理想郷(ユートビア)
部屋?まあいい、なるほど最近の天使はメイド服なのか。
いいじゃないか。
なんかこう、お世話してくれる感じがして。
銀髪に、ショートボブ。
肌は、少し褐色気味。
シャープな目つきに、黄金の瞳。
メイド喫茶の様なキャピキャピしたメイド服では無く。
ブリティッシュ風の本格メイドさんだ。
スラリとした、モデルのような体型だが、凹凸はしっかりしている。
おいおい、今日からこんな美人に、あんな事やこんな事していいのかよ。
ダメでしょ。
天国はじまってんな。
上機嫌でいると、メイドが朝の準備を始める。
天国にしては、リアルだな。
そろそろ、起きないと、メイドさんに怒られちゃうかな?
それもいいけど。
ゆっくり瞼を開ける。
さあ、起きよう。
あれ?起きられない。
どうして!
まっ、まさか、このメイドさんに毒でも盛られたのか?
いやいや、もう死んでるから。
じゃあ何で?
体を横にすることはできる。
それから、ベットと床の差を利用して立ち上がる。
メイドさんは、凛とした顔だが、少し瞳に驚きの色が見えた。
「おはようございます。お坊ちゃま」
「ああ、おはよう」
メイドさんは、更に瞳を見開いている。
そんなに、驚く事か?
もしかして、俺のカッコよさに、やっと気づいてくれる女性が現れたのか!
苦節二十年やっと、俺にもモテ期到来か。
死んでるけど。
そんなことを考えながら、近くの鏡で、俺のカッコよさを自分でも再認識したくなった。
どれどれ、今日の俺はイカしているかな?
しかし、鏡には、どう見ても豚の様な姿のガキしか映っていなかった。
どうゆう事?
なにこれ?
紅の?
待て待て、今日の鏡はどうした。
俺のイケメンぶりに、照れちまってるのか?
鏡よ鏡よ鏡さん。この世で、一番イカしている男は、だーれ?
そこには、相も変わらず豚が映っていた。
動きが重いのは、こいつの所為か!
「お坊ちゃま。どうかなさいましたか? 」
「おい、今日の俺はどんな感じだ」
「いつもと御変わりなく、健やかな御姿でございます」
オス型?
そうだよこれじゃ豚の雄じゃん。
「そ、そうか」
「朝食が出来上がっております。お支度を」
「ああ、ところで、死人も腹がすくものなんだな」
メイドさんは、複雑な表情になった。
やだ、そんな、かわいそうな人を見る目にならないで!
「お疲れでしたら、無理にとは申し上げません。旦那様にはそうお伝えしますが」
「いやいい、ところでお前は、名を何といったけか? 」
少しあきれ顔になってメイドさんは言う。
「私は、ブリジットでございます。お坊ちゃまの専属メイドです。どうか具合が悪いようでしたらご無理はなさらない方がよろしいかと存じますが」
「ああ、あ。いいんだ。ところで、着替えられないのだが、手伝ってくれないか? 」
「もとよりそのつもりです。」
メイドさんに着替えを手伝ってもらうなんて、恥ずかしいけど、この体ではまともに着替える事もできない。赤ちゃんプレイの素晴らしさを妄想しながら、着替えさせてもらいましたよ。