した女性客に酒食を勧め、歓談するのが主な仕事である。皇族育ちで自由気質の白蓮が勤めきれるとは思えない。


 新人のうちは清掃などの雑用、先輩のアシスタントから始めといった仕事を行うことは何となくだが理解している。それを白蓮がこなせるかは甚だ疑問だ。


 【部隊チーム】で人間界の欧州地方に配属になった頃に、人間とのコミュニケーションを主にゴーシュや美神光葉、水無月蒼蓮に押し付けておいて、白蓮は異性以外の接客や交流を疎かにしていていた。店頭・街頭でのキャッチや営業時間外でも馴染みどころか客と連絡をとり話し相手になるといった異性に関わる仕事は喜んでやりそうだが、それ以外の職務は真っ当に出来そうもない。


 同性に対して敬意の一つも見せない彼が同業者と上手く立ち回れることは考えづらい。下手に恨み辛みをかってしまいかねないだろう。ある程度の協調性はなければ、客や同業者を不快にするだけだ。容姿端麗である以上に、女性客の心の機微を察するコミュニケーション能力と同業者と上手く立ち回れる連携力があればいいのだが、白蓮には一切ない。


 だからこそ、ゴーシュが発言した”如何わしいと思われる店が軒を連ねる路地裏”という意図に察することが出来る。


「そうだね。ボクがしばらく特訓で白蓮のところで滞在していたけど、結構トラブっていたからね。あれは、また同じように同業者に袋だたきにされても仕方ないといえるね。またゴミとして捨てられてもおかしくない。相手は人間だから白蓮が死滅なんてことはないが、一度死地を彷徨わないと治らないじゃないかな」


「……やはりそうでしたか。何となく想像できていましたし、同意せざるをえませんね……。無能のくせに身分に甘えていたからこうなるんでしょう」


「まあ。それだけが原因とはないようだけど……彼にはどうにか人間界に迷惑をかけないように立ち回ってほしいけどね。白蓮が大体、いざこざ起こすのは、先輩や他店の顧客を取った挙げ句、孕ませてしまったことが殆どだからね」


「……何でしょうね。どちらにしろ、堕ちるところまで堕ちたとしかいいようがありませんし、女性からしてみれば、一度死んで神に謝罪してこいとしか言えません。それで、そんな堕ちた皇子の事の顛末が私の聞きたいこととどう関わりがあるのでしょうか?」


 ゴーシュの一向に本題に入らない話しに美神光葉は苛立たしいをあらわにして、さっさと本題に入れと催促した。


 ふ〜む、と美神光葉の催促に考えるように頷いてから、


「そうだね。元【部隊チーム】メイトの近況報告という前置きはこの辺にして、本題に入ろう。────と、その前に」


 そう言って、自分の頭を残して首筋まで巻き付いた麓々壹間刀に顔を向ける。


「さっきから話しにくくって仕方ないんだ。取ってくれると話しやすいんだけど……、緩めてくれると嬉しいんだが」


「ダメです」


 美神光葉は、ゴーシュの申し入れを即答で断った。


 ゴーシュと彼に巻き付く麓々壹間刀を見て、眉根を寄せる。


 確かに、首元まで麓々壹間刀が絡み付いており、話しづらそうではあるが……。美神光葉は、ゴーシュに巻き付けた包囲を緩めるつもりはない。


「あなたの場合は、油断するとその隙を狙って逃げるか反撃をしかねません」


 美神光葉はより一層、麓々壹間刀に注ぐ魔力を強めた。


 一癖も二癖もあるゴーシュのことだから、そう言って油断させて天叢雲剣の呪術を発動しかねない。それ以前に、白蓮の話しを前置きと称しながら、長々と聞かされている。これは何らかの時間稼ぎの可能性は十分に有り得るだろう。


