かわいいよ
すいません、連載してる方がまだ進まなくて、ちょっと休憩したいなと思い書いてしまいました。(あと思い付いてすぐ、三時間ほどで書き終えましたので、けっこう内容が……ははは)
連載小説の方を待ってくれている方には申し訳ない限りです。
会話文だらけな部分がだいぶあるので、そういうのが苦手な方はお戻りくださって構いません。
もちろん最後まで読んでくだされば、とても嬉しいですけど。
部活を終え、部活を同じくする先輩と共に教室から出ようと身支度をしていた私は───。
「───俺、君の何事にも一生懸命に取り組んでる姿とか、甘い物、特にチョコが大好きで、さっき俺がバレンタインのお返しに買ってあけだチョコも、一粒一粒大事そうに、幸せそうに笑って味わって食べるところとかすごく可愛くって・・・なんかこう胸にグッとくるっていうか・・・」
「・・・」
「俺、君の側でその笑顔を守っていきたい、その、、、俺と付き合ってくれないか?」
「・・・」
「・・・ねぇ」
「・・・」
「聞いてる?」
「はいはい」
「か~わ~い~い~よ~」
「・・・先輩、苗字と名前を繋げて呼ばないでください。」
「じゃあ告白してる最中にケータイ取り出さないでくれよ!ちゃんと聞いてよっ!」
「えぇ~だって先輩からの告白、かれこれもう5回目はもう聞いてるじゃないですか。聞くの怠いです。あともうそれ結婚しようっていうプロポーズですよ。しかも定番の超やっすい感じがする」
「酷いっ!!」
とまあいきなり先輩に告白されました。そんな私の名前は河井伊代。
両親と3歳年上の兄と四人、そしてわんこと一緒に暮らしている、何処にでもいる女子高校生歴約1年(?)である。
特にこれといった得意な教科だとか好きなスポーツなどはないが、嫌いな言葉が1つだけある。
それは"可愛い"という言葉。
理由はそう、皆様お察しの通りこの名前である。
私には嫌なあだ名が絶対に作られるっていうか使われる。それは大抵「かわいいよ(笑)」「かわいいこちゃん(笑)」というものである。しかも最後に必ず(笑)を添えて。
可愛くねぇのはわかっとるわ!どうせ私は黒髪黒目で髪を肩までのばした何処にでもいる平凡女だ!こんちくしょうっ!・・・と叫びたい。ってか常に叫んでる。
あとこの私の名前に関するエピソードで、代表的な話がいくつかある。最悪なことにな。
特別に私の名前による弊害の一つをあえて話そう。
これは自分自身は何も覚えてないので語り口調になるが、それは私がまだ幼稚園に入る前にあった出来事らしい。
家族仲を大事にするうちの家族は、働く父の都合がいい日は必ず、何処かへ出掛けていたという。特に近所の公園でよく遊んでいたらしい。そして砂場でお城を作るのがその時の両親のブームだったそうだ。
・・・子供じゃなくて大人がハマってたんかいっと思ったかもしれないが、そこはあえてスルーする。
とまあその日もそのようにして遊んでいると、暫くして一組のカップルが砂場の近くのベンチに座ったらしい。やがて子供だけならまだしも、大人がいる手前であるというのに、いちゃいちゃしだしたという。
そんでまぁいちゃいちゃしていたカップルの彼氏様の方がだ、隣にちょこんと座っている彼女様の手をそっと握り、
「君はかわいいよ」
って流し目で宣ったそうだ。(フツメンのくせに流し目で。)
そしてはい、
「●●くん・・・っ!///」
と彼女様は赤面!
ただでさえ近かった二人の距離が更に縮まり・・・ついにっ!
