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第一章 三十一




 青龍族の由緒正しき名家であり、七人の英雄の一人でもある水波女蒼天の娘にあたる水波女蓮歌は、幼少の頃から第一皇女として相応しい教育・礼儀作法を厳しく学んできた。


 祭事では、神楽の奉納も行う舞姫も務める彼女にとって、エクレールという存在は、父親である水波女蒼天と同じ七人の英雄の一人の娘であり、同年代の第一皇女という境遇が似ている。それだけではない。


 豊かな緑と季節ごとの花々が咲き乱れる庭園。涼やかな風に木々の葉が揺れ、散る花弁が舞い踊る中で、二つに結い上げられた鮮やかな金髪を風に揺らし、同世代とは思えない洗練された美しく気高い少女に惹かれるには時間はかからなかった。


 それからというものの、蓮歌は再びあの衝動を求めてエクレールの姿を探している。


 最初の出逢いでは胸の高鳴りに危機感を覚えて、母親の後ろに隠れてしまったが、エクレールの姿を思い出せばそれは鮮明に蘇ってしまい、落ち着きがなくなってしまう。


 それが恋患いに似ていることを知った蓮歌は、胸を熱く高鳴らせる疼きを解消するには、エクレールに会わなくては果たされないと確信し、それからというもののエクレールに会わないと気が済まなくなってしまった。


 学舎に入学すると、その欲求は大きくなり、抱擁しないと落ち着かなくなり、エクレールが自分よりも親しくする者には嫉妬の目を向けるようになった。それにより、エクレールが蓮歌に対しての好感度を低下させていたことを彼女は気づかない。


 それどころか、蓮歌はエクレールの交友関係を邪魔したことに一切の罪悪感を抱かず、その行為を悪事と認識をしてはいない。感情的には、大好きなぬいぐるみを誰かに取られてしまうのを防いだだけの感覚なのだろう。


 現在も、【謀反者討伐隊トレトール・シャス】が【創世敬団ジェネシス】と戦争直前にも関わらず、エクレールが空に取られてしまうんじゃないかという危機感の方が大きい。


 別に、空はエクレールを蓮歌から取ろうとしているわけではない。彼女は、異国から来たエクレールと蓮歌とただ単に仲良く接しょうとしているだけで、エクレールは空と会話して、【創世敬団ジェネシス】が危険が及ばないように避難させるべく、空たちを連れ出す口実を作ろうとしていただけであって、蓮歌の思い込みに過ぎないのだが……。


 蓮歌は、思わず保護対象者の人間以外には、守秘義務が生じる〈錬成異空間〉という単語を口にするほどに動揺していた。


 だが──


 上官に知られば軍法会議ものの発言をしてしまった蓮歌だが、それで慌てるほど彼女は愚か者ではなかった。


 彼女は、これまで二度も〈錬成異空間〉という言葉を発言してしまった。これは変えられない事実だと諦め、先ほどのように〈錬成異空間〉という言葉を、蓮歌の頭の中だけに存在する架空の言葉──単なる中二発言という捉えられていたことを利用するように咄嗟に仕向けた。


 なるべく、飾らない茶目っ気な態度で返すように心がけ、不意に出てしまったと認識させる。それにより、空たちは詳しく聞こうという興味をできるだけ少なくさせることに成功したのだが──


 エクレールの心情は穏やかではなく、著しく蓮歌に対しての好感度は機嫌と共に下落しつつあった。


 自分の不用意な発言や行動が原因となり、機嫌を損ねていることを知らない蓮歌は、エクレールに自分以上に親しくさせまいと空に話しかけて妨害する。


「それよりも蓮歌ぁ、どこかに観光したいんですぅ。空さん、どこかに連れ行っていただけません? 本当は、翼さんに連れてもらうのが筋だと思いますがぁ、留守中ですしぃ。シルベットさんも翼さんと観光しているのならば、こちらも観光したいなぁなんてぇ。おこがましいお願いですけれどぉ。翼さんには、電話かメールで知らせておけばいいと思いますしぃ。どこかで合流すればいいんじゃないでしょうかあ」


 ニッコリとアイドルスマイルを浮かべながら、独特の間延びをした話し方を上手く使い、エクレールに話しかけまいと捲し立てた。


 天宮空は蓮歌の話を聞いて、少し考えてから頷く。


「う〜ん……そうだね。そこまでいうなら」


「お受けして嬉しいですぅ」


 交渉成立に、蓮歌は手放しで喜んだ。




 まさかの交渉成立に、エクレールは驚きを隠しきれない。


 ──あの自己中心的で、わたくしの邪魔ばかりする蓮歌が……。


 【謀反者討伐隊トレトール・シャス】の秘匿情報である〈錬成異空間〉という言葉を、他人事のように暴露した人物とは到底思えない。


 清神家を出る口実を作りながらも、保護対象者への配慮を忘れない、といったエクレールが必死に思考を巡らしても成し得なかったことを今まで眼中になかった蓮歌がやってのけたことにエクレールは何か裏でもあるのだろうか、と勘ぐる。


