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彼方へのスキップ  作者: 藤山田 逸平
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日向の彼女にいい夢を

初めて書いてみたので稚拙な文章ですが、おもしろいと思ってくれる方がいてくださると幸いです。




あと何回の朝を迎えれば、僕は彼女と同じところに行けるだろうか。あの日からスキップし続けてもう2年になる。僕のスキップ限界はいつ来るのだろう。




「科学万能の現代といっても未だ全ての事象を解明することは出来ていない。スキップはその一つだ。

スキップと世間一般で言うところの超能力だ。

超能力と言っても結局は人が持ち得る能力の延長線に存在するのか余り強力なものはほとんどない。それどころか存在するにも関わらずその数が少なすぎるため都市伝説レベルにしか知られていない。それは政府が混乱を防ぐために徹底的に痕跡を消し一般市民にその存在が知られないようにしているからだ。

ところでなぜスキップと呼ばれるのか?だがそれはさまざまなタイプがあるこの能力に共通する1つの事項が関係している。その事項とは、この能力はゲームのMPの様に使用するのに自らの命を使うことだ。このことから能力を使う。=命をスキップする。となって通称がスキップになった。

スキップはメカニズムがほとんど解明されてはいないが使用する際に脳波が常人とは違う動きを見せるので脳の活動の一部と考えられている。」


と目の前の男 冬原は一息に喋ってから僕に尋ねた。

「まだ何か聞きたいことがあるかい?僕に答えられる範囲であれば答えるよ?小春日こはるび 陽仁はるひと君」


彼はそう言って僕の顔を覗き込んだ。だがそんなことは俺にとってどうでも良かった。だから僕はこう尋ねる、

「僕の能力の詳細を教えて頂けませんか?」

「いい質問だよ小春日君。何を成すにも1人でやるなら自分のことは事細かに知る必要があるからね!」

全くこの人は胡散臭い、きっと僕の能力の発露する過程を知ってあることに気づいたのだろう。悪い人ではないから目的の達成の邪魔にならないで欲しい。そう、思った。

「君の能力さ人に望む夢を見させること。それ以外はまだ観測、確認されていない。付け加えとくと君の能力には何故かわからないし本当にそれなのか確認は出来ていないがストッパーの様なものがあると考えられている。そのため1日に3回しかこの能力は使えない、まあ、効果時間は制限ないようだから君が意識してる限りその人に夢を見せ続けることは可能だよ。それに一度に見せる人数にも制限はなさそうだね。と言ってもまだ1000人までしか実験してないから確定ではないのだけどね。まあ、なんだ、強力な能力でない代わりに驚異的な効果時間と範囲を得ているようだ。これでテレパシーや自然治癒力を圧倒的に引き上げる能力だったらこの研究所はさぞ大変な大騒ぎになっていたろうね。彼女の時のように、いや、それを超えるね。」


やはり面倒なことだがこの人は気づいているな。面倒な言い回しばかりしてくるので少々煩すぎるこいつ一生夢を見させてやろうか?一瞬そんなことが俺の脳裏によぎったが、それは直ぐに掻き消された。当然だ、僕は彼こそぼくが求める秘密への扉を開く鍵の1つを持っているのだと考えているのだから。一時の感情に流されて彼と言う鍵を失うのは愚かすぎる。代わりに僕はこう問いただす。

「本当に、僕の能力はそれだけですか?」

「そうだね、現時点ではそう判断する以外の結果は出ていないね。今のところは」

また意味深な発言をしてきた。もうそろそろ疲れてきたので続きは今度にしよう。

「そうですか。ほかに聞きたいことは特にないのでこれで失礼します。」

そう言って返事を待たずに席を立つ。

「そうかい?それではまた近いうちに!何か気になることがあればいつでもきたら良い、前もって連絡してくれればお茶でも出そう。」

返事はせずに部屋を立ち去る。

研究所の自動ドアを開けると途端に熱波が襲ってくる。とにかく暑い、ここは南国なので湿気を孕んだジトリと湿った暑い風が吹いている。海が近いのでヒリヒリするような風じゃないことが救いではある、か。

「まあ、まだ夏休みだし仕方ないか」

とは言いつつため息が出る。まだまだ大人しくなる気配のない太陽と目標へと至る道の困難さを改めて思い知らされたからか、そう考えてまた息をつく。

しかしこんなこと言っていても僕と彼女には時間がない。もう2年だ、彼女の寿命はいつまで持つのか?彼女、秋代 亜希帆 (あきしろ あきほ)は今どこにいるのだろう?全てはあの日からだ。

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