04 ツキト王子とぽっちゃり黒ウサギ3
それから色々あったけど、ツキト様の従魔になってから8年。
ツキト様は18歳の年を迎えた。
アラヒトガミ一族は18歳で成人を認められて、王族も例外じゃない。
成人を迎えたら結婚する事も認められているのだ。
王族の結婚となると、人の世界では色々めんどくさいみたいだけど、ここでは違う。
お互いが心の底から本気で愛し合っていれば、相手は誰でも良い事になっている。
現にツキト様のお母様、現女王はオーク族のオスと結婚してツキト様と弟のホシト様を授かった。
何でも出会いは。
「母上が好物のオーク肉を食いたいと狩りに出た時、その筋肉に惚れて思わず父上を押し倒したそうだ。愛の力とは凄いな!母上はそれからオーク肉は一度も食してないぞ!」
とツキト様は言ってた・・。
女王様は今でも自分で狩りに出かけては巨大な蛇など持って帰ってくる元気な方だ。
そしてとってもとっても綺麗なお方。
いつも七色に光るケープを纏っていて、それがまた美しさを引き立てている。
黄金の瞳と銀色の髪は王族の証の色で、女王様も同じ色の瞳と髪色をしている。
ツキト様は18の誕生日を迎え、早速お嫁さん探しを始めた。
魔法の水晶玉を使って、ツキト様は好みの女性を選んでいた。
見た目や体型がばっちり好みに合えば、私に女性がどういう暮らしをしていてどういう性格なのか調べさせ、外見だけでなく中身も綺麗なら即結婚を申し込むつもりらしい。
「いくら見た目が美人でも心がドブのように汚れていては意味がない。余は心身ともに美しい女を嫁にしたいのだ!何?いきなり結婚を申し込んで大丈夫かだと?余が振られる訳ないだろうっ」
自信満々なツキト様。
そんな訳で、ツキト様は水晶玉で好みの女性を見つけては私に素性調査させた。
結果は・・。
今の所惨敗である。
「こちらの女性は借金癖があり、現在逃亡中の身です」
「こちらの女性は酒癖が悪く、よく酒屋で暴れてます」
「こちらの女性は婚約者がいますが、二股かけていました」
ツキト様が選ぶ女性は毎回何かしらの問題があるからだった。
その度に項垂れるツキト様だが。
「くよくよしても仕方ない!次だ次!!!次の嫁候補はきっと心も美しいはずだ!!」
と私に写真を持って来るのだった。
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そして現在。
7人目のお嫁さん候補の写真をツキト様から受け取る。
「エルフ族の女性ですか。住んでおられる場所はどこでしょうか?」
「西の方角にある、トコ村という小さな村だ。頼んだぞユイ!」
「了解いたしました」
私はすぐさま調査に向かった。
ツキト様のご命令だもの。
頑張らなくちゃ!