 油断なく警戒心をあらわにする美神光葉に、ゴーシュは繊細な美貌な微笑みを悩ましげに変えて深い嘆息する。


「はあ……これはボクがこれまでした行いの問題かな」


「自覚があるなら、早めになおすように心がけてください。ですが、あなたがいうように私が知りたいことに繋がってなく、出まかせならば問答無用で斬らせていただきます」


「それは怖いな。ボクとしてはキミが知りたかった話しを同級生という好誼で教えてあげようと思っているだけに過ぎないんだけど……」


「よく言いますね。ノース・プルの時は、よくも“ゾォゥズフゥー・キャリーディスペアーに脅迫されたからといって、本気で胸を貫きましたね……」


 美神光葉は、五年前────ハトラレ・アローラ、北方大陸タカマガの最北端であるノース・プル、エタグラの最奥であったことを忘れてはいない。


「あの時は、一回、死んでしまいましたからね。あらかじめ最初に言っておきますが、生き返ったからいいじゃないのか、という言い訳はしないでください」


「これは一本、取られたよ。まあ、仕方ない。あの時は、我が愛しい義妹シルベットのために本気に見せかけてやらなければならなかったからね。キミはそう簡単に死ぬことはないと思っていたさ。急所は外しておいたから赦しておくれよ」


「それで赦せるわけはありませんよ。いくら黒幕に暗殺を指示されたからといって、ゼノンをも持ち出すなんて前代未聞です」


「あれは、彼が連れていけ、といわれたからさ。今はあの少年の体内さ。本当は義妹の警備に使おうと思ったんだけどね」


『相も変わらず義妹が大好きなんだな』


 ヒーひっひっひっ、と麓々壹間刀から耳障りな笑い声を響かせた。それにゴーシュは、「愛してるといっても過言ではない」と無駄に爽やかな微笑を浮かべる。


「どんな因果があったんですか……?」


「さあ。ボクはその現場には立ち会っていないからね」


「じゃ、誰が……?」


「さあ。時が来たら教えるよ、必ずね」


「わかりました……。その時とはいつですかね。あなたがその時という時は、大体は教えてくれない時です。いい加減に無駄口で時間を割く余裕は私にはありません。今すぐ言ってくれないと、問答無用で斬らせていただきます」


 うんざりしたかのような表情を浮かべた美神光葉は、ニッコリと微笑んだ。目には、研ぎ澄まされた剣気が宿る。


 その眼光に、常に微笑みを崩したことがなかったゴーシュが怯んだ。これ以上は、いくら天叢雲剣の呪術をチラかそうとしても、彼女は相討ち覚悟で斬り刻んとするだろう。


 五年ぶりの再会に、いつも以上にからかってしまったようだ、と珍しくも反省し、


「わかった……悪かったよ。少々、話しづらいが約束通りに話すとしょう」


 ゴーシュは、ようやく話しはじめる。


「まずは、修業最中に白蓮から小耳に挟んだけど、美神光葉────キミは悪所なんかにラスマノスが捕らえた人間の少年少女を保護しているそうじゃないか。それを教えてくれないか?」


 ゴーシュの言葉に、美神光葉は声を出さない。出してしまえば、肯定しまうことになるからだ。


 確かに、美神光葉は人間界、ハトラレ・アローラ界にそれぞれ数ケ所の活動拠点を確保し、情報収集とラスノマスから保護した人間の少年少女を匿っている。


 ハトラレ・アローラと人間界にそれぞれに美神家が運営している協同生活組合の支店がある。その倉庫、あるいは、街の飲食店の二階、美神協同生活組合のリストにはない居酒屋の二階から普通の住宅街にある一戸建てと様々だ。


 土地柄に関しても治安の良いところから数歩進めばスリが懐に手を突っ込んで来て、暗い路地に入ったらまず強盗から声がかかる悪所の一角などある。どちらかと言えば、治安は決して安全といえない場所も多い。


 街で起きたことの殆どは、外に伝わることはない。その意味では、こういった闇が溢れた街は大変隠蔽効果が高いのだ。弱ければ食い物にされる。犯罪が起こることが当然であり日常茶飯事。だから路上に死体が転がっていたとしても気にとめない。毎日のことだから、と負の方向へと闇色に発展し続ける場所だからこそ、そんな場所をあえて選んだ理由でもあるが、その一つが白蓮が滞在している街だとしても不思議ではない。


 だが、それだけだとゴーシュと白蓮がラスマノスが捕らえた人間の少年少女を保護していることに気づくことは出来ないはずである。


 ここは答えず、ゴーシュの話しを促す方が得策といえるだろう。


「実は、白蓮が現在、住んでいる貸家の裏が美神家が運営している協同生活組合の倉庫らしい。今まで人の出入りに注視していたわけじゃないが……ある晩の日、人間の少年少女達が数人ほど運び込まれるところを見たようだよ」


