付喪神
少し休ませると、すぐに彼女は眼を覚ます。
「あんた、強いんだね」
「お前もな、鞭の扱いに長けているようだな」
「私にはそれしかないから」
少し弱弱しい声でうつむく。
こいつは……。
自分の能力も立ち位置も、すべてを分かったうえで、今の自分を作っているように思えた。
それは、重要なことであるが、まだ彼女には早い事だ。
それを考えるのは、三十過ぎてからだろ、お前……。
手裏剣を投げ渡す。
不思議な顔で、彼女は受け取る。
「起きて、すぐで悪いが、その手裏剣の裏表に魔力を流すイメージで、投げてみてくれ」
彼女は、やはり釈然としない顔をしていたが、言われた通り投げ放つ。
氷の刃が、纏わりつき手裏剣が高速で、前方へ飛び出す。
着地と同時に、床面が冷却し、氷結する。
【氷魔手裏剣・二式】
しかし、その攻撃は通常の二式以上の冷却力を持っていた。
“騒霊”種の種別固有能力【アニミズム】…道具の効力を上昇させる。
「道具の力を増加させたのか……使い方によっては、いくらでも高みを目指せるな」
「……」
「こわいか?今の立ち位置が変わるのは?」
「ちっ!なに分かったような事言ってんだ」
「傍に俺たちがいる。怖かったら、いつでも弱音を吐けばいい」
変わるのは誰だって怖い。
ただ、傍らでその変化を見てくれるものが居ると心強い。
「ちっ!」
それからは何も会話は交さなかったが、お互いを少し理解できた気がした。




