023 ユイ、絶対ピンチ1
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ランマルと二人きりで満月屋までお買い物・・。
それだけで憂鬱なのに・・何で、何で・・・ランマルにがっちりと手を掴まれているんだろう・・!?
痛くはないけど全然手を外す事ができない!
「ね、ねえ・・・ランマル・・・、この手、放してくれるとうれしいんだけど・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
無言。
手は掴まれたままどんどん先へ歩いて行くランマル。
無視ですか!
何で!?
うう・・怖いよぅ・・・・。
「・・・・・・・・あれ?ら、ランマル?満月屋はこっちじゃないよ・・・?」
全然逆方向を歩いて行くランマル。
ランマルだって満月屋は知ってるはずなのに。
「ねぇ、ランマル・・満月屋は逆だよ・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
どんどん人気のない場所に行くランマル。
な、何か凄く嫌な予感を感じるんだけど・・?
「(ふふふ~兄上と二人っきりでデート♡)」
「うーむ・・・この桃味も捨てがたいしこっちはジンジャー味か・・悩む・・」
可愛らしいマカロンが並ぶケースの前で、悩むツキトとツキトの腕にしがみ付いているホシト。
傍から見れば恋人同士のような二人だが、誰もがこの二人が実の兄弟だと知ってるので、本当に仲の良い兄弟だと微笑ましく見ていた。
「(ランマルの方も、上手くやってるかなぁ・・?さっさとモノにしちゃいなよランマル!そしたら邪魔者はいなくなって兄上は僕のもの・・うふふふ♡)」
街のはずれにやってきてしまった。
周りは誰もいない・・。
ランマルはやっぱり無言。
「ランマル・・・・何がしたいの?こんな所でいったい・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ひっ・・!」
ドン!!
いった・・!
いきなり何で木に押し付けられなくちゃいけないの!?
しかもランマルの両手は私の肩を掴んで身動きできない・・。
流石に文句を言おうと思ったけど、ランマルを見上げて息を呑んだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
目が、目が怖い。
肉食の目だ。
本能で私は身の危険を感じ、寒気を感じた。