「運び込まれる? 物資か何かではなくて」


「そうだと思ったらしいが、違うらしい」


「違う、というのはどういうことですか……」


 美神光葉は漆黒の瞳が細められた。


 胸の内を覗き込むような眼光の鋭さは、常人ならばみっともなく狼狽えていることだろうがゴーシュには動じない。


 彼女は、内心では少しながら緊張が走っていた。


 美神家は現在、ラスノマスから保護した人間の少年少女達は人の出入りがあっても怪しまれない場所に匿っている。それは事実だ。勿論、少年少女達を出入りする際には細心の注意を払っている。


 随時、当主である美神光葉に情報を伝達するのは勿論だが、敵対組織に気づかれた場合は、探られ当てられないように証拠隠滅を徹底し、〈転移〉の術式をもって、人間の少年少女達ごと拠点を移動させている。異変がなくとも一定期間だけ留まらせた後に、点々と移動させた後に美神家の屋敷で保護をしていた。


 不要因に関わってしまった、もしくは目撃してしまった者には、記憶だけを消去または変換させる術式をパーソナリティ障害が起こる寸前まで何重にも分けて施し、術式を突破されそうになった際には、自決するように暗示をかけている。これにより、どんな魔術に特化させた人間はおろか亜人であれど不可能であり、足がつくことはないはずだが──


 何故、ゴーシュは違うと断言することが出来たか。人間の少年少女を匿っている、または匿っているとはいかないものの何か不信感を与えるような事があった、もしくは物を見た可能性。なにがしらの情報を得ているのは確かだろう。


 どちらにしろ、不特定であることには変わりはない。確証がない限り確信を得ることは出来ないのだから。これは、確証を得るための本人に確認といったカマだ。下手にごまかそうとして口を開けば、相手の思うツボだ。


 間諜を生業とする美神家の当主として、これ以上は彼に情報を与えてはならないと、無感情に徹するが、無駄な足掻きだったのだろう。


 ゴーシュは嗤う。こちらの胸の内を覗き込められた彼の目は見透かしたかのように細められた。思考を読んでしまう彼からしてみれば、厭でも変化に気づき、少しばかり緊張を走らせてしまった変化に厭でも気づく。


「残念だけど。キミは相も変わらずわかりやすいな」


 怜悧な眼差しで見据える美神光葉にゴーシュは言う。


「キミは何て言うか、スパイにはとことん向いていないね。美神家で特殊訓練を受けていたにもかかわらず、表情や仕種に出し過ぎている」


「そういって、私の感情を掻き回すつもりですか?」


「そういうわけじゃない。まあ、キミの考え方や行動がわかりやすいだけさ。元同級生から【部隊チーム】を経て接してきた時期が長いからね。だから隠し事は無意味さ。キミは間者として未熟だね」


「大罪人が私に説教ですか……?」


「説教という程じゃないさ。仮にも、キミは隠密を生業にしている美神家の生まれじゃないか。そんなにあからさまでは困るのはキミの方という忠告さ」


「……あなたごときが私に忠告ですか。随分と偉そうですが、いくら天叢雲剣を持っていても、今は麓々壹間刀の刃が頭以外は巻き付いているあなたが不利であることを忘れずに」


「忘れちゃいないさ。勿論、本題もね」


「本題……?」


 本題、というゴーシュの発言に美神光葉は訝しく眉を顰める。


「悪所に人間を保護しているかどうかの話しではなかったのですか……」


 会話の流れから本題に入ってもおかしくない。にもかかわらず、まだ本題に入っていないかのような口ぶりに、不信感が募る。


 元から彼に対して不信感しかなかったが、話しを無駄に引き延ばしたり、思わせぶりに話しを長引かせる行為について、彼女はゴーシュは何か時間稼ぎをしている可能性が高まったといえるだろう。 


 彼女の中で、このままゴーシュの話しを聞くか、聞く価値がないと判断し問答無用に彼を殺すかという選択が頭の中に表れる。


 間者として、ゴーシュが何に時間稼ぎをしているのかわからない以上は、不用意に殺すことは躊躇われる。それに彼にはまだ聞かなければならないことがある。だとしてもこの先、彼女の脚を引っ張ろうというのならば、彼を生かす必要性は感じられない。


