過去編3 完
過去編はこちらで終わりです。
体の弱いユリアナ嬢の体力を考え礼儀作法の特訓を適当なところで切り上げる。
それでもカーテシーは見れるものになっていた。
今は二人で給仕が淹れた紅茶を飲んでいる。
「そういえば、先程小さい子と一緒でしたね」
無言に耐えられなかったのだろうか?ユリアナ嬢は先程の私の事を話題に出してきた。
正直私も沈黙が辛かったのでありがたい。
「あぁ、弟と友人だな」
「王様にそっくりでしたからすぐにわかりました。すごい美少年ですね」
「……弟は好きな人がいるぞ」
つい、弟が誉められ牽制してしまう。弟はまだ、あまり表に出ないのだが今からけっこう評判なのだ。
「カイン殿下に話しかけていた女の子ですよね」
「あの娘は眼中ないみたいなんだよな。そのせいでたまに私の顔を恨めしそうに見てくるよ」
「………あー」
顔面偏差値なら確実に弟の方が高いのだが、ままならないものだ。
「とりあえず、体を鍛えるのを手伝ってるんだ」
「カイン殿下は面倒見が良いですよね。私といい、弟君といい」
「えっ?」
「……私、カイン殿下と友人になれて良かったです」
「友人……」
ユリアナ嬢に友人と言われて残念に思う。
この感情に不思議になる。今まで友人と思われて残念に思った事はない。むしろ、嬉しいと思う事しかなかったのに。
この日から私とユリアナ嬢は友人として交流を深めていく事になる。
END