 勿論、エクレールの読みは当たっている。蓮歌はただ単にエクレールが取られそうだと思い込み、これ以上自分より親しくさせないために話しただけであって、引きはがすために観光と偽って、外に連れ出そうとしているだけに過ぎない。


 蓮歌が強引に推し進めたことにより、天宮空が断れきれず引き受けてしまった。


 天宮空という少女は、元々は他人の頼み事を上手く断れないタイプの人間である。


 いつも天宮家の門限などや決まり事により、断らなければならない。友人である翼と亮太郎は、そういった天宮家の事情を二人は知っており、学校などで強引に頼み事をしてくる人がいたら、助け舟を出しているために蓮歌のように捲し上げるように頼み事をしてくる人がいなかったのもあるが、初対面であるエクレールと蓮歌は異国から客人な上に、親しい翼の知り合いとあって断りきれなかっただけに過ぎない。


 ──まあ、でかしましたわ。あとで頭を撫で撫でしてあげますわ。


 空を清神家から連れ出すことにエクレールは一安心し、蓮歌の好感度はちょっとだけ上がった。


 にもかかわらず、蓮歌はその好感度を再び下げてしまいかねない策に思考を巡らせる。


 ──さぁ、空さんをこれ以上エクちゃんに親密にさせないためにはどうすればいいでしょうかあ。


 蓮歌は、黒が少しだけ混じった微笑みを浮かべる。


 そんな彼女らの横に、忘れられている人物がいた。


 エクレールや蓮歌だけではなく、空からも忘れられていたのは鷹羽亮太郎だ。


 彼は、彼女たちの会話を聞き、自分も彼女たちの観光案内に加わると思い、いろいろと妄想を膨らませる。


 ──観光。


 ──観光によって、彼女たちと親密になり、いずれは……。


 ぐふふ、と今の彼女たちの好感度では起こり得ない妄想に、端から見れば気味悪い微笑みを浮かべている。


 そんな亮太郎の横にいた空がようやく彼の存在に気づく。


「あ」


 居たの、と内心酷い事を思いながらも空は口に出さず、胸の中で留める。


 何とかして、亮太郎の存在をこれ以上彼が傷つかないようにエクレールたちに気づかせるかを考えていると、亮太郎の不気味な笑い声にエクレールが気づいてしまう。


 ──まだ居ましたの? 何でこの人、笑ってますの? 気色悪いですわ……。


 空以上の傷つくことを考えながらもそれを口に出さない。流石に、少なくとも一回は忘れていたこともある。


 翼の今後との交友関係を悪化しないためにも、【創世敬団ジェネシス】から護衛するといった任務を終えるまで亮太郎のご機嫌を損ねてしまうことは避けるべきだろう。


 それにエクレールたちの配属先は人間界だ。これから人間界で暮らす上で、人間との交友関係は重要といえる。人間と日常生活を過ごす上で、最初の基盤は四聖市になる。


 そういったことからエクレールは自重することにした。


 蓮歌は、空とエクレールをどうやって引き裂こうかと悪巧みをして、ニタニタする亮太郎の存在に気付いていない。すっかり自分の世界に入っている。だが亮太郎もニタニタとした顔をして、妄想に溺れている。お互い周りが見えていない。


 そんな二人を端から見ていたエクレールはため息を吐く。


 ――わたくしは、しばらくこんな方々と一緒にいなければならないですの……。


 この先に、エクレールは不安に募っていく。こんな不満だらけの【部隊チーム】に入っていたら、いずれ精神的に追い込まれてしまいそうだと、本気で悩む。作戦が一段落したら、本部に【部隊チーム】異動届けを出そうかとエクレールは考えていると、天宮空が声をかける。


「じゃあ、ちょっと翼くんに連絡するね」


「そうですわね」


「家の中を勝手に留守にして、客人を連れ回すんだから、一言だけでも伝えないとかないと、翼くんが帰ってきた時に心配しちゃうもんね」


 と、言いながら徐にスマホを取り出す。そして、メールではなく電話をかけ出した。


 携帯の電波が〈錬成異空間〉まで繋がることが出来るかどうかは、微妙である。


 空間に創り上げた偽りの世界にある携帯の基地局をいかに精巧に構築したかにより繋がったり、圏外で繋がらなかったと様々。これには、術式を組んだ者の性格、技術力や魔力によるものだ。