「違うといえば語弊がある。まあ、キミが話しの流れからして本題と思っても仕方ないさ。本題はこれに連なっていることを思って聞いてほしい」


「連なっている……」


 連なっている、それは関係していることを意味をする。


 人間の少年少女を保護していることがどう関わってくるのか、はたまた単に時間稼ぎのために話しを長引かせたいだけなのか。美神光葉は麓々壹間刀を握る手に力を込めて、ゴーシュの次の言葉を待つ。


「ああ」


 ゆっくりと息を吸い、一息にゴーシュはそれを口にする。


「キミが保護している人間の少年少女達は、捕われ身となったよ」


「どういうことですか……?」


 美神光葉は眉間に皺を寄せ、暗く濃厚な剣気が周囲を席巻した。


 これまでラスマノスから保護してきた人間の少年少女達が捕われ身となった、という言葉に今まで遠回しに話しをしてきた意図に合点がいく。


 最初からゴーシュは美神光葉がラスマノスから人間の少年少女達を保護していることを知っていた。その上で、あからさまに前置きをして、長話をしていたのだろう、と彼女は考えが至ったのだ。


 しかし、その考えは少し違っていたことに次のゴーシュの言葉に気づかされる。


 内蔵を剣先で掻き回されるような気迫にゴーシュは動じることなく、常に変わらない微笑みを浮かべて口を開く。


「詳しいことをいうなれば、今から大体……そうだね。キミがボクに共闘してラスマノスを倒そうと言った最中に、“ある勢力”が美神家が運営し、人間の少年少女達が保護している倉庫を制圧、壊滅された」


「ある勢力……」


 ある勢力、という言葉を聞いて、美神光葉は心中に不安が過ぎる。


 ゴーシュの話しがどこまでが真実なのか。少なからず真実が含まれていることは間違いない学舎の頃から、真実に少しばかりの作り話をわざと混ぜ込み、それに相手が気づくかどうかを見て楽しむ陰気な性格上、昔から偽りの有無の境界線があやふやだ。尾鰭を付けた情報で美神光葉の反応を窺っている可能性が十分にある。


 爽やかな外見に寄らず、実にいい神経の持ち主だ。後ろから刺されても誰も心を痛まないだろう。一層のこと、今此処で麓々壹間刀で八つ裂きにして回復できないように五体をバラバラしてやろうかという気になってしまうことは仕方がないことだ。


 だが、刀剣に魔力を込めることを堪える。美神光葉は目線で彼に詳細な情報を求める。その視線に気づき、ゴーシュは待ち構えていたかのように口を開く。


「ボクが此処に到着する途中で白蓮から〈念話〉で伝えられたことだから、詳しいことはわからないが……どうやら────」




「【熱風動殺】ッ!」




 ゴーシュの打ち明け話を凄まじい大声と共に炎に包まれた熱風が遮った。


 吹き荒れた熱風は話しに夢中になっていた二人の肌を焼き、質量のある熱風に吹き飛ばされる。麓々壹間刀は、瞬時にゴーシュに巻き付けていた刀身を解除し、二人の周囲にドーム状に変化させて、地面に叩きつけられる寸前で受け止める。


「ぐ……!」


「あ……!」


 ゴーシュと美神光葉は苦悶を発した。


 麓々壹間刀の刀身はあくまでも形状を変質させただけに過ぎず、柔らかさは刀身のそれと変わらない。


 二人は躯中を激しく打ったのは言うまでもなかったが、叩きつける衝撃を麓々壹間刀の刀身が極力は吸収してくれたことにより、すぐさまに態勢を立て直すことができた。


 美神光葉はすぐさまと〈結界〉を構築して防御、ゴーシュは虹のような、星のような幻想的な輝きを放つ、不思議な幅広の刃を持った剣を構える。


「何者ですか!」


 言って、上空にいる熱風を浴びせた者に怒気の籠もった目で美神光葉は睨んだ。


 そこにいたのは────女性だった。


 身体の周囲に焔を纏わせながら空中で見下ろすように佇んでいた。袖が半ばから揺らめく火焔にした、白い和装。天女の羽衣のごとく身体に絡みついた炎熱の帯。そして、炎髪灼眼。その姿。その力。それはハトラレ・アローラや人間界に置いて、知らない者はいない。


