レオナール
シミュレーターに学生証を掲げる。
新たに項目が加わっている。
エクストラランクの様なものだろう。
ある人物の項目を選択する。
『レオナール』
目の前に、その人物が現れる。
槍と盾、黒いライトメイルを装備した、深紅の髪で色白の男が現れた。
「本当にシミュレーターなのか?」
戦闘を始めるブザーはとっくになっているが向こうからの攻撃はない。
「君は誰だい?」
話しかけてきたどういう事だ。
ただのシステムではないのか?
「俺はレオール」
「違うよ。君の本当の名前を聞いているんだ」
驚愕した、何なんだ事シミュレーターは、人の思考を読み取ったイガルクとマリナが作り出したものか。
「なぜわかる」
「それは僕も、君と同じ転移者だったからだよ」
「百鬼獅子」
「雄々しい名前だ」
「名前負けしているとよく言われる」
「どうかな?まあいい、そして君は何を望む?」
「知力は高くないので、武力での勝負をしたい」
「いやいやトランプとかでもよかったじゃないか。あれは運が大きくはたらくから、君にも楽に勝てるチャンスがあると思うが」
「勝つためだけではそれでいいが、俺が望んでいるのは、この力を世に示し、そのブランド力で、魔導具の有用性を伝える事だ。ただ勝つのではなく『認められる』とも言われているしな」
「ただ、血の気が多いだけでは無さそうだね。しかし、僕はあくまでシミュレーターの作り出した存在だ。だから君に使った魔術とかは、君に直接教える事ができないし、僕自身で魔術を自力で発動できない。君に教えられる事があるか分からないかな」
「それは、戦いの中で俺が見つけていくものだ」
「すでに心の位置は安定しているようだ。僕よりすでに強いと思うんだけれど」
「それでも、まだ弱いんだ」
「その前向きな気持ちは、強さだよ。まあ、後向きでも、前を向いた後向きならいいんだけどね」
ひょうひょうとしているが、その挙動から尋常ではない強さを感じる。
大きな壁が目の前に立ちはだかる。
ゆっくり息を吸い込む。
そして五感を研ぎ澄ます。
【寂滅の瞳】
【仙道】
雄たけびと共に、雷切を引き抜き、その壁を壊しに一歩踏み出すのであった。
男は笑う。そして、深夜までその戦いは続く。
こちらの攻撃は、かすりさえしなかったが……。
「三位一体。『心』『技』『体』既に、君はすべてを理解しているはずだよ。新たな『心』の置き場を決めた方がいいね。それに二つが追いつくから」
「……」
「さあ攻撃してきなよ。ただし、心を【仙道】に置かないで、一点を集中するようにするんだ」
そして、夜は明け朝が訪れる。
眠気と空腹が同時に攻めてくる。
「休んでも良いんだよ?」
「まだ、やれる」
彼は、少しあきれた顔でつぶやく。
「これなら、自力で【餓鬼道】へ至れるね」
そして、また夜は訪れる。
ブリジットがシステム強制終了するまで、この戦いは続いた。
そして、強制的に彼女から眠りの世界へと引き入れられた。