 如何に、〈錬成異空間〉を構築した者が魔術力がわかる。もしも繋がれば、本物の世界とほぼ変わらない完成度を持っていることになる。


 〈錬成異空間〉に注ぎ、維持をするために強大で巨大な魔力。世界を構築し、維持するきめ細かな計算能力と技術能力。全てにおいて、本物以上の偽物を創り上げるには、相当の力を浪費する。そのため、仕掛け罠を張って狩るだけの下っ端では不可能である。


 よって、本物以上の偽物を魔術だけで作り上げる術者は、相当の優れた魔術力を持っているということがわかるだろう。


 つまり天宮空がかけた通話が翼に繋がれば、シルベットたちと対峙している相手は強敵だ。


「出ないな……あ、切れた」


 十回ほどコールした後、電話は切れた。


 コールは鳴った。それはつまり、繋がったということ意味する。


 緊急事態である。早く清神翼の元へ向かわなければならない。


 しかし、天宮空の安全が保証できる場所へ避難させてからじゃなければならない。


 そして──エクレールの頭の悩ませる存在がまだあると気付かされることになる。


「仕方ないから、メールで報せとくね」


 そう言って、スマホの液晶画面をタッチした。


 しかし。


 天宮空が清神翼に宛てたメールは届くことはなかった。




      ◇




 翼は、これまで決死の覚悟で護ってくれたシルベットを守りたいとも、純粋に戦いたいとも思っている。


 だが。


 目の前の、この圧倒的な光景を前に、どうすれば良いのか。


 人間よりも並外れた身体能力を持つ異世界の亜人という意味でも、物理法則を超える”魔術”を使用する大規模な戦事という意味でも、もはや中学二年生の少年が入り込む隙はない、むしろ、少年の心のキャパシティを軽く凌駕してしまっていた。


 戦おうと思っていながら、結局は足が震えて肝心の場面で動く事ができない。恥も外聞もない。それこそちっぽけな人間の少年にしてみれば驚異的で、眼前で繰り広げられれる戦いに恐怖を感じてしまっていた。勇気とか正義感とかでは身体を動かすことは出来ず、人間の次元を超えた亜人の戦いを額に汗をびっしり浮かべながら、固唾を呑んで見護るしか出来ない。


 行ってたとしても、一瞬で絶命する事も十分あるだろう。それどころか亜人同士が戦う中を翼が不用意に近づければ、剣圧に切り刻まれて肉片など残さず、塵にされ、無に帰してしまう可能性だって、充分に有り得るのだ。


 それがシルベットの足を引っ張る原因に繋がりかねない。結果、シルベットも倒されてしまい、それが勝敗を大きく左右する事にも繋がりかねない。そういう風に考えていくと、彼らは立ち尽くすしかない。だが、それは人間としてまっとうな心の動きだったのかもしれない。


 空中では、美神光葉がこの戦争の主犯格であり、翼を狙うラスマノスと戦っている。百ものドラゴンの大軍が殆ど地面に倒れてしまっても一向に衰える様子がないラスマノスは、むしろこれまでより苛烈に、圧倒的な力をもって美神光葉との一対一の戦いを繰り広げている。


 到底に飛び込める戦いではなかった。飛行能力を持たない翼は土俵に上がることも出来ない。


 翼は、どうにも出来ないもどかしさを感じながらも、シルベットとシンの戦いを衝撃波に吹き飛ばされないように身構える。


 時間が経てば、シルベットの魔術の経験不足により、〈結界〉がなくなる。それにより、安全だったこの場所は、亜人達の戦いによる衝撃波によっていつでも吹き飛ばせせる危険地帯となってしまう。


 ただ、彼らは戦いを眺めているだけでは済まなくなる。


 シルベットもそれを危惧していた。


 シンとの戦いに早急な決着が急務だが、手合わせして、改めてシンの剣術の腕は相当なものだった。〈結界〉が経験値不足による効力を失うまでの短時間で決着がつくかどうかわからない。最悪な場合も考え、シルベットは〈錬成異空間〉に穴を空けて翼を脱出させて、エクレール達がいる現実世界へ逃がすことも視野に入れて、天羽々斬を握りしめている。


 シルベットは、翼をこの危機的状況を打破できるかを、翼は恐怖に震えながらも自分のために戦うシルベットがどうやったら不利に出来ないかをそれぞれに思考を巡らせていた──


