呼び声-Message-
「あぁ、もう!」
頬を叩く。
「悩んでいるだけでは、仕方ありません。」
そう、まるで自分に言い聞かせるように…というか、自分に言い聞かせるために呟く。
「もう一度…そうですね…今度はあの本を参考に…」
とにかく、すべての方法を試すしかないのである。
*
突如として、家屋が揺れた。
「うわっ!」
咄嗟に近くにあったクッションをつかみ、頭に当てる。
と、すぐに止まった。
「…地震か?珍しい…」
当然ではあるがそれを疑い、ケータイでチェックするがどうやら違うらしい。
「おかしいな。」
「………幽霊が出るとかも…聞いてないしなぁ。」
仮に出るならここに来た時点でなんらかの反応があるはずだ。まさか4年目になってやっとなんて事はありえない。…と思う。
だが、そうなるとこの不明な揺れの原因は…?
その瞬間、奥の部屋のドアから強く、しかしどこか優しい光が漏れ出した。そして、
「来てくれ…戦士…無限の戦士よ…」
…そう、声が聞こえた。
幻聴にしてはハッキリしているその鮮明さ、そして、[戦士]という日常生活ならまず使わないような言葉なのに自分を呼んでいると自信をもって言えるような感覚、そして優しい光に包まれたことで恐怖はほとんど消えた。
怖くはなくとも、ドアを開ける動きはゆっくりとしたものであった。
そして、俺の目には目映い光を放つ円形。
漫画に出てくるような、いわゆる魔方陣が映った。
無意識に、手を伸ばしていた。