ストーリーダイジェスト
完結までの各章あらすじです。
<あらすじ>
異世界オファ二ム、最大の大陸ハルメニア。
11の国家・地域が存在する、大乱なきこの地は――。
最強の暗殺・戦闘組織“サタナエル”の、人知れぬ数百年の支配と鉄の秩序により保たれてきた。
その組織を仇と狙う女、戦士レエテは突如として大公国のコロシアムに現れ、残虐なる闘士とドラゴンを一掃。血を吐くような凄絶な名乗りとともに、サタナエルに挑戦状を叩きつける。
そして――。組織の元一員として生まれ持った半不死身の超人的肉体、刃に姿を変える両手“結晶手”を武器に、終わりなき闘いに身を投じる。
レエテの運命に巻き込まれ、集い仲間となる者達。一行を狙う魔の手。
超人同士の烈戦はやがて一国の内乱と国家間の争いをも引き起こし、大陸は混迷を極めていく。
標的であるサタナエル頂点“魔人”、そして“剣”、“短剣”、“投擲”、“斧槌”、“法力”、“魔導”の各ギルドを率いる六人の領袖“将鬼”を狙い、レエテの旅は続く。
彼女の復讐の悲願が、達成される日は訪れるのか――。それが達成されたとき、彼女は人なのか、獣なのか――。
*
生まれついての超人。一流の剣士、魔導士。聖教に背く背教者。大国の武将、諜報員。
あらゆる人智を超えた強者が、各々極限まで高め磨き上げた剣・魔導・法力の力で激突、国家の趨勢までも動かす。大河バトルアクション・ファンタジー、ここに開幕――。
<第一章>
ダリム公国コロシアムで行われる、非道なる剣闘大会。エストガレス王国狂公ダレン=ジョスパンという大物を賓客に迎え行われた記念大会は、予想せぬ強者女戦士の出現で波乱の展開となる。最大の敵アシッド・ドラゴンをたやすく沈め、正体を現した強者、主人公レエテは自身が姓を冠するサタナエルなる存在に、堂々たる宣戦布告を行いコロシアムを後にするのだった。
<第二章>
主人公レエテの行く末に惹かれ、同行を申し出る女魔導士ナユタ。しかし襲い来る功名目当てのならず者達をかわした後に、大瀑布に落ちていく彼女ら。ナユタの下僕ランスロットの見守る前で、彼女らを救い瀕死となったレエテは人間には不可能な再生能力を見せる。さらに、サタナエルとは彼女のような超人を戴く伝説の暗殺者集団であり、王侯貴族との取引をもって大陸を影より支配する絶対強者であるという事実の一端が垣間見える。
辿り着いた森林でレエテとナユタはいがみ合うが、突如現れた超人戦闘者、サタナエル刺客に対し共闘する。「副将」ジオット、レーヴァテインを戦術と閃きで辛くも撃退した彼女ら。その前に、「背教者」を名乗る謎の少年が現れ、レエテへの彼の問いからサタナエルの本拠が無人の荒野と思われていた隔離地アトモフィス・クレーターであることが語られる。
その頃本拠では、レエテと同じ一族の男、サタナエル頂点の“魔人”ヴェルが超巨大怪物を仕留めつつ配下の報告を聞き、レエテとの因縁をほのめかしつつ抹殺を指示するのだった。
<第三章>
レエテに同行を申し出たルーミスを加えた一行。法王庁のアルベルトなる人物を目指すレエテだったが、ナユタとランスロット不在時に、レエテとルーミスは法王庁騎士団の襲撃を受ける。レエテに想いを寄せるルーミスはその油断で彼女に重傷を負わせてしまう。ルーミスの実力とレエテの死力で撃退に成功するが彼女は弱点を傷つけられ瀕死となる。決死の覚悟でレエテを救うルーミス。それを讃えつつナユタは、法王庁に先手を討つ策を実行する。騎士団を混乱に陥れ、目的の人物アルベルトを確保するレエテ。しかし実は彼はルーミスの父だった。清廉な信仰者の彼はレエテの目的「復讐」への協力を理解はしつつも拒否。その直後、サタナエル将鬼ロブ=ハルスの襲撃により彼は死亡。圧倒的蹂躙ののちにロブ=ハルスは、自ら再戦を予告し去る。荒れるルーミスだったが仲間の力で己を取り戻し、彼もまた復讐を誓いレエテへの同行をつづけるのだった。
その頃エストガレス王国では、狂公ダレン=ジョスパンに不穏な動きがあった。腹心ラ=ファイエット将軍へのレエテ捕獲相談、従妹オファニミス王女へのサタナエル排除の確約。そしてアルベルトが最期に残したルーミスの兄と同じ名を持つ軍人、シエイエスへのレエテ捕獲任務命令。国家の陰謀を巻き込み、事態は広がりを見せつつあったのだった。
<第四章>
