魔術発現におけるアストラル体とエーテル体の均衡に関する……以下略
あんな事もあったことだし、朝チュンでもあるのかと期待していたわけでは無いが、いつも通りに起こされた事で、希望が潰えた。
ただし、変化もあり、二人だけの時には、「お坊ちゃま」から「主様」に呼び方が変わった。
彼女は、彼女自身の身の振り方を決めたようだ。
だから、男として、それに答えなければなるまい。
魔術について、はじめどう発現したか聞いたところ。
はじめは、靄のかかった感覚であったが、それが徐々に明確になって、ある日突然、魔術が発現する様だ。
訳分からん。
その靄も感じられないのだが……。
ブリジットからは、発現が不可能であるならば、知識として魔術を身につけておけば良いのではないかとのアドバイスをもらい。
リンスター家の書庫に案内される。
百万書架と言われるシバーシンの大図書館には及ばないが、さすが地元の名家であるリンスター家だ、所蔵の本の数は多い。
さて、この本の海原から、俺はどう自分自身に合ったものを見つけようか。
魔術についての体系本があったので読んでみる事にした。
昔の難しい文字で書かれており、一時間もしないうちに、本を枕に睡眠へといざなわれる。
活字はいい睡眠導入剤だよほんと。
夢の中でも、本の波に襲われる。
何や、このビックウェブに乗り遅れるんやない。
似非関西弁をしゃべるネズミのマスコットが、本の波をサーフィンしてくる。
ワンダーランドが広がる中、一つの鍵が降ってくる。
これや、これでワイらは波乗り仲間や~~。
本のユニバや~~。
大量のケツ汗をかいて、その夢から目が覚めた。
何だったんだ。
そんなこんなで、本を読むのが面倒になり、表紙を見ては目次だけ読んでいると、一つの本に、鍵が挟まっていた。その形状は、先ほどみていた夢の鍵と同じだった。
それを抜き出す。
綺麗な鍵であり、何か秘密があるのではないかとワクワクさせられる。
お宝本の隠し場所でもあるんじゃないのか。
この百戦錬磨の自家発電機の琴線に触れるモノか、確かめたくなった。
最近なんか普通のそうゆうのは飽きて、ちょっとブルーフィルム系にも手をだしていたんだなあ。
まさか、パン○レスラー系じゃないだろうな。
ワクワクしながら、書庫の中に鍵穴が無いか探す。
まあ、すぐには見つからないか。
しかし、必ず見つけて見せる。
引き続いて、目次だけ眺めながら、本をパラパラめくる。
魔術の発現には、プロセスが必要らしい。
それが詠唱だったり印を組んだり、魔導書をなぞったり、個人のエーテル体に合った作用がアストラル体にアクセスするきっかけになり、マナへ伝導する。
マナ自身にも、思考があるらしく、事象の変化を術者がイメージするが、マナ自身もイメージする様で、それが発現のシグナルとなる。
ただ、文書で読んでも理解はできず、エーテル体もアストラル体も現在の俺の感覚では、全く分からない。
どうしようもない、絶望を感じつつ、魔術について書かれている棚は、すべてめくり尽くした。まあ、すべて読んでいないし、図書館のように他の棚にも魔術に関する本は紛れているだろうが、先行きが全く見えない。
また、本を枕にして、寝てみるが、今度は夢も見ずに、ブリジットに夕食の準備ができたと起こされる。眠気眼で、取りあえず一周書庫を見まわしてから、ブリジットの指示に従い、食堂へと向かう。