040 エンペラークラーケンとの決着
ユイのカバンの中には魔道具だけでなく様々な薬や香水が入っている。
全て城の専属医と魔道具師が製作したものだ。
それらは魔物とバレない為といざという時に身を守れるようにだ。
中には取り扱い注意な薬もある為、ユイは事前にちゃんと使用方法を聞いて全ての薬と香水の使い方は暗記していた。
ランマルもある程度、どんな薬や香水があるかは聞いている。
だからユイからその薬瓶を渡された時、すぐにどんな効果のある薬か分かった。
「何だ・・?」
「エンペラークラーケンが震えてるぅ?」
エンペラークラーケンの体がぶるぶるしだした。
ぼおおおおおおおおお!!!!!!
「きゃあ!?火を噴きましたわ!!?」
「エンペラークラーケンが火を噴くなんて聞いた事ないよぉ!」
「おい!何を口に入れたんだ!?」
アシェルがランマルが何かをエンペラークラーケンの口に入れたのをしっかり見ていた。
エンペラークラーケンは体に炎を纏いながら、口から火を噴きもだえ苦しむ。
しかも涙目だ。
海水をこれでもかというくらい、ごくごくと飲み始める。
「単なる魔物撃退用の薬だ・・・・。それより見ろ、奴の体・・」
「!」
アシェルははっと気づいた。
海水を飲み続けるエンペラークラーケンのメタル化が解けて、元の体に戻っていた。
しかも未だに効果が続くアシェルの炎魔法により、メタルでなくなった身体は容赦なくエンペラークラーケンを苦しめた。
ギャオオオオオオオオオオオ!!!
悲痛の叫びを上げるエンペラークラーケン。
「今がチャンスじゃないのか・・・?」
「・・・・・・ちっ!」
アシェルは床を蹴り、のたうち回るエンペラークラーケンに剣を振り下ろした。
「海の藻屑となれ・・・・!」
ザン!!!!!
まさに一刀両断だった。
エンペラークラーケンはアシェルの剣により真っ二つとなった。
二つに分かれたエンペラークラーケンの体はゆっくりと海へと沈んだ。
船へと降り立つアシェルは剣を鞘に仕舞う。
小脇には青く光る大きな石を抱えていた。
「お、おい!それは魔法石か!?」
「すっごーい!こんな大きな魔法石があいつの体の中にあったのぉ?」
「さすがレベルSですわね!」
アシェルの周りをヒルダ達が取り囲み、特大の魔法石に興奮していた。
エンペラークラーケンを真っ二つにした時、瞬時にその体内にあった魔法石をアシェルは回収したのだった。
「こりゃあ・・水の魔法石だな。詳しく鑑定しないと分からねぇが、純度の高さとデカさからかなりの値打ちはつくぜ!」
「わぁお!!じゃあその魔法石分も上乗せしてもらないとぉ♡」
「そうですわね。我々のお陰でこの魔法石が手に入ったのですから、その分も貰わないと割に合わないですわ」
「しっかりしてやがるなぁお二人さん」
「当然よぉ」
「当たり前ですわ」
思わぬ収穫に盛り上がるヒルダ達を他所に、アシェルはランマルの元へ行った。
ランマルはユイに怪我の有無を聞いている所だった。
「おい。魔物撃退用の薬と言っていたが、エンペラークラーケンのあの苦しみようは半端じゃなかった。一体どんな薬なんだ?」
あ~、何とか無事で良かった・・。
ランマルの踵落とし強烈だったなぁ・・おお怖いっ。
ジュリアさん達、何か魔法石が取れたとかで大喜びしてる・・。
そういえば、魔法石は強い魔物の体にも存在している事があるって聞いたなぁ。
魔法石は人間達の間でも貴重な石らしいから、だからあんなに喜んでるんだろうな。
ん?アシェルさん、エンペラークラーケンに使った薬の事聞いてきた。
興味あるのかな?
「ああ、あれはマグマフラワーやイグニス草など色々ブレンドした超激辛な薬なんです。もし魔物に遭遇したらそれをぶつけたり口に放り投げたりして、相手が辛さのあまり苦しんでる隙をついて逃げる為の薬なんですよ。ちなみに名前は」
「デス・スパイシーだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あれ?
アシェルさん黙っちゃった・・どうして?
マグマフラワー等は取扱要注意の、素手で触るのも危険な薬草です
そのまま口にしたら間違いなく味覚が崩壊します
そんな薬草を使った薬に、アシェルは思わず恐ろしさを感じて無言になってしまいました
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