 その時。


『───を呼べ』


 ふと、そんな声が聞こえた。


 慌てて振り返ると、そこには誰もいなかった。明らかに前方で睨み合う二人の声とは違う。


『────を、呼べ』


 もう一度、声がした。


 どうやら声は聴覚を通じてきこえたものではなく、翼の頭の中に直接に響いているということに気づく。


 そして──


 頭に響くその声は、低めで渋い、ダンディな男を印象付かせる。それは、夢の中で龍に模した小さな刀剣を翼の胸に入れた大男の声と似ていた。


『早くしろ。あのお嬢ちゃんを”また”泣かせたくなかったら、────を、呼ぶんだ』


 また声が聞こえた。次第に大きくなるその声は、肝心なところだけ雑音に消され、何を言っているのかわからない。


 ただ──


 翼に対して、ぶっきらぼうながらも優しく諭そうとする温かさがある。不思議と、翼はその声に敵意を感じなかった。


 昨日、〈錬成異空間〉に引き込まれた際に出会った時に、龍に模した小さな刀剣を胸に入れられた時に凄まじい激痛も味わったことは忘れたわけじゃない。夢にもかかわらず、身体を駆け巡った苦痛はリアルに思い起こされ、恐怖で身体が震えてしまう。


 たが──


 それでも声が親しみ深く、無条件にも信じてしまう。


『どう感じてもいいから、早く────を使って、あのお嬢ちゃんを助けてやれ!』


 その声は、肝心なところだけ雑音に消された何かを使ってシルベットを助けろと鼓舞する。


 何となくだが、翼は肝心なところだけ雑音に消された部分、指し示しているものがあの小さな刀剣なのではないか、あれがこの状況を打破する何かではないかと感じてならない。


 翼はおもむろに、龍に模した小さな刀剣を胸に入れられた胸元に手をあてた──


 その時。


 急にポケットの中に入れておいた携帯電話が、軽快な着信音を響かせた。


「────!」


「────!」


 それが、合図だった。


 シルベットとシンがほとんど同時に地を蹴り、激突する。


 ドッ!! という轟音が炸裂した。


 天羽々斬と一メートル弱の細身の西洋剣が、鍔に近い位置で拮抗した音と共に衝撃波が放出される。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」


 その圧倒的な衝撃波が消失しかけていた〈結界〉にとどめをさした。白銀の〈結界〉は破壊され、翼は吹き飛ばされる。情けなく地面を転がされ、何かにぶつかって昏倒した。




      ◇




 気づくと、ロウソクの火程度の明度しかない奥には闇が拡がっている不思議な空間に翼はいた。


 足元は黒曜石が敷き詰めてある地面だ。一点の曇りも淀みもない純度が高く、光沢がある地面は闇に埋もれた奥へと続いている。


 そんな黒で統一された空間に、ロウソクのような揺らめく光りに点された箇所があった。唯一、明かりが点るそこには木製の背もたれがある椅子が二つ、一メートル程のテーブルを挟んで向かい合わせにするかのように置いてあった。


 翼は、いつの間にかそこに座り、向かい側の椅子には毛先を立たせた銀の短髪に、堀が深く巌のような顔立ちは獰猛な戦士を思わせる大男が座っていた。テーブルには、マグカップが置かれており、中には少しばかりのコーヒーが注がれている。


 いつどこからこんなところに連れて来られたのだろうか。確か、シルベットとシンの剣圧に吹き飛ばされて……、と考えるがどの経緯があって、この闇しかない空間に来たのか検討がつかない。


 雰囲気が前回の深い霧の中とは違っていたが、似ていたことや目の前にいる大男がいたといった観点から翼はこれは夢の中なのではないか、と結論に至り、逆に冷静さを取り戻すことが出来た。


『助けたいという気持ちがあるにもかかわらず、躯がすくんで動けないというのは、気持ちだけは合格点。しかし、躯がすくんで動けなかったのは、失点だな』


 向かい側に座っていた大男がそう呟くと、マグカップを口をつけて啜った。


 大男の出で立ちは前回と変わらない。二メートルもある長身。ボディビルダーのような筋骨隆々な身体を美しい黄金のスケール・アーマーに似た装甲で纏っている。


 低めで渋いダンディな男のような声音を響かせて、一見は外国人と変わらない出で立ちである大男は、どこで習ったのか完璧で流暢な日本語を使いこなす。


「……あなたは、誰だ?」


 翼は前回では答えてはくれなかった問いを訊ねた。


 大男はカップに口をつけ、コーヒーを少し飲み、口を湿らせてから金色の双眼を向ける。翼は、大男の鋭い眼光に気圧され、思わず息を呑んだが、大男は堀が深い巌のような顔立ちを申し訳そうに表情を変え、口を開く。


『申し訳ねぇが、名乗りたいが今はまだ伝えることが出来ない』


「どういうこと?」


『何から説明すればいいかわからないが……』


 大男は銀の短髪を掻く。


『ツバサ──てめぇには、名前を含めて、肝心な部分が伝わらないように術式がかけられているらしい』


「どういうこと?」


 名前を含めて、肝心な部分が伝わらないように術式をかけられていると大男は言ったが、翼には術式をかけられた覚えもない。それどころか、魔術に接したのは昨日、シルベットと会ったあの時が初見だ。


