それでも腹は空くし、眠気は襲う
沈んだ顔の俺は、ブリジットとの夕食をさぼろうとしたが、彼女が強引に、俺の部屋へ入ってきた。特に、沈んでいる理由は聞かずに、料理の準備を終え、よそってくる。
「マルクスさんがお作りになった料理です」
ただ、それだけ話したら、俺が料理を口にするのを、じっと待っていた。
こういう時は、幾多の言葉を並べられるよりも、無言の圧力の方が、心にくる。
このままでは、ブリジットもお腹を空かせてしまうし、なによりマルコメ君が折角作ってくれた料理だ。
一口食べてみる。
上手い、それにただ上手いだけではない。
力が湧いてくる。
彼の料理のすばらしさに気づかされた。
そして、この料理は迷いのない料理だ。
おそらく、鉄人に相当しごかれて、何とか作った料理だろうが、彼の個性が出ている。
いい味噌加減だ。
そして、一心不乱に箸を進める。
それを見ていた彼女は、安心し、一緒に同じ料理を摘まむのであった。
ブリジットは、鍛冶について学んだらしく、現在は、魔石と金属の合金合石に挑戦しているとの事、御影は無口であり、あまり答えを教えてはくれないが、ポイントのアドバイスは、してくれるらしい。
御影の研究のテーマでもある合金合石は、彼女も未完成であり、生徒と講師というよりは、共同研究者という関係性に近い。
ジュラは、レッド先生にカッコいいポーズと、魔装の装填の仕方をレクチャーされているそうで、歩きながらの装填も可能になったという。今後は、空中装填に挑戦するようだ。
何やってんだよ、あいつらは。
何だか、おいていかれているような焦燥感を感じる。
しかし、それでも腹はすくし、睡魔も襲ってくる。
生きているんだ。
生きているのなら必ず、この仲間たちに、自慢できる実力をつけられる。
食べ物が、血肉になり、心が沸々(ふつふつ)と温度を高めるのである。




