01 お嫁さん候補
「ユイ!ユイはどこだ!?」
「はい!ここにいます!」
ツキト様に呼ばれた私は慌ててツキト様の元へ向かう。
廊下を歩きまわっていたツキト様。
不機嫌丸出しな顔をされてる・・・。
「いったいどこにいた?この俺に探させるとはいい度胸だな」
「申し訳ありませんツキト様!台所でツキト様の本日のおやつを用意しておりました!」
私はお盆に乗せたものを見せる。
緑茶の入った湯呑とツキト様の大好物。
「おお!満月屋の生クリーム入り生どら焼きか!」
「はい。今朝がた、満月屋のご主人がツキト様にと」
「そうかそうか!よし、早速おやつにしよう」
「では本日は天気がよろしいので、庭で食べるのはいかがでしょう?」
「それ良い考えだっ。流石はユイだな。よしっでは庭に行こう」
頭を撫でられた!嬉しいっ。
さっきまで不機嫌な顔だったけど、大好物のおやつにいっぺんで上機嫌になったツキト様。
さっさと庭のほうに行ってしまった。
お盆をひっくり返さないよう、私も後を追う。
「うむ美味い!やはり満月屋の生どら焼きは格別だな!」
真っ赤な野点傘の下、ツキト様は赤い布が敷かれた椅子に座っておやつを満喫中。
私は傍で膝まづいている。
「あのツキト様、先ほど私を呼ばれていましたが、何か御用ですか?」
「ん?おお、そうだそうだ忘れてた!!」
ツキト様は懐をごそごそ。
一枚の写真を取り出された。
あ、もしかして。
「見ろ!この者が次の嫁候補だ!!!」
やっぱり・・。
写真に写っているのは、エルフ族の女性だ。
吊り目で長い髪をポニーテールにしている、凄く美人な女性。
そして何よりも・・・。
「どうだ!この艶めかしいプロポーション!?出るところは出ててきゅっとくびれてて、まさに理想の体型だろう!?」
「そう、ですね・・・」
ツキト様は興奮している。
確かに写真の女性は、とんでもなく巨乳でウエストは細く、お尻もちっちゃい。
ツキト様の好み、そのものだ。
「それでだ、ユイ」
ツキト様はにんまり笑う。
ばさっと扇子を広げ、びしりと私に命令を下す。
「いつも通り、この者の素性調査だ!見目同様に中身も美しければ、余はこの者を嫁に娶るからな!」
カムイノクニ、アラヒトガミ一族王家の第一王子、ツキト・カムイノクニ様。
現在、お嫁さん探し中。
そして私はユイ。
ツキト様の従魔、シャドウホーンラビットという魔物でもある。