『ツバサが言いたいことはわかっている。だが、ツバサが魔術を接したのは昨日ではない』


「えっ」


『詳しいことは、術式により、どう足掻こうも伝えることはできないが、ツバサが魔術を見たのは、──年前だ』


 筋骨隆々な腕を組み、言った大男の言葉は一部分だけ雑音に消されて聞こえない。やはり肝心な部分が伝わらないように術式をかけられているという大男の発言に信憑性が増したことになる。


 だが、翼はいつどこでその魔術をかけられたのか、記憶は一切ない。


『やはり無駄か。どんな言葉をかけようとも、オレからじゃ術式が解けないようにご丁寧にも細工もされている。全く術者である────は、用心深い』


 大男の言葉がまた雑音で消された。どうやら、翼にかけられた術式が発動したのだろう。


『どこまで制限をかけているのかは知らないが、術者名と──に関する事柄は思い出せないようにしているっぽいな。まあ、それに触れなかったら、話しはできるということだな』


「思い出せないように……」


 思い出せないように、という大男の言葉から翼に術式をかけた術者は、どうしても翼には思い出されてはまずい何かがあるのだろうか。


『まあ────だが、ツバサからの解術はできる』


「俺からっ!?」


 解術がツバサにできる、という大男の言葉に翼は驚く。翼は魔術なんて使ったこともないどころか、つい最近──昨日まで、その存在さえも架空のものだと、今まで信じていなかったのだから仕方ない。


『ああそうだ。てめぇには、オレが中にいるおかげで、少しばかり魔力の配流が可能となっているみてぇだからな。オレが直接的に術式を解こうとすれば制限がかかちまうが、ツバサがオレから配流された魔力を使って解術すれば、制限にひっかかることはないだろ』


「解術する方法なんて知らないし、それに魔術って経験値によって制限がかかるんじゃないの?」


 魔術は、行使できたとしても経験値によって、制限がかかるということを老紳士────シンが言っていたことを翼は思い出す。


 魔術初心者である翼は、大男から魔力を配流して行使したとしても制限がかかるんじゃないか、もし制限がかかったとしたら人間である翼は半龍半人であるシルベットとは違った副作用が起こるんじゃないか、と危惧をする。


『まあ確かにそういった制限は普通に行使したらかかるな。魔術初心者の人間なら尚更だ。かけられた術式が強力だった場合は、魔力の逆流は起こりかねない。最悪、精神が汚染されて廃人だろうな』


「…………」


 精神汚染による廃人になる可能性を示唆され、翼は息を飲んだ。


 誰だかは知らないが翼に肝心なことを伝わらないように術式をかけた者は、よっぽど思い出してほしくないことがあるらしい。


 不可解にも抜け落ち、どうしても思い出せない時期は誰にでもある。翼にもそういった時期は存在する。


 時折、何度か思い出そうな感じがして思い出そうとするが、全く思い出せず、両親や鷹羽亮太郎や天宮空といった友人や知人に聞いても腑に落ちない答えが返ってくるだけで、結局思い出せないままにしていた。


 翼は、何となくその時期に、忘れてはいけないことがあった気がして、忘れていた五年前の夏を思い出そうとした時。


 パチン、と静電気が散るような音が頭の中で響き、ズキンと頭に金槌でも打ち付けたかのような痛みが走った。


「がっ…………!?」


 ぐっ、と強烈な吐き気に翼の体が大きく震えると、頭上に魔方陣が展開される。


 頭痛、嘔吐、倦怠感と一気に襲われ、光沢がある黒曜石が敷き詰めた地面に転げ落ちた。そのまま、翼は地面をのたうちまわる。


「たっ……すけ、て……」


 翼は、苦しみもがき助けを求める声を上げた。そんな彼の傍に大男はゆっくりと近づき、口元に手をあて、感心したかのような顔で頷く。


『ほう。どうやら、肝心な部分が伝わらないようにしているどころか思い出せないようにしているらしいな。まあ、安心しろ。初期段階だから痛みは数秒で治まるはずだ』


 黒曜石が敷き詰めた冷ややかな地面を頭を抑える翼に大男がそう言うと、今まで苦しめていた頭痛は治まっていった。だけど、倦怠感は未だに取れず、体は鉛を背負っているかのように重い。