ってとこでそのあんまい雰囲気をぶち壊すかように
「そうだよ、私かわいいよ。私に何かよう?」
と首をコテンと傾げながら私がら・ん・にゅ・うっ♪
こうして私の活躍(?)により、二人の世界から現実へと帰還させることに成功。その後二人でこれでもかと顔を真っ赤にさせながら、(どうやらベンチに座る前から私達の存在に気付いてなかったらしい。何処から二人の世界にランデブーしてたんだ?)大慌てでその場から走り去ったという。
のわぁぁぁあああああ!!!!なんて恥ずかしいエピソードなんだっ!カップルさんも私も互いになっ!
なに!?私かわいいよって言いながら近づくって!!どんだけ自分に自信があるんだよ私っ!
え?そのカップル?だから聞いた話だから行く末なんて知らないっての!あれじゃない?黒歴史にでもなってんじゃないですか?知らないけどっ!
あああぁぁぁ穴があったら入りたいっ!穴はっ!穴はどこですかっ!
ちなみにこの話を話してくれた母は、これをよく近所の方との笑いのネタとして提供している。
やめろやバカぁっ!!
とまぁ私はそうして名前による被害を歳を重ねるごとに受けていった・・・。
同級生や部活の先輩後輩、先生にも(名簿読むときとかは必ず)この名前は笑いのネタにされ、それはそれは恥ずかしい日々だった・・・
だが私にはこの最悪な苗字を取り払うことが出来る方法を小学校中学年の時にはもうすでに知っていた。
それは一件簡単そうでありながら、しかし人生において最も大切で最も決断が必要な・・・
そう、それは結婚っ!
つまり私は愛するパートナーと生涯を共にすると同時に、普通の名前を得ることが出来るのだ!素晴らしいっ!結婚最高っ!!勿論不倫とかそういったこと絶対にしないよっ!未来のマイダーリンっ!!(あ、ちょっと暴走した、ごめん。)
だがこの方法、例外が1つだけある・・・
同じ読み方の苗字だと、この呪縛を解くことが出来ない。
「ってことでですね、先輩、何度もいいますが私、先輩のことは好きになれません。理由はあなたの苗字が川居だからです。そして私、将来結婚する人としかお付き合いたくないので、お試し期間なんてありません。以上。」
「いやいや、ちょっと待ってくれよ。こっちも何度も言わせてもらってるけどさ、苗字でそんな付き合う付き合わないを決めるの酷くない?せめて内面を、いやもうこの際外面でもいいからそこで決めてくれないっ!この通りっ!!」
「え、先輩外見で決めてって・・・どれだけ顔に自信があるんですか?ナルシストだったんですか?(ドン引き)」
「その前に内面って言ったよね俺!?あれ?外面偏差値平均よりは上だと思ってたんだけどなぁ告白されたことあるし」
「うわ、今さらっと自慢しましたね、好感度下がる一方ですわ」
「え!マジ?!下げないでっ!上がってっ!お願い好感度上がって下さいっ!」
「先輩、ならそこのお店のホワイトデー限定チョコレートを私に買ってください。そしたら上がりますよ、好感度。」
「ほんと!!」
「はい、赤の他人から知り合いに」
「えぇ?!!!まだそこなの俺?!!!」
「そうですがなにか?」
「そうですがって、、、そんなきっぱりいうのね(泣)」
「あ、先輩、ちなみに先輩の中ではどこらへんだと思ってたんですか?好感度」
「え、あ、あ~・・・俺の中では、、、一応仲のいい異性の先輩だと思ってたんだけど、、、」
「自分で仲のいいとかいっちゃうんだ・・・へぇ・・・(ちょっと後ろに下がる)」
「なにその反応っ!ってか別に引くとこじゃないよね?!」
「・・・先輩って苗字が川居で名前なんでしたっけ?」
「へ???い、いきなり???た、琢磨だけど・・・(ってか名前覚えられてなかったのかぁ・・・地味にショックかも)」
「・・・・・・カ~ーーペッ!!!!」
「汚なっ!ちょっとなにするんだよ!!女の子がそんなことしちゃいけないっしょ!やめなさいっ!しかも勢いめっちゃつけてっ!」
