8 助
よかった。何とか今日中にもう一話投稿できた……。
今回はちょっとシリアス。
一応隠れてみたが……うん。これはなかなかいい隠れ場所だ。ちょっとわくわくする。
それよりも、外の音が気になって仕方がない。
編集の女性が出て行ってからも、銃声や叫び声が絶えず聞こる。ときどき爆発音なんかもしてビル全体が揺れたこともあった。
男二人はそんなに激しくお仕置きを受けているのだろうか……。
なんだか可哀想だな。少ししか一緒にいなかったが、結構根は真面目そうな男たちだった。
……迂闊な人たちだったけど。
そんなことを考えている間に、破壊音が近づいてきた。
編集の女性が破壊活動をしながら戻ってきているのだろうか。
その時、ドアの鍵を開ける音がして、女性が血相を変えて入ってきた。
編集の女性はきょろきょろ(生ぬるい。ぎょろぎょろ)と部屋を見渡し、
「どこいったのよ!?」
と甲高く叫んだ。
「隠れてないで出てきなさい!」
女性は資材の山に目をつけ、鉄パイプを振り回してバラバラにするも、私はそこにいない。
「ちょっと!早く出てこないと――――」
ピタッと女性の声が止まった。
爆発音もせず、ただ静寂のみがその場を支配する。
そして――――
スパスパスパッ!
ドアに切れ目が入ったかと思うと、バラバラと崩れ落ちた。
そこに立っていたのは――――。
「……娘はどこだ」
父だった。
いつも稽古するときの格好に、手には真剣。ドアも、この真剣で切ったのだろう(すごいな!?)
「あ、ああ、か、勝正……さん。こ、これは……」
「娘は……どこだ」
これほど怒った父を見るのは初めてだった。
いつも無表情の父。しかし、いつも穏やかな雰囲気を持っていた。
だが、今は違う。
鬼のような表情に、背後には修羅が見える。
「う、わ、わああああああああああああっ!!!!」
あまりの恐ろしさに自棄になった女性は、持っていた鉄パイプを父に投げつけた。
しかし鉄パイプは父にあたる瞬間、真っ二つにわかれ、父の後ろに転がった。
剣が見えなかった。
それほど速く正確な剣捌き……。
流石、伝説と呼ばれただけのことはある。
父は、再び鉄パイプを持とうとする女性に一気に近づくと、足を払い、その場に膝間づかせた。
「……娘はどこだ」
「あ、あ、あ」
いけない。父の怒りのボルテージが上がってきた。
「父様」
呼びかけると、父は上を見上げた。
父の視線の先には、骨組が丸見えの天井から見下ろしている私。
父は剣を腰につけた鞘に納めると、ちょうど私の下へやってきて、手を広げた。
私は迷わず飛び、父の筋肉質な胸に飛び込んだ。
「……」
父は何も言わなかった。ただ、苦しいほど抱きしめてくれた。
それがなんだか気恥ずかしく、私はもぞもぞと腕の中で身動きした。
それに気づいた父は、抱きしめる力をゆるめてくれたが、左腕に乗せたまま下ろしてくれなかった。
「……けんな」
私たちは女性の方を見た。
先ほどからパトカーのサイレンの音が聞こえているし、さっさと退散すればよかったのだが、この時の私は女性の最後の言葉を聞こうと耳を傾けてしまった。