 ボルコナの守護者にして、支配者。不死鳥。朱雀。煌焔。その一人だった。


「あなたは、朱雀────煌焔、何故……ここに?」


「何者とは聖獣相手によく吼えたな黒龍族の子ネズミか」


 朱雀────煌焔は、状況がわからないといった様子で驚く美神光葉と、何かを理解した様子で微笑むゴーシュの二人を俯瞰して、フッと笑う。


「まあいいさ。此処には、用事があってね。久々だから、人間界に降臨してみたのさ。で、黒龍族の子ネズミは銀龍族の大罪人と逢い引きかい、?」


「それは、冗談でしょうか……」


 美神光葉は、恥ずかしさと怒りと不快感を三十三、僅か一の隠しといった表情を浮かべて、煌焔に口を開く。


「この義妹大好きな変態と付き合っているとでも、お考えでしょうか……。あり得ません。いくら顔は良かろうが、中身は義妹大好き変態ですよ。私とは不釣り合いです。それ依然に、ゴーシュは義妹以外の女性には興味がなく、私もゴーシュに興味がありません。それに彼はハトラレ・アローラの宝剣を強奪した罪があり、指名手配されている身。そんな奴と共犯者の疑われる危険を犯してまで逢い引きしますか。私はこんな変態と恋仲になるという汚名を付けられたくはありませんよ。冗談でもいわないでください」


 美神光葉は一気に捲し立てる。それを訊いて煌焔はゴーシュに目を向けた。


「────だそうだよ、ゴーシュ」


 煌焔に話をふられたゴーシュは別段、傷付いた様子はなく、笑って肩を竦める。


「そうだね。同期生として元【部隊員チームメイト】として、こうも嫌われているとはね。残念な限りだが、まあ……ボクには愛しき義妹────シルベットがいるからね、大丈夫さ」


「噂通り以上に、義妹大好きで少しばかり戸惑っているよ…………」


 煌焔は、爽やかな笑顔でサムズアップするゴーシュに引いていると、その横で煌焔よりも引いている美神光葉が言葉を向ける。


「────というわけで、冗談でもこの義妹大好きな変態と恋仲とはいわないでください」


「……理解した。善処するよ」


 美神光葉の言葉に、手を上げて了承すると、話を切り替えた。


「では、人間界に降臨した意味を教えてあげよう。“貴様らも知っている者”が此処に顕れるかもしれない」


「それは一体、どういうことでしょうか……」


 “貴様らも知っている者”という煌焔の言葉に美神光葉だけ首を傾げた。


 うんうん、ゴーシュは頷き、煌焔に向けて口を開く。


「それはつまり、“アレ”かい? 三回もハトラレ・アローラと人間界に殺戮を繰り返されるように強要された“アレ”かい」


「そうだね。それで間違いないかもしれないね」


 煌焔はゴーシュが“アレ”といった言葉に曖昧な答えを返したが、表情や仕草と声音からは、認めていることが窺える。


 それで美神光葉は理解した。ゴーシュがわかりやすく言ったお陰で、“アレ”の見当がつくことが出来た。


「こっちが送り込んだ如月朱嶺が、用事がなかなか終えられなくてね。どうやら、また問題児に辿り着けていない状態なんだ。だから、久々に人間界に降臨するのも悪くないと思って、妾自らが来てやった。それだけのことだ」


 煌焔は友人と話すような砕けた感じで事情を告げながら、〈念話〉で口で言ったことを伝える。


『これより伝えることは、声にも顔にも出すな。そして、無理に〈念話〉で返さずに訊きなさい。数時間前に、貴様らの同期生にして元【部隊員チームメイト】のメア・リメンター・バジリスクが脱走した。』


「…………ど、どういうことですか?」


 煌焔の〈念話〉に顔と声に出しそうなところを抑えて、美神光葉は口裏を合わせる。


「しかし、驚いたよ。ゴーシュどころか美神光葉の謀反行為までも明らかになるとは、ね。謀叛者として連行するから覚悟しなさい」


『恐らく、ゾォゥズフゥー・キャリーディスペアー────いや、〈アガレス〉らロタン────レヴァイアサンが仕組んだのだろう。四聖市内にロタン────レヴァイアサンの魔力反応が僅かだが残されている。メア・リメンター・バジリスクについては、まだ発見出来ていないがな…………。そこで、だ』


