025 謎のたまご1
「うーむ、いったい何のたまごだろうな?」
あの後、街の人にお願いしてランマルをお城まで運び、ツキト様とホシト様も知らせを聞いてお城に戻ってきた。
ツキト様は抹茶味のマカロンを齧りながら、空から落ちてきた謎のたまごに首を傾げる。
たまごの大きさは鶏が産むたまごと同じくらいの大きさ。
でもランマルの頭を強打するくらいだから、とても硬いたまごだ。
ちなみにランマルはまだ気絶している。
「わたくしも初めて見るたまごですわ。どの本にも載っていませんし・・」
ベアワーズ先生は国一番の物知り先生だ。
先生は分厚い本を捲ってたまごを調べてくれているけれど、めぼしい情報はまだ見つからない。
「でも何かのたまごだと思うんです。とても温かいですし」
私の手の中のたまご。
手に伝わるぬくもりは紛れもなく、たまごの中に命が宿っている証拠だ。
「ダメです。この本にも載っていませんわ」
「兄上、どうなさるのですかそのたまご。もし危険な生物だとしたら・・」
「うーむ・・・」
「あの・・・危険な生物じゃないと思います私」
「どうして君にそんな事が分かるの?」
ホシト様が眉を寄せる。
でも何となく、魔物としての本能なのか分かるのだ。
手の中のこの小さなぬくもり。
危険なんて一切感じない。
それよりむしろ・・。
「何となく・・ですけど、このたまごは、優しい子のだまごだと思うんです」
「ほう」
「優しい子って・・生まれてもないのに」
「いや、ユイは意外と感が良い。もしかしたら本当に良い生き物のたまごかもしれんぞ」
ツキト様は指先でたまごを撫でるように触れる。
その眼差しは暖かい。
「それにこのたまごは空のように綺麗な色をしている。余も危険とは思えんな」
「そ、そうですね兄上!僕もそう思います!!」
ホシト様・・。
でも本当に何のたまごだろうか?
何かの生き物が空を飛んでる時に産み落とした?
まさかね。
「ここは母上と父上にも聞いてみるか。二人は世界の彼方此方を旅行した経験があるから、何か知っているかもしれん」
旅行と称して、女王様と王様は身分を隠して国の外へよく外出される。
確かにお二人に聞けばたまごの事が分かるかも!
流石はツキト様だ。




