彼と魔女
「あのさ」
小学6年生の彼は呟いた。
いや、私に投げ掛けていたのかもしれないが、呟いていたように私は感じた。
「俺の家はお母さんが弱いんだ」
そうかい。なんていう相槌は打たず、私はじっと彼の髪を見ていた。
「俺は、強くなりたい」
今朝10時に私はいつも通り目覚めた。
朝ごはんにバナナを食べながら、しょうもないテレビ画面を見つめる。
昨日は家で一日中折り紙をしていた。
今日は外に。なんて思いながら、散歩をすることにした。
全身黒をテーマにコーディネイトをした。もちろん靴も、まして下着なんかも黒だ。
そうして家から外に出た。
すると彼は立っていた。
古びた一軒家の小さな門の前。
キラキラと目を輝かせて私を見ていた。
「お姉ちゃん魔女?」
家の中に彼を入れるのには罪悪感があったため、家の外のまま、冒頭の話である。
ドアの前の小さな段差に二人腰かけていた。
「強くなりたいのは、お母さんを守りたいからなんだよな?」
強くなりたいという彼の言葉のあとかなりの沈黙だったため、なんとなくを口にした。
「そうだよ、それに自分も守らなきゃだ」
彼は目をそらした。
「それはわかったけど、お姉ちゃんにはなにもしてあげられない」
魔女じゃないもの。
「お姉ちゃん強いでしょ
俺なんとなくわかるよ
だから弟子にして欲しいんだ」
「まぁ弱くはないよ
でも弟子はとらない主義なんだ」
続きそうだけど、つづきません。
ごめんね。