 煌焔が指を鳴らす。それと同時、周囲から彼女の部下であるボルコナ兵が美神光葉とゴーシュを取り囲んだ。


『貴様らには、メア・リメンター・バジリスクをこれ以上、罪を重ねさせないためにも、強力をして欲しい。拒否権はない』


「抵抗、反抗、拒否、逃亡、などしたら、遠慮なく焼き殺させていただくからな」


『美神光葉よ。その代わりに、せっかくラスノマスから保護した人間の子供らを、敵勢力の連れ去られたのを妾らボルコナ兵が責任もって救い出す。ゴーシュはシルベットに危険な目に合わないように加護を渡すことを約束しょう』


「……っ」


「へぇ〜」


 美神光葉は、せっかくラスノマスから保護した人間の少年少女を連れ去られたことを知って歯噛みをし、ゴーシュは口笛を吹いた。


 表側では、煌焔は投降を願い出ている。【異種共存連合ヴィレー】、【謀反者討伐隊トレトール・シャス】では、あらゆる裏切り行為は死罪とされている。


 実際に、両組織で間者として雇われている美神光葉としては、投降してもしなくともいいのだが……。どこかで【創世敬団ジェネシス】の者が訊いていたら、そう易々と投降はできない。〈念話〉のことを考えれば、頷かなければならないだろうが……。


 大罪人として指名手配されているゴーシュは、シルベットを側で護ることはできない。投降してしまえば、牢獄を入れられてしまう可能性を考えれば、〈念話〉のことを受け入れて、シルベットのことを任せた方が得策だろうが……。


 ゴーシュと美神光葉は違うことを考えて、同じところに行き当たった。


 この朱雀────煌焔の云うことを信じていいのだろうか。


 朱雀は気になる発言を幾つかしていた。


 まずは、数時間前に、メア・リメンター・バジリスクが脱走したことをいつ知ったのか。はっきりと、時間は告げてはいないが、メア・リメンター・バジリスクが脱獄して人間界に来るような言い方に、怪しく感じてしまうのは無理はない。


 そして、四聖市内にロタン────レヴァイアサンと共にメア・リメンター・バジリスクが顕れることを信じてやまないようだが、その根拠とはあるのか。ファイヤードレイクや如月朱嶺という従者を清神翼とシルベットの下に送り込んでいる時点で、前以てある程度は確証を持っていたのだろう。


 さらに、朱雀の人間界降臨には不可思議なことがある。


 朱雀────煌焔が南方大陸ボルコナを指揮し、統率する者である。そう簡単に降りてくるはずがない。国の最上位である彼女が、戦場に乗り込めば、それは首元をどうぞ斬ってくださいといっているものだ。


 彼女は、死滅されても蘇るまでに小一時間は戦闘不能に陥る。その間に、兵団は大将を失うことになる。いくら不死鳥だからとその時のために訓練されているといえど、気軽に姿を晒されていい身分でもない。


 それに朱雀は、元老院とのいざこざから政府から厄介者扱いされ、差別されてきた引きこもりだ。今年の巣立ちには、およそ百年ぶりにお出ましになったが、元老院との関係は良くないままで、和解と至ってはいない。劣悪な関係のまま、彼女が中央大陸ナベルに兵団を連れてくれば、元老院が朱雀が戦を仕掛けてきたと考えてしまい、許可されない。強行手段すれば、それこそ、戦争が起こりかねないだろう。


 そんな朱雀がボルコナ兵を引き連れて、〈ゲート〉を通って人間界に降りてくるなんて、出来るはずがない。少数で〈ゲート〉がある中央大陸ナベルに入国するのでさえ、審査に時間がかかる。巣立ちの時は、式典だからと特別に許可されただけに過ぎない。だからこそ、彼女が此処に来れた時点で不可思議といえる。


 もしも彼女が兵団を引き連れて人間界に降りてくることが可能ならば、方法は一つだ。


 長い期間をかけて【異種共存連合ヴィレー】や【謀反者討伐隊トレトール・シャス】にボルコナ兵を潜り込ませた後に、少しずつ人間界に送り込み、最後に朱雀が正体を偽って降りてくるといった方法が可能性が高い。


