019 まさかのあいつと合同調査?!勘弁してくださいっ 6
地下の部屋は厳重に鍵がかけられていた。
いくつもある鍵を開け、扉を開けると中は何とも少女チックな内装の部屋だった。
全体的にピンクと白を強調していて、ハートのクッションもある。
ピンクのソファーの上に寝かされたランマル。
「ふふふ・・私のコレクションがまた増えた・・・」
ランマルを見下ろすのは、アシュリーだ。
部屋の隅を見ると、数人の青年達がいた。
しかし彼らの姿は、裸の上にフリルの付いたエプロン、頭にはフリルのカチューシャのみという格好だった。
「お前達はもう下がって良いぞ」
使用人は命令通り、部屋から出た。
アシュリーは抱えていた白い箱のリボンを解き、蓋を開ける。
中は、青年達が身に纏うのと同じエプロンとカチューシャだ。
「さあお着替えしましょうねぇ~」
アシュリーはランマルの服に手を伸ばす。
「触るな」
「!?」
いつの間にか目を開けていたランマルと目が合い、驚くアシュリー。
ランマルはソファーから体を起こし、部屋の隅で怯える青年達を見る。
「・・・・・・・・・・・・・新聞に載っていた、行方不明の青年達・・」
あの時、地面に落ちていた新聞の記事を思い出す。
「お前の仕業だったんだな・・・・」
「おやおや・・薬の効き目が弱かったのかな?」
お菓子と共に運ばれたあの紅茶には睡眠薬が仕込まれていた。
お菓子とお茶を運んだのは、ランマルをここまで運んできた使用人達だったので、薬を仕込むのは簡単な事だった。
「・・・・・あれはお前の趣味か?」
ランマルが親指で、青年達を指差す。
アシュリーは厭らしい笑みを浮かべた。
「そうだよ?これが私の本当のコレクションさ・・・そして君も私のコレクションの一人になるんだよ?」
アシュリーは若い青年を自分好みに気飾り、愛でたいという思考の持ち主だった。
街で自分好みの青年を見つけては、借金持ちで働いている使用人二人を脅して青年を攫わせ、この地下に監禁していたのだった。
「悪趣味だな・・・・・」
「趣味とは人それぞれさ。それを咎める権利は誰にもないんだよ?それに彼らには毎日豪華な食事、服も宝石も与えてる。毎日気持ちいい事もたぁくさんしてあげてる・・何の不自由もさせてないから問題ないさ」
「・・・・・・・外道」
「君は自分の立場が分かってるのかい?ここは地下。どれだけ叫んでも外には絶対聞こえないし、扉はあそこだけ・・使用人達が見張ってるから逃げ場はないんだよ?さあ、分かったのなら大人しくこの服に着替えるんだ・・。大丈夫、君にもきっと似合うよ・・他の子と達と同様にいっぱい可愛がってあげるよ・・・」
荒い息遣いで、エプロンを手にしランマルににじり寄るアシュリー。
変質者そのものだった。
ゴンッ!!!
「うごぉ!?」
アシュリーは倒れた。
後頭部にでかいタンコブができた状態で。
「確かに趣味は人それぞれだけど・・・他人の意思を無視したこんな非道な事、趣味なんかじゃない!!ただの犯罪だよ!!!」
高そうで立派な花瓶を手にしたユイがアシュリーに向かって説教した。
当の本人は気絶してて聞こえてないけれど。




