システム・パウリナ
「ジュ、ジュラ選手が先制攻撃を仕掛けました!一番先制攻撃を掛けるタイプではないように思えますが、これは作戦何でしょうか?」
「違うね。あれは、ジュラたんの独断だろうね。彼女は意外に熱いところがあるんだよ。まあ、歴代クジュラを継ぐ者は、魔装に関しては、誰にも負けないつもりでいるからね。
魔装相手では、熱くならざるおえない。そこを見込んで入学させたところもあるからね」
初撃から、白熱した展開で互いに打ち合いを繰り広げている。
機動力はジュラが高いが、その威力と砲門の数は、ゼットンの方が上。
手数と機動力どちらが、戦場で有利かというのは、あまり意味の無い問答であるが、この状況で考えると、手数の多い方が有利である。
会場は、遮蔽物が無いので、常に逃げ続けなければならない。
その隙を突き攻撃を加えても、相手へ致命的なダメージを与える事は不可能である。
弾幕を張るゼットンは、身動き一つしていない。
「なかなか良い魔装だが、我に敵うと思うな!」
「何故?それは、三百年前のシステム・ゲーティアだよね。それなのにどうじて、その威力の魔導砲を、そんなに高速で連射できるの?」
「我の魔装は、我と一体化しておる。我が思いと我が魔装にずれなどありえぬ」
そう言っている間も、激しい砲撃があちらから浴びせられる。
左腕を撃破され、ほとんど動かす事が出来ない。
まだ、足をやられていないだけましだ。
「もしかして、君は自分自身の脳を魔装に移植したの?」
「どうかな?」
無数の砲撃が、ジュラを襲う。
砂煙が上がり、地面は赤く沸騰する。
ジュラの魔装は、大半を破壊されて、内部のシステムがエラーを起こし、警告音が鳴りやまない。システム・パウリナは、ゲーティアに比べ、三世代も進化しているはずであるが、所詮、装着者と、魔装の連絡は、マナによるものであり、脳からの直接命令には、命令系統の速度は敵わない。
移植していないとしたら、どうやってあの速度をだしてるのかな?
古い魔装だけど、あの速さ。
移植では無ければなんだろう?
必ずトリックがあるはず。
爆撃は続き、もう甲装の一部は剥がされ、ジュラの体の一部が露出している。
後、少しで、おそらく撃破されてしまう。
再び、相手の砲門が光る。
魔導砲は留まる事を知らない。
そこに、アーネストと戦闘中のレオールが乱入してくる。
レオ―ルは、アーネストの攻撃に翻弄されていたが、こちらの戦線にまで侵入してしまった事に気づきすぐに離脱する。
ジュラは、レオナールが、ゼットンに近づいたとき、
砲門からの光が二重になったのを見逃さなかった。
「一騎と考えていたのが間違いだったんだね。ω(オメガ)ジュラシック!突撃っ!」
魔導機工のクレイドレイクが、召喚され突撃姿勢に入る。
少し挙動が、乱れているゼットンの魔装に突進を仕掛ける。
ただ、ゼットンも直ぐに体制を立て直し、砲撃を浴びせωジュラシックを破壊する。
その後ろから、巨大な魔導砲が放たれた。
【魔導砲・焔】
狙うのは、ゼットンではない。
その少し横。
大破した魔装がもう一体現れる。
ステルスを使って、隠れていたようだ。
「低スペックのシステムでも、その数が多ければ、手数が増えるのは当たり前だね」
「ぐぬ」
「どちらかが魔導機工で、どちらかが君本体だね」
通常は、後を選択するだろう。
でも、ゼットンは、前にいる。
本体が他との戦闘中に、横からほかの戦線が割り込んだ場合、魔導機工が自動的に防衛の為、回避運動をしたから今回のずれが生じた。
だから、意思があるのは、前の魔装であり。後ろは魔装では無く、魔導機工なのだ。
冷却なしでの連射は、あくまで前の魔装が、ダミーで砲門を発光させ、後ろの魔導機工から、本物の砲撃を浴びせている。その二重構造を隠すため、動かないのではなく、動けなかったのだ。
あのズレが無ければ、相当、目の良い輩ではない限り、ギリギリの戦闘中にそこに気づく者はいない。
「これで終わり」
フルバーストの魔導砲をゼットンへ。
いや、正確には、ゼットンの前に破壊された、ωジュラシックの、魔導炉へ放射する。
命中と同時に、大爆発を起こし、魔装の大破と魔導機工の破壊を実行する。
後には、警告音の収まったジュラの魔装しか残らなかった。
関節からは、煙がもくもくと上がっている。
システム・パウリナは、装着者の安全を確認したのち、冷却作業に集中する為、機能を完全に停止させた。