シエイエスの行方を探し、城塞都市ドゥーマを目指す一行。その途中疲労の重なったレエテは眠りに落ち、過去の情景を夢に見る。
本拠で組織管理の下生まれ育った彼女は10歳のとき、規律により親友アリアとともにジャングルへの追放を受けた。ジャングルで遭遇した怪物トロール・ロードに追い詰められたレエテを救おうと立ち向かうアリア。しかし善戦むなしく無残に食い殺されてしまう。その激烈な怒りはレエテの秘めた力「音弾」の一端を発動し大絶叫。再度ピンチに陥った彼女を、絶叫を聞きつけた一族最強の女性、マイエが救う。
女子が男子の成長の糧として狙われる奴隷であるこの本拠という世界で、マイエは仲間やレエテのような子供を集め、家族のようなコミュニティを作って自衛を行っている人物だった。レエテは其の一員となり、8年の歳月が過ぎる。
18歳となり同年で親友となったビューネイらと、本拠内の禁断の場所“深淵”を訪れたレエテ。そこで彼女らは、将鬼ロブ=ハルスと魔人候補だったヴェルに遭遇するという絶対の危機に陥る。なすすべなく死を迎えるはずだった彼女らを間一髪救うマイエ。ヴェルをも相手にしなかったが、彼はマイエを妻にすると宣言、成長と再戦を予告して逃亡する。
1年後、最悪の刻はやってきた。ヴェルが6人の将鬼という最高戦力を伴ってマイエを強奪に来たのだ。家族の皆殺し宣言を受け、必死の奮戦をするマイエ。全員を逃がそうとするがレエテはマイエを守るため残る。展開される地上最強の頂上決戦の結果、マイエは敗北。なおも逃げないレエテに決意を促すため、マイエは涙ながらに自らの命を断つ。哀しみのあまり「音弾」を叫び逃亡に成功するレエテ。途中、家族の全滅という絶望の事実に直面し、サタナエルと将鬼に絶対の復讐を誓う鬼となることを誓う。一世一代の賭けで“深淵”に飛び込んだレエテは、地底深くで海とつながっていた其の場所から、史上初めての本拠からの脱出に成功。外界にて復讐の旅を誓うのだった。
<第五章>
城塞都市ドゥーマに辿り着いた一行。そこはコロシアムの英雄を崇める、レエテに怨みを持つ民衆がひしめく土地だった。ナユタは一計を案じ、ドゥーマ内のサタナエル勢力をおびき寄せて戦闘の末にレエテを捕らえさせるという大胆な策を実行する。ドゥーマのサタナエル司令シェリーディアは罠の存在を見破り、一行を一網打尽にしようとする。怒号に我を忘れる民衆の前で処刑を言い渡されるレエテ。彼女と一行を建物から狙い撃ちするサタナエルと、それを防ごうとするナユタとルーミス。しかし処刑の主催者ドゥーマ伯爵を、味方にした人物にすり替えるという秘策、故郷ノスティラス皇帝をも巻き込む見事な戦術といったナユタの頭脳、実力によって見事一行は勝利する。しかしただ一人生き残ったシェリーディアの圧倒的な実力の前に危機に陥る一行。レエテの機転によって城壁から瓦礫とともに突き落とし辛くも勝利を拾うが、シェリーディアは命をつないだ。
ドゥーマ伯爵になりすましていたのは、シエイエスだった。ルーミスとの感動の再会を果たす中、ナユタは自らの無血開城の策略で迎え入れたノスティラス皇帝ヘンリ=ドルマンと、レエテとともに対面。皇帝は彼女らへの賛辞とともに、大陸全国家で通用する勅命手形を授与。一行はさらなる旅を続けるのだった。
<第六章>
ヘンリ=ドルマンの情報で各都市サタナエル幹部の情報を得た一行。レエテ、シエイエス、ルーミスの共通の仇である将鬼ソガールを討つべく、ドミナトス=レガーリアを目指す一行。最高峰の連峰を踏破するためガイドを求めた山小屋で主人がサタナエルにより暗殺。撃退するも、一人残された孫娘キャティシアを仲間に加えざるを得ない状況になる。山の豊富な知識で一行を救うキャティシア。途中ナユタを謎の襲撃者が襲い、彼女は左腕を肩から切り落とされる瀕死の重傷を負うが、一行の必死の看護で命を拾う。
最後の山を踏破する寸前、再度現れた襲撃者が伴った仲間は、かつてナユタから敗走したレーヴァテインだった。尚且つ彼女に操られた襲撃者の正体は、無残な麻薬中毒者となり生きながらえていた親友ビューネイだった。拷問・陵辱の地獄を受けたビューネイは逃亡に成功したレエテに呪詛の言葉を吐き、去っていく。親友の地獄に心を打ち砕かれたレエテは過剰な罪の意識に囚われ、衝撃のあまり鬱状態に陥ってしまうのだった。
<第七章>