 重い体をやっとのことで起こすと、翼が起きるのを待っていた大男が口を開いた。


『この精神世界の中では、アイツがかけた術式が具現化し、直接的に痛みとして表れ、襲いかかる。いずれ思い出そうとする度に、副作用として症状が表面化する恐れがある。思い出さないように気をつけたとしても、制限がかかっている記憶を穴埋めをしていない状態だ。穴埋めをしていないためにどうしたってズレが生じてしまう。そのズレをなんとかして架空の記憶で穴埋めできればまだしも、ツバサにはそれが全くない』


「どういうこと?」


『架空の記憶がない、ということは、不自然にも思い出せない記憶があるということだ。通常、こういった〈記憶消去〉、〈記憶制限〉、〈洗脳〉といった類の術式は、亜人であれど脳に大きな負担を与えるかねないために不用意な行使を禁止されている。人間ならば尚更だ。もし、行使しなければならない非常事態があった場合は、なるべく脳に負担を軽減するために──〈仮想〉で埋めるしかないのだが……それがツバサにはない。』


「かそう……」


 仮想、という日本語では実際にはないことを、仮に現実のこととして考えること、仮の想定といった意味を持つ単語を大男の口から出された。


『〈仮想〉とは、制限または消失した記憶の代用となる記憶となるといえば、何となく伝わるだろう。まあ、要は制限または消失した記憶の穴埋めと辻褄合わせだな。だからこそ、もっとも現実的で辻褄を合わせとなる〈仮想〉を用意する必要性があるが、大抵は緊急事態な上に初対面の場合が殆どだ。そんな精度が高い〈仮想〉は不可能といっていい。それでも仮の記憶──〈仮想〉で空白となった記憶を繋ぐことにより脳にかかる負担を軽減することができる。だがな、状況にもよるが、人間の記憶を〈仮想〉で埋められる日数は最低でも一日が限度だ。それ以上は、違和感がどうしても拭えることは出来ない。きっかけがあれば思い出そうとしてまうだろう』


「つまり、それは術者のかけ忘れか、俺に制限をかけた記憶は限度である一日以上のどちらかということ?」


『そうだな。制限をかけた記憶量から察するなら三日といったところだな』


「み、三日っ!?」


 翼は自分に制限された記憶が三日と聞いて驚愕した。


 確かに、どうしても思い出せないのは五年前の夏──お盆で父親の実家に帰省してから一泊してからの次の日からお祭りがあった日までにかけての三日間くらいだ。その前日や後日は、すぐに思い出せるのだが、その三日間くらいのだけはどうしても思い出せない。


『人間の脳は元々百四十年分の記憶が可能だ。忘れるといっても思い出せないだけで、思い出を司るエピソード記憶から消えたわけじゃない。ふとした瞬間に思い出すことなんて、人間のみならず亜人だってある。記憶というのは、完全消失はできないのだからな』


 大男は翼に丁寧に教える。


『そもそも記憶というのは、言葉や知識を司る意味記憶、運動の慣れなんかを司る手続記憶、そして思い出を司るエピソード記憶なんかがある。それらは感覚記憶と短期記憶と長期記憶といった具合に記憶の保持時間は異なる。外部からの刺激を与えた時に起こる最大一から二秒ほどの最も保持期間が短い感覚記憶から、何らかの影響で亡くなり火葬で燃やされるまで保持し続ける長期記憶とがある。一旦、長期記憶に入った情報は消えることなく、大容量の情報を保持することができる。それにも関わらず、思い出せないのは情報自体が消失しているのではなく、適切な検索や手がかりが見つからないために記憶内にある情報に辿り着けなくなるからだ。それにより、忘れるといったことが起こってしまうからだ』


 翼は、記憶についての仕組みを大男から聞き、百四十年分の記憶を貯蔵できる莫大な量の棚を思い起こす。そこから事細かに選別された情報を取り出すことにより、記憶を思い出すことが出来るのだろう、と自分なりにわかりやすく解釈し、大男の話しの続きに耳を傾けた。


『区分けした記憶を誰かが勝手に制限や消失なんてしてみろ、それこそ脳に大きな負担がかかってしまうのは目に見えている。それが一時間の記憶だとしてもだ。だからこそ、〈仮想〉で何とか穴埋めして、脳にかかる負担を軽減させなければならないだが……それがないから困ったものだ。このままでは、脳が制限をかけられた記憶を触れてしまう可能性が高い。意識的に思い出そうとしなくとも、脳というものは日頃から記憶の整理をしているものだ。特にレム睡眠時だが、脳はその度に〈記憶制限〉の術式がかかった記憶に触れてしまい弾かれ、大きな負担がかかる。それが嘔吐や倦怠感といった体調不良を引き起こしてしまいかねない。それだけではない。脳の処理能力では数時間でさえ大きな負担がかかるてぇのに、三日分の記憶量の穴は脳にとっても精神的にとってもストレスだ。それが発端となり強烈な頭痛となって襲いかかる。頭痛や各種の身体的な不調として現れ、それが日を追うごとに回数が増え、苦痛の度合いも増して行くだろう』