 だが、それも正体が発覚すれば大事になる危険性も孕んでいる上に、ゾォゥズフゥー・キャリーディスペアー────〈アガレス〉とロタンことレヴァイアサンがメア・リメンター・バジリスクを脱獄させることをかなり前から知っていなければならないことになる。


 そうすると、情報提供者はゾォゥズフゥー・キャリーディスペアー────〈アガレス〉、ロタン────レヴァイアサンと近しい人物だろう。陣営内の絆関係が強硬な彼らが、元老院議員たちから爪弾きされたとしてもハトラレ・アローラの英雄であり、聖獣である朱雀────煌焔に情報は渡すだろうか。それは難しい考える。


 美神光葉は陣営の情報には苦労している。五十年や百年の無陣営に気軽に渡すほど、柔ではない。


 そうなると、言葉や行動全てが怪しくなっていく。術式に、預言や予知といったものはない。だとしたら、朱雀もしくはその間者はどうやって知ることが出来たのか。正体は誰なのか。美神光葉は意を決して口を開く。


「連行する前に、あらかじめに聞きたいことがあります。いいでしょうか?」


「いいぞ。妾は寛大だ。それに謀反者を元老院の老いぼれだけの無能どもよりも先に捕らえることが出来て、上機嫌だ」


 煌焔に上機嫌に美神光葉の質問を許可した。


 呆気なく応じたことに驚く。彼女の口ぶりから、美神光葉が構築した〈錬成異空間〉が乗っ取ったことを推測し、いまさら隠すつもりはないといった余裕と判断する。


 なめられたものです、と怒りを込み上げてきたものの、〈錬成異空間〉を乗っ取られた以上はこの場から逃げることは困難だ。脱出する手立てを考えつくまでに質問で時間稼ぎするしかない。


「煌焔様は、何処からの情報でこちらに訪れたのでしょうか?」


「ああ。そのことか……」


 またしても、朱雀────煌焔は〈念話〉で伝える。


『そのことについてはだな────』


 朱雀────煌焔は〈念話〉と同時に答える。


「お二人さんが知っている人物だよ」


『お二人さんが知っている組織────【世界維新】のメンバーにして、シルベットの父君だよ』


 美神光葉は理解した。ゴーシュは苦笑して肩をすくめながらも、美神光葉と同じように〈念話〉で答えながら、口で話すことと違うことを送る。


『理解したよ。なら、安心だね』


『そうですか。私としては敵に近いですが』


『タツオミは味方だよ。美神光葉も何回も助けられているだろう』


『ええ。まあ…………』


 少し警戒し続けて疲労してしまったのを、ひと呼吸して冷静さを取り戻す。


 水無月龍臣。


 人間界────日本生まれの人間である。シルウィーンの夫にして、実の娘はシルベットだ。義理の息子にゴーシュもいる。


 人間界にいた頃は、武士として剣術を極めたこともあり、人間ながらも剣術の腕前は天下一品といっていい。亜人────龍人にも臆することなく戦い、勝ったことはハトラレ・アローラの歴史にも残されている。そんな彼は、【世界維新】という組織に入っていることは知っていた。


『朱雀も【世界維新】に入ったのだろうね。まだ表側は【異種共存連合ヴィレー】や【謀反者討伐隊トレトール・シャス】としているけどね。それでタツオミと繋がったと見ていいだろうね』


『そうですね。────何故、そのことを知らなかったんですか?』


『ハトラレ・アローラに指名手配されているし、人間界ではなかなか義父に逢って世間話する時間がなくってね。【世界維新】自体がメンバーに関して、秘密厳守で新入りのメンバーと接触しているのは限られているのさ。まあタツオミと接触していることを考えれば、恐らくは“例”の関係さ』


『そういうことですか……。それよりも、私も【世界維新】に入りたいと前々から言っているんですけど……、いつになったら──────』


 ゴーシュとの〈念話〉はゴーシュ側から強制的に切られた。


 相変わらず、ゴーシュは美神光葉を【世界維新】に入れる気はないらしい。


 美神光葉は心の中でこの変態と毒づきながら、刺すような視線をゴーシュに向ける。ゴーシュは天上にいる朱雀を見据えて気にそぶりを見せない。


 身体の周囲に焔を纏わせながら空に立つ朱雀は、ただ静かに──爛々と光る真っ赤な眼で、美神光葉とゴーシュをジッと見据えている。


 彼女はどこか様子を伺うかのように向けられている。そして口元に浮かんでいるのは、愉悦か恍惚というよりも朗らかに近い。


 朱雀────煌焔はなるべく冷酷な目を向けようとしている。


 彼女は極度に戦を好み、軍事的修練に勤しみ、名誉心に富み、使命において厳格であることになっている。実際の彼女は、国民──特に魔力が弱い子や女性に対して人情味と慈愛を示す。人間の扱いも極めて率直で尊大だが、謀反や裏切り行為等、侮辱を行った者に対しては見逃すことはしない。徹底的な懲罰を降し、容赦がないことでボルコナでは知られている。