「チッ、最悪。もう少しってとこで避けられたし。反射神経鈍けりゃ良かったのに」
「ねぇ!俺先輩だよねっ!伊予ちゃんの!なんか最初から最後まで扱い酷くない?!」
「すいません先輩、先輩の名前には私みたいな弊害が全くなかったので、ついその外面に唾を吐きたいという衝動にかられまして・・・もう一度チャレンジしてもよろしいでしょうか?」
「俺何も悪くないじゃないよねそれっ!そして全く反省してない上にチャレンジしようとすんなっ!」
「・・・はぁ、やれやれ仕方ない。ここは私が反省してさし上げましょう。」
「上から目線?!」
うぅ~やっぱ酷いぃ~と若干涙目になりながらも、共に教室を出て、冷え込んだ長く続く廊下を、すぐ隣で並んで歩く先輩を横目(先輩は背が高いので斜め横だけど)でみる。
最近、私はこの先輩とのくだらないちょっとしたやり取りが楽しくなってきてる。
だがそれを話すことはしない。だってそうしたら、これでもかと喜んで、見えない尻尾をブンブンふりまくってウザいくらいくっついてきそうだし。ハッキリいって面倒そう。ペットはうちの犬のイノちゃんだけで充分だ。
・・・でもまぁ卒業してからも友達でいていいかもしれない、お付き合いは無理だけど。
そんなこんなで毎日のように猛アピールされた(がそれを受け流し先輩を弄りに弄りまくった)私は、結局川居先輩に絆され(というよりこの面白く弄りがいのある生き物を他の人に取られたくないというかなんというか)、お付き合いし始め、そのままゴールインしてしまい、この呪縛が解かれることは一生なかったということを、この頃の私は思ってもみなかった。
主人公
先輩に対してのみちょっとS(?)。
けっこうサバサバしてる。
先輩が最初に告白してきたときは勿論驚いたが、それよりもその後、告白の内容のレパートリーの多さに驚いていた。(主にどれだけ好きなんだコイツって感じで)
自分の苗字はキライだが、家族のことは大好き。
家事が少し苦手で、料理は茹で玉子とか簡単なものしか作れない。
基本的に名前のことを言ってこなければ、あまり怒ることはない。
ちなみに部活は文芸部。得意ジャンルはエッセイ。何故この先輩が、この部活をやっているのか謎。だが理由を聞く気は毛頭ない。
先輩
主人公に対してのみちょっとM(?)。主人公のことがすごく大好きなわんこ系男子。顔は普通にイケメン。最初告白したときに、断られるかもと思ってはいたが、流石に苗字のせいで無理だという理由に納得ができず、それからアプローチし続けた。クラスメイトからも弄られたりはするが、主人公のように弄る人はいない。文芸部に入っているが、あまり書いてはいない。得意ジャンルは不明。
主人公の飼っているワンコの名前でもなんとなく分かった方もいるかもしれないが、実は主人公の家族は皆名前が似たような傾向っていう裏設定。
母→河井香代
あだ名なんて気にしない、逞しい母親。
父→河井爽
実は母と付き合う前、自分の仲間(名前の呪縛という名の)を増やしたいとちょっと思ってたりなかったりしたとかしてなかったりだとか(笑)。家族大好き。
兄→河井スギル
主人公と同じく名前で弄られた(男だからか、弄られ方が主人公より酷かった)ため、自分の名前がキライ。容姿はかわいいよりも、格好いいより。友達としゃべってるときに、「このアイドル可愛すぎるっ!」とかそういう話になると、ついピクッと反応してしまう。(そしてお前のこと言ってるんじゃねぇぞどからかわれ、苛立ちだす。)小学校の時から変わらない将来の夢:入り婿(じゃないと苗字が変えられないので)
ワンコ→河井イノ
普通に可愛がられてる。可愛いを連呼されるのは当たり前。単純。雑種:ポメラニアン
最初から最後までグダグダですいません。
やる気があれば、いかにして主人公と出会い、そしてどこに惹かれて、(最初の)告白をしたのかという過程までを先輩視点で書くかも・・・しれない。