 大男は少し言いにくそうしながらも口を開く。


『────いずれは頭痛とかでは済まなくなるだろう。この先、三日分もの制限をかけられた記憶をこのまま放置しておくと、脳がストレスと術式により苦痛に襲われ、脳の記憶や空間学習能力に関わる脳の器官である海馬が萎縮または損傷してしまったことにより記憶障害、見当識障害、学習障害、注意障害、視空間認知障害、問題解決能力の障害といった認知障害や脳全体に損傷による運動機能の障害――脳性麻痺を引き起こす恐れがある』


「…………ッ」


 翼は思わず息を飲み込んだ。


『解術せずにこのまま放置すれば、思い出そうとする度に頭痛、嘔吐、倦怠感の症状が襲われ、いずれは脳に深刻な損傷を与えてしまう。思い出さないように気をつければいいのだが、レム睡眠時に無意識的に制限をかけられた記憶に触れてしまっては防ぎようもない。その度に脳に負担をかけてしまえば、あらゆる障害や麻痺を引き起こし、症状が適当な嘘をかき集めてもごまかし切れなくなる程に嫌でも表面化してしまうだろう』


 この選択は問題の先送りでしかない。というよりは完全な逃避だ。その逃避は、いずれは逃げ道を失うことになる。


 だからといって、解術を容易には選択はできない。


 魔術初心者である翼は経験値不足により、制限がかかっている可能性は高い。シルベットとは違い、人間である翼はかけられた術式が強力だった場合による魔力の逆流、それに伴い精神が汚染され、最悪な場合は廃人になってしまう危険性が孕んでいる。


 もし無事に済まなかった場合は、思い出すどころではない。それは、これまで難なく送っていた普通の生活は難しくなるということだ。それはもう、適当な嘘を掻き集めて周囲にごまかすことさえ不可能となり、精神的な自殺と言っても過言ではないだろう。


 どちらの選択もリスクが高すぎる。


『さて、説明は以上だ。オレとしては解術しなければないと想うが────どうするんだツバサ?』


 どちらにしても術式を解こうが解くまいがオレはてめぇの選択を尊重するぜぇ、と大男は翼に術式を解くか解かないかの選択を委ねた。


 尊重するといっても、すぐに決められることではない。


 だからといって、大男とは次も会えるかはわからない。


 それどころか次があるかもわからない状態で答えの先延ばしはできない。


 こうしている間にも、シルベットは戦っている。何とかして、誰かに制限をかけられた記憶を思い出して、シルベットを助けなければならない。


 大男は、あくまでも選択を翼に任せるつもりなようで、静観している。


 翼は深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから、大男を見上げた。


「まずは、何をすればいいですか?」


 翼は、記憶にかけられた魔術を解術することを選択した。


『覚悟を決めたようだな』


 翼の覚悟に大男は頷く。


『安心しろ。解術する際のリスクはツバサにはないからな』


「え……──あっ」


 大男が言ったことに翼は理解が出来ず呆然と呟き、数瞬の間を置いてから、不意に翼は気づいた。


 そうだ、大男は、翼が経験値不足により制限がかかるとは口にはしていなかった。あくまでも、”経験値不足で魔術初心者の人間が魔術を行使したら”といった想定で答えただけであって、そこに翼は含まれるか、については公言はしていないことに。


 大男が主に翼が解術しなかった場合に争点を当てていたのは、はじめから選択は一択しかなかったからこそであり、解術に伴うリスクは翼が聞かれたから答えたに過ぎない。


 選択が一択しかない以上は、勝手に翼の意思など無視して解術させるやり方は出来た。にもかかわらず、大男が選択を委ねたのは翼の覚悟を見るためだったのだろう。


『正確には、魔術を使うのはツバサだが、魔力の供給はオレだ。それにより、魔力の逆流の危険性は、通過点であるツバサは影響は殆どない。オレの経験値から魔力の逆流の心配はなく、それにより、ツバサがどうにかなるわけじゃないから下手に畏まることなく、肩の力を抜いて安心しろ』


 大男は、堀が深く巌のような顔立ちを穏やかな微笑んだ。


 その微笑みの中には、嘘や偽りの色はない。それどころか、不器用ながらも緊張でガチガチに固まった翼の気持ちを何とか解そうと肩を揉んでくる。ボディビルダーのような筋骨隆々な腕とは考えられないほどの繊細で絶妙な力加減に緊張どころか肩のこりさえも揉みほぐされていく。


 翼は、魔力を使うことに対して不安を抱いている。それは恐怖だと言ってもいい。大男から借りることによりリスクが軽減されたとして、翼にとって魔力とは未知なる力だ。魔力という単語だけならば、漫画やアニメ、ゲーム等では聞き慣れたものだが、使ったことは一度もない。


 魔力という未知の力を使ってみたいと思ったのは、幼い頃に一度は夢見たことがあったが実際に使えるとなると臆してしまう。【創世敬団ジェネシス】とシルベット達の壮絶な戦いを見てしまえば尚更だ。


 現実化してきた魔力を翼は、簡単に扱えるものだとは考えられない。魔力が逆流する危険性は低いだとしても、そう簡単には受け入れて使うことに抵抗を覚えてしまう。


 そんな恐怖と不安を和らげようと大男はまず、翼のガチガチに固まった肩を揉みほぐすことにより少しでも取り除こうとしている。


 現に、翼は大男に肩を揉みほぐされ、あまりの気持ちのよさにトロリとした顔を浮かべている。まさに天に昇る気持ちよさといったマッサージにより、凝りと共に緊張と恐怖や不安が取り除かれていった。


『オレはこう見えて、マッサージが得意なのだ。まだ龍人だった頃に人間から手ほどき受けたからな。人間がよく凝るところやツボは心得ている』


「……」


 翼は、大男の言葉にいくらかの気になるところがあった。


 口から出された言葉通りなら、大男はどのくらい前は知らないが、エクレールと同じ龍人だったことを意味していた。同時に、彼は人間と接触していた時期があるということ、優しげな口ぶりからその人間とは少なくともマッサージを伝授されるほどに親しかったと伺える。


 だが、翼はあまりの気持ち良さに気が回らなくなっていた。


 肩から腰にかけて、ひと通りに揉みほぐした大男は、


『さてと』


 と、翼の背中────左右の肩甲骨の間に右手を添えられ、大男の掌から白銀の魔方陣が展開し、翼に魔力が注ぎ込まれる。


『ツバサ。気持ちいいところ申し訳ないが、此処からは本題といこうじゃないか』


 大男は、そう言って翼を起こした。


 気持ちいいところを起こされたために物足りなさを覚えながらも、翼は眠りかけていた思考を首を振りながら、どうにか戻そうとする。夢の中にいるにもかかわらず、眠りこけてしまったことに不思議に感じながらも、二十数えるほどの間を置いてから、夢うつつから戻ってきた翼は大男の方に首だけ振りむく。


「で、どうすればいい?」


「まずは、両の掌を広げて前に突き出し、これからオレが言うことを復唱するだけでいい。魔方陣が顕現された後も、そのまま続けろ。魔力の制御やらの細かい作業はオレが何とかするから安心して詠唱しろ」


「わ、わかった」


 翼は大男に言われた通りに両の掌を広げて前方に突き出すと、そのことを確認した大男は、翼の背中────左右の肩甲骨の間に右手を添えられた掌を、背中に展開させた白銀の魔方陣に右腕を入れた。


 ズブズブ、と翼に入れた大男の腕は、反対側に飛び出ず、その内側に潜っていた。肉体的なダメージこそないが、体内に入っていく不思議な感触は背筋をなぞった時に感じるむず痒さと似ている。


『〈記憶制限〉:解除の章――』


「き、〈記憶制限〉:解除の章」


 ぞわわ、とした感触に翼は鳥肌を立たせ何とか堪えながら、翼は大男に言われた通りに復唱すると──


 翼が広げた両の掌が眩いくらい白銀に輝き、キン!! という金属音が辺りに鳴り響くと、両の掌上に白銀に輝く魔方陣が展開された。


 直径にして二十センチメートルのシルベットの比べると小さいそれは、シルベット達が顕現させたものとは違い、魔方陣の中には、文字も数字もない、ただの円でしかない。


 詠唱すると、


『汝。我に閉ざされし、記憶の封印を解き、あるべき状態に戻せ』


「汝。我に閉ざされし、記憶の封印を解き、あるべき状態に戻せ」


 詠唱すると、翼の掌で展開された魔方陣が煌々と光り輝くと全長一メートルものに拡大したと同時に、魔方陣内に時計回りで、「記」「憶」「封」「印」「解」「除」と六個の漢字が浮かび上がり配置されていった。


 大男は翼の両手に展開された魔方陣を確認しつつ魔力を注ぎながら、その手をより深くへと伸ばす。手を伸ばす度に、白銀の魔方陣は燃えるように煌々とした輝きを強めていく。


 ある一定のところまで手を伸ばしたところで、大男は魔力を解放させると、


「……!」


 頭の中で火花が散るような感覚を覚え、翼の脳裏に思い出そうとしても思い出すことができなかった記憶──五年前の夏の記憶が蘇えていった。





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