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08 次のお嫁さん候補は?



イナパの国。

人族が多くてにぎやかな国みたい。

あ、屋台もいっぱいある。

あっあれ美味しそう!

お土産に買っていこうかな?

カムイノクニも美味しい屋台がいっぱい出てる。

皆、忙しそう。

私は目立たないよう、人族の中に紛れて写真の女性を探した。


写真の背景からすると・・この辺りだと思うんだけど・・。

映っているのは、重そうなお酒の瓶が入ったケースを運んでる女性の姿。

酒屋で働いているようだ。


酒屋、酒屋・・・。

あ、あった!

写真と同じ酒屋だ。

周りに人気がないか確認して、私は影の中に隠れた。

影から影へと移動して、酒屋の中に入る。

お酒を売ってるだけじゃなく、飲める場所もある酒屋のようだった。

あ、いた!


「チェリーちゃん!こっちつまみ追加ねー」

「ビールも追加頼むよ!」

「はーい!ただいま!」


チェリーさんって名前なのか。

影の中で私はしばらくチェリーさんを観察する。


てきぱきと動いて、お客さんにも愛想がよくて、何よりもずっと笑顔で働いている。

重いケースも難なく運んで、次から次へとくる注文も間違えず対応してる。

働き者で、しっかりしてそうだ。

私はもっと詳しく調べる為に店の奥へ行く。


「はい、これ4番テーブルのつまみ」

「はーい!」

「チェリーちゃん、こっちは2番テーブルね」

「はい!」


棚の影に隠れると、酒屋の店主らしき人がチェリーさんにお盆を渡した。

もう一人は店主の奥さんかな?

二人とも薬指に指輪してるし。


「ほんと、チェリーちゃんは働き者だなぁ」


カウンターでお酒を飲んでいたおじさんが御夫婦に話しかけた。


「死んだ親父さんの借金のためとはいえ、あんな働き者は中々いないよ」

「俺は別に返さなくてもいいって言ったんだけどな」

「それじゃ申し訳ないですっ!て押しが強くてねぇ。でもあの子がうちで働き始めてから売り上げも上がってこっちは助かるよ!」

「おふくろさんだけじゃあ、眼の潤いにもなんねぇしなぁ」

「何だってぇ?!」

「ひえっわりぃわりぃ!」

「なぁ、死んだ親父さんってどういう事だ?」

「お、おめーはまだ知らねぇか。実はな・・」


話を纏めると、チェリーさんはお父さんがいて、そのお父さんと店主さんはお友達。

お父さんが重い病気になって、病院代や高い薬のお金を、店主さんから借りて治療してたんだけど、その甲斐むなしく亡くなってしまって、チェリーさんは借りたお金を返す為に店主さんの店で働いている。

店主さんは親友の為にやった事だから気にしなくていいと言ってるみたいだけど、チェリーさんが頑として絶対に返すと頑張ってるとの事。

うーん、どうやらチェリーさんは中身も美人なよう。

これならツキト様も・・。


「へぇ・・偉いなぁ、まだ若い娘なのに。でも借金返済したらチェリーちゃんは当然辞めるだろ?それはそれで寂しいぜ・・」

「それなら大丈夫。チェリーちゃんはこの店に永久就職する事になってっから」


ん?どういう事?


「そりゃあどういう事だ?」

「チェリーちゃんは、この店主とおくふろさんの息子の嫁になるって事」

「えええ!?」


えええ!?

聞けば、この酒屋の一人息子が一生懸命働くチェリーさんの事を好きになって結婚を申し込んで、チェリーさんOKしたんだとか!


「そりゃあめでたい!良かったな二人とも!」

「どうも。チェリーちゃんが娘になってくれるなんて嬉しいわ」

「まだ式を上げる日は決まってねーけどな」

「んで、その幸せ者の息子さんは今日は?」

「隣町に酒を届けに行ってもらってるよ」


ああ、ツキト様・・またお嫁さん候補を探さなくちゃいけないみたいです・・。

私は手に入れた情報をツキト様に伝える為に帰ろうと思った。

でも・・。


「ん・・?」


カウンターの隅でお酒をちびちび飲んでる男の人。

腰から剣を下げてる。

ハンター(魔物を狩る職業)かな?

チェリーさんが、男の人にお酒のおかわりを出す。


「ありがとう」

「いいえ」


男の人とチェルシーさんの目が合う。

何となく、私がそれが気になって、帰るのを延期した。


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