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俺の異名が酷すぎる

作者: にゃた丸

「みんなに今日集まってもらったのは他でもない、俺の異名についてなんだ…」


 王都でも新鋭気鋭と言われている俺達は国王から直々に勇者パーティーと呼ばれ魔王討伐の任務を手に入れた。


 イケメンで燃えるような赤髪の男アレン。異名が全人類の希望、通称【勇者】


 世界の英知を集約しその妖艶さと泣き黒子が特徴の女傑エレナ。異名は獄炎の魔女、通称【賢者】


 敬虔なアイリス教の信者であり、世界の癒し手であるイエローゴールドの神秘的な髪を持つ優しい女性セーラ。異名は深い愛の担い手、通称【聖女】


 そしてどんなものでも収納し、俺に収納できないものは無い、貴方の心も即収納☆。異名はダイソン、通称【ダイソン】


 この四人で今まで快進撃を続けていた。


 …ダイソンってなに?


「なあ、ダイソンってどこから出たんだ?」

「分からん」

「知らないわよ」

「気付いたらダイソンでしたね」


 そう、俺だけダイソンだった。ダイソンが凄いのか分からない、皆に聞くとピッタリだと太鼓判を貰った、馬鹿にしてる?


「俺だけ自己紹介文に☆マーク付いているし、これ絶対誰かふざけただろ!」

「ダイソンさん! 自己紹介はアイリス神がつけてくれる神聖なものですよ!」


 そう、この自己紹介文はアイリス神からの信託で決まるのだ。


「じゃあ誰か途中ですり替えたんだ!」

「ダイソンさん神に仕える者がそんなことしません!」

「そうだダイソン! 言い過ぎだぞ!」

「それは言いがかりよダイソン」


 いや、ダイソンは異名なんですが。


「あの、ダイソンが異名であって…」

「なに! 異名なのか?」

「え? 異名なの?」

「ダイソンさんって名前じゃないんですか?」


 …嘘だろ!?


 お前らここまで俺の事ダイソンだと思ってたの!?


 じゃあさっきの自己紹介の下り何だったんだよ!


「待て待て待て! 俺の異名がダイソンだから! ちゃんとした名前があるから!」

「…お前ダイソンじゃなかったのか」

「えーダイソン良いのに」

「ダイソンって響き可愛くて良いですよね?」


 不味いぞこれ、異名どころじゃない。まずは俺の名前を認知させないと。


「いいか? 俺の名前をこれで言うのは2021回目だがポチン〇だ!」

「ポチン〇?」

「チン〇?」

「〇?」


 おいおい待て待て! お前ら伝言ゲーム下手か? 最後のセーラに至ってはもう〇だけで分かんないだろ!


「まあ、そう怒んなポチンソン」

「そうよチンソン」

「?」


 もうダイソンと混ざってるう!? とんでもねえ吸引力だ!

 セーラはもう名前すら読んでないよ! 只のお馬鹿な人になってるよ!


「兎に角、このままでは俺の異名が後世に残ってしまう、それだけは食い止めたいんだ!」

「ふむ、ダイソンがそこまで言うなら」

「そうねダイソンにはお世話になってるし」

「ダイソンさんにも悩みが合ったんですね」


 …。


 …お前らわざとやってる? 速攻でダイソンに戻ったな。


 いや、こいつらは悪くない。神託をくれるアイリス神がいけないんだ。だから俺はここに新しい異名を創り出す。


「みんな、俺の新しい名前なんだが。暗黒蛇王ハリケーン零式にしようと思うんだ」

「え、ダサッ」

「ないわー」

「ちょっと阿保っぽい」


 なんで!?


 嘘! これ一年くらい考えた力作なんだけど!


「おいおいおい! 何処が不満なんだ!」

「なんか…長い?」

「全体的に?」

「雑」


 長いの? 全体的にってなに? あと雑って評価も雑!


「待ってくれ! 暗黒は俺が無限の収納を出来ることを表わしていて蛇王も無限を表わしているんだ! ハリーケーンは俺の収納の速さで零式は唯一無二って意味が込められてんだよ!」

「…なんで同じ意味が二つ入ってるんだよ」

「収納の速さならダイソンで良くない?」

「というよりダイソンが全ての意味を兼ね備えてますよね?」


 なにそれダイソン万能だな!? 初めて知ったよダイソンの意味。


 いや、冷静になれ。俺が興奮してどうする。


「そもそも異名って変えることできんのか?」

「あ、それなら大丈夫ですよ。アイリス神に願えばいいんです」

「あらそうなの? アイリス神って器が広いのねえ」

「そうなんです! アイリス神さまは世界を愛してますから!」


 俺を除いて勝手に話を進めて貰わないでくれます?


 俺がこんなに悩んでいるのにこいつらときたら…。


「分かった、良いことを思いついた」

「ん、どうした?」

「食あたり?」

「便秘ですか?」


 なぜそうなる。


「お前らが俺の異名を考えれば良いんだよ!」

「俺らが!?」

「そう! お前たちが考えたものなら俺は不満なんてないさ!」

「…ダイソン、お前ってやつは」

「…ダイソン嬉しいわ」

「ダイソンさんの為にも頑張りましょう!」


 …もうダイソンはいいわ、これ直んねえし。不治の病だわ。


 俺はみんなの良心に賭けることにした、ダイソン以上に良い名前を付けるぞ! オー! とか向こうで言ってる。すんげー盛り上がってるな、これはもしかしたら期待できるかもしれない。


 そうして、俺達はアイリス神に願う事により新しい自己紹介を貰う事になったのだ。


 …それがこれだ!


 イケメンで燃えるような赤髪の男アレン。異名が全人類の希望、通称【勇者】


 世界の英知を集約しその妖艶さと泣き黒子が特徴の女傑エレナ。異名は獄炎の魔女、通称【賢者】


 敬虔なアイリス教の信者であり、世界の癒し手であるイエローゴールドの神秘的な髪を持つ優しい女性セーラ。異名は深い愛の担い手、通称【聖女】







 毎分最大12万回転する、軽量ハイパーディミアムモーターと新しく11個の搭載されたサイクロンジェットが変わらない吸引力を実現します。ダイソン、それは吸引力の変わらないただ一つの掃除機。


 通称【ダイソン】






「…おいどこ変えてんだ―――!!!」



 俺達はその後魔王の討伐を達成し長く後世に名を残すことになったとさ。


 おわり。

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