鞭と尻尾
大会も近いという事で、広めの訓練場は埋まっており、狭い訓練場へ向かう。
「お前、私に喧嘩売って、タダじゃすまないよ」
「丁度新調した鞭の扱いも必要だろう」
彼女は、少し考えて、少し口角を上げる。
「泣くんじゃねーぞ」
鞭の舞が、俺を襲う。
攻防一体。
通常、鞭は操作を困難とする。
手首のスナップが、滑らかだ。
動作と、鞭の先端が、連動している。
当然だが、彼女の能力は、非常に高い。
魔力伝導率が、高く強固な鞭は、彼女の体そのものの様に思える。
接近戦の得意な俺としては、近づく事すらままならない。
【ドラゴンテイル】
鞭に、炎と風が纏う。
かわしても、その炎を纏った風が、体を切りつける。
隙が全くなくなった。
「じゃあ、鳴かせてもらおうぞ」
爆音が、訓練塔の一室に響きわたる。
その振動が、訓練塔をも揺らす。
グラディウスで、鞭をはじき返す。
しかし、重くこちらが後方へ、吹き飛ばされる。
鞭の軌道が、変化したが、軌道修正もかなり早い。
雷の効果も全くない。
怯んだが、また前へでる。
「はやく寝ちまいな!」
「おいおい、女が寝る前に寝ちまえるかよ」
「ばっ、馬鹿な事いってんじゃねー」
リンヴァーラが、顔を赤くする。
からかい甲斐があるな。
たく、こちらも本気出すしかないかな?
アドレナリンが心臓を激しく鼓動させる。
全部見ろ、全部だ。
視界を広げる、視界にある全ての情報を読み取れ。
脳が悲鳴を上げる。
オーバーヒートする脳を、それでも必死にフル稼働させる。
心を燃やし、精神は冷静になる。
【仙道】
時が止まったようにスローモーションで流れる。
レッグバックから手裏剣を取り出す。
【風魔手裏剣・二式】
重複起動した紋章が発光し、手裏剣に突風が纏う。
手裏剣の回転が更に上がり、風の刃が、リンヴァーラへ襲い掛かる。
鞭の柄で、それをはじき返す。
しかし、強力な斬撃により、彼女はよろめく。
急ぎこちらに、視線を戻す。
雷を纏ったグラディウスで突きを放つが、彼女は回転する事により彼女自身の周りに鞭の壁をはる。
突きは弾かれるが、彼女も軽く後ずさる。
【瞬刻】
彼女の後ろに回り、切り上げる。
鞭の壁に、隙ができる。
しかし、切り上げた事により、こちらは、彼女以上に隙ができる。
「体が、がら空きだぜ!」
回転の力を利用して、彼女は、鞭の乱れを直す事もせず、柄でみぞおちを狙ってくる。
「男の体に情熱的に飛び込んでくるってのは、なかなか扇情的じゃないか」
「なっ!」
彼女が油断したところで、その視覚外から、雷の手裏剣が彼女の背中に刺さる。
既にみぞおちに迫った柄が、体に突き刺さることもなく、地面へと落ちる。
「お休み」
倒れゆく彼女を支える。