 性格は、聖獣の中ではに極めて修練に怠ることなく、幼少期から長年の日課としている。忍耐強いかと考えたがそうではなく、平素はそうでもないが気は非常に短く、すぐに激昂はする。ひとたび激昂すれば、炎のように舞い上がり、好戦的かつ嗜虐的な気質があらわにし、無礼を働いた者を消し炭して死滅するまでおさまらないといった危険な側面を持ち合わせている。


 美神家が代々、接触には細心の注意がもっとも必要とされ、恐れてきた聖獣とされているが、どうも噂は当てにならないことがわかった。特に元老院議員たちの話は偽りが多いことがわかっただけ儲けと美神光葉は煌焔の頼みを受け入れることにした。


 ──まあ……ゴーシュに白蓮が〈念話〉で伝えたかったことはわかりましたし、やはり清神翼とシルベットには何かあることもわかりました。


 ──ここは、天下の朱雀様の頼みでも訊いてあげましょう。


「わかりました」


『では、私は何を致しましょうか?』


 美神光葉は観念したように言いながら、〈念話〉伝えると朱雀──煌焔はこくりと首を頷き、両脇――後方一・五メートルで従う二人が進み出てきた。


 朱雀の後ろに並ぶのは、緋色の和服を纏う少年少女は瓜二つの顔立ちをした、双子だった。


 身長は百二十センチ程で小柄。大きな瞳に桃色の唇、彫りの浅い顔立ちは幼さと愛らしさがある。一言で表すなら、可憐で合っている。少年は髪を炎のように逆立てた薄水色の短髪、少女はショートボブの桃色と髪型と髪の色が違っている。


 朱色を基調とした和服に、少女の右耳に水色の羽をした耳飾り、少年の左耳には赤色をした羽の耳飾りを付けている。膝上二センチの丈が短く、下駄を履いており、髪型がおかっぱなら日本の妖怪で座敷わらしと様相に似ていただろう。


 二人は朱雀の従者だ。


 少年は、煉神鳳。


 少女は、煉太凰。


 共に、鳳凰。


 鳳凰とは、中国神話の伝説の鳥、霊鳥である。鳳皇とも呼ばれ、日本や朝鮮など東亜細亜全域にわたって、装飾や象徴、物語・説話などに登場する。


 本来の姿は、黒・白・赤・青・黄といった五色絢爛な色彩と孔雀と同じく大きく鮮やかな扇状の飾り羽には、”徳”、”義”、”礼”、仁”、”信”の五色の紋がある。頭上にはニワトリやキジなどの頭部に見られる毛細血管が発達した装飾器官、鶏冠のような冠状の突起物を持つ。孔雀に似ているが、雌は背中に亀のような甲羅を持っていたり、魚のような尾鰭があったり、雄には爬虫類を思わせる蜥蜴に似た顎を持っていたりと、雌と雄を見分ける特徴だ。


 美神光葉は双子の少年少女をざっと観察して、二人は目配せして頷き合っていると──


「え……?」


 美神光葉は眉をひそめる。


 美神光葉の前に進み出たものがいた──


 その人物は、ゴーシュだった。


「朱雀に伝えたいことがあったよ。訊いてもいいかい?」


「いいよ。この〈錬成異空間〉は全包囲されている。逃げられるわけがないからね」


「じゃあ、遠慮なく」


 そう言って、ゴーシュは不敵に微笑みを浮かべている。学舎からよく見てきた、とてつもなく、ろくでもないことを考えている目だ。美神光葉の心中に厭な予感が過る。


 ──な、何をする気ですかゴーシュ……。


「────どこら辺まで水無月龍臣から訊いているのか、教えてくれる年増のオバハン」




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