開戦
――少し時は遡る
魔装同士の砲撃音をBGMに、戦いは展開していく。
ルナが、魔法陣を高速展開しようとしている。
それには、【ドラゴンテイル】が襲いかかる。
「「ルナ様、リンヴァーラさん!素敵!」」
応援の野郎どもが、興奮している。
あいつら……。
まあ、チーム戦だから邪魔するのは作戦のうちだよね。
足に仕込んでおいた紋章を輝かせる。
【疾風迅雷】
風と雷の壁に、速度強化を展開して、突撃する魔術。
メゴマでレオナールが多様した技だ。
その突撃が、魔法陣を途中で中断されて、少し体勢を崩したルナを狙う。
しかし、目の前に迫った時に、急に進めなくなった。
特に壁にぶつかったわけでもない。
そして、その横では、本を開いたアーネストの姿があった。
【ゴッドワード】
「壁となれ」
こちらの言語で、壁という字が浮かび上がっていた。
認識系の魔術。
けっして壁があるわけでは無いが、こちらの脳がそう認識してしまう。
結局は、脳の認識がこの世界を作っているといっても過言ではない。
その認識はそれぞれ違うが、共通の認識というものは存在する。
けっして見え方は同じではないが、例えば『壁』が目の前にあれば、通れないと思い込んでしまう。その認識の隙間に入り込む魔術。
視覚と聴覚に訴えかけられると、より強力に作用する。
非常に厄介であり。
【仙道】の天敵でもある。
仙道は、分散の極み。
その分散は、認識として脳の処理機能に自然と情報を入れる事から、彼の文字は効力が強くまた、誰よりも早く影響を受けてしまう。
「厄介だな」
【瞬刻】
アーネストの裏に回り込む。
まずは、こいつから何とかしないと……。
しかし、即座に盾の壁が彼の周りに展開する。
「僕の世界は、僕の妄想が決めます。戦いの勝利さえも」
盾の壁が、こちらに襲い掛かる。
回避しようと、足に力をこめた途端、その足元が歪み、無数の盾の連撃を受ける。
「ちっ!」
「僕の認識とマナの認識、そして対象者の認識を一致させれば、僕の望む形で勝利がもたらされます」
「くっ、無茶苦茶な」
――ティファ・ルナ対ブリジット・リンヴァーラ
【ドラゴンテイル】
嵐の様な、鞭の波がルナへ再度迫る。
ルナに届く前に、鞭がその勢いを殺してしまう。
ティファの左手からマナの流れを感じる。
【グラビティ・ファイブ】
「ぐっ」
鞭が物凄く重くなる。
重力操縦の魔術。
しかも、無詠唱で発現させている。
高度な魔術だろうに……。
リンヴァーラは、手をスナップさせる。
【サラマンドラーテイル】
鞭から、炎が噴き出す。
その炎で、ルナの魔法陣を焼き払う。
ルナは、再三の妨害に、かなり苛立ちを感じているのだろう。
距離をとり、意地でも魔法陣を完成させようと、杖を走らせる。
まあ、また妨害が入るのだが、地面が粉砕される。
ブリジットの土魔術が炸裂する。
ルナにとっては、相性最悪だ。
彼女の魔術的な動作は、土を媒介するからだ。妨害されやすい。
ブリジットは、すかさず弓矢をティファに射る。
しかし、弓矢はなぜか反転する。
ブリジットの肩をかすめ、鮮血が流れる。
反転?
質量操作系の魔術にこんなものは無い。
彼女は、何か他に隠しているようにも思えた。
弓矢の連続射撃をおこなう。
しかし、すべてこちらに返ってくる。
どう戦えばいいのか、ブリジットは思案するのだった。