将鬼ソガールを討つべく、ドミナトス=レガーリア連邦王国を主戦場とする章。6名のメンバーを二手に分け、乗り出してきたダレン=ジョスパンの陰謀も絡めながら、未開の部族の争いや神話の伝承がキーを握る土地でレエテらの戦いは続く。首都バレンティンで待つ、決戦の行方は。
途中レエテと目的を同じくする男、連邦王国王子ホルストースが仲間に加わることとなる。
レエテの心中の大きな葛藤が明かされ、サタナエル将鬼の本当の恐ろしさと、死力を尽くした戦いが展開される最初の章である。
<第八章>
将鬼レヴィアタークを討つべく、ノスティラス皇国を主戦場とする章。ホルストースを仲間に加えた7名となった一行は、激戦で右手を失ったルーミスの魔導義手を入手する組と、留守を預かる組に分かれる。
同時に、ビューネイを伴ったレーヴァテインが、将鬼長フレアの策に従い暗躍。偽りの家族愛という妄執にとりつかれたレヴィアタークら斧槌ギルドとの激戦、麻薬汚染が深刻化する皇国の内紛、レエテやナユタを取り巻く数々の人間ドラマが展開される章である。
サタナエル一族の宿命的なある秘密も明かされることになる。
<第九章>
将鬼サロメを討つべく、グラン=ティフェレト遺跡を主戦場とする章。レヴィアタークらの撃退の功績で皇国の祝賀会に招かれた一行。そこでのレエテとシエイエスの愛の成就を皮切りに、紆余曲折の一行の恋愛、人間関係に徐々に決着がつけられていく。一方師サロメの裏切りに怒り組織を抜けたシェリーディアはダレン=ジョスパンの庇護を受け愛人兼配下となっていた。謎の執念を燃やしレエテ抹殺にとりつかれたサロメへの復讐、ダレンが執着するレエテ捕獲という一石二鳥を得るため彼女はグラン=ティフェレト遺跡に両名をおびき出す一計を案じる。それがもたらす大激戦の行方は。
滅びた邪教がかつて支配した秘境で、人外のモンスターとの戦いを絡めた戦闘が描かれる章である。
レエテの出生に絡むある重大な秘密も明かされることになる。
<第十章>
将鬼ゼノンを討つべく、エストガレス王国を旅する章。サタナエルに操られた数十万の王国軍が敵に回り、レエテらは一騎当千の活躍をしつつ王都ローザンヌを目指す。内戦を誘発させ王国を瓦解させたいサタナエルと運命に翻弄される王女オファニミス、過去の因縁の敵との精算を果たそうとするシエイエスの運命は。
前章より一転、大陸最大の王国での人間社会における大戦争を描く。合戦シーンはもとよりレエテやサタナエルら超人の一騎当千シーン、異なる勢力同士の戦略争いが展開される章である。
レエテに衝撃を与えるある重大な2つの秘密が、立て続けに明かされる章でもある。
<第十一章>
反サタナエルを掲げたノスティラス皇帝、ヘンリ=ドルマンの決起により、サタナエルと傀儡のエスカリオテ王国に対し史上最大の会戦が戦端を開く。皇国の総力を結したサタナエル強者との全面対決の行方は。そして将鬼の思わぬ行動、会戦に参加できなかったレエテ一行の強襲も描かれる。
運命を操ってきた、物語最大の巨悪の存在も明らかになる。
そして尊い犠牲とともに、舞台は最終決戦の場へ。
生き残った強者たちは、そこへ吸い寄せられるように集結していく。
<第十ニ章>
最終決戦を前に、よもやの寿命の兆候を迎えるレエテ。あと幾許の余命もない彼女を前に絶望する仲間だったが、シエイエスとの婚儀をもってそれに報いる。フレア討伐に向かうナユタと別れ、本拠を前にした一行はしかし、先行する超越者ダレン=ジョスパンらの蹂躙によって壊滅の憂き目にあった敵の死骸の山を前にする。一味のシェリーディアの案内でサタナエルの謎を解き明かしに向かうレエテら。亡き父親の面影と対面した後、ついにダレン=ジョスパンの口から聞かされる組織創生の秘密、驚くべき血筋の真実の数々。それらに決着をつけるべく最終決戦に突入する強者たち。敵味方を問わず次々命を散らしていく者たちをよそに、レエテはついに、最強の敵の眼前に立つ。戦いの行方は、彼女の寿命の到来は――?
<終章>
戦いは終わった。サタナエルの滅亡とともに変わりゆく大陸。時は流れ、レエテ一行の生き残った面々もそれぞれの人生を歩んで行く。アトモフィス自治領という新たな国の勃興。秩序の中から忍び寄る混沌。それらをくぐり抜けた9年の後、ついに大陸史上最強の戦士の物語は次代へ想いを託しつつ、完結を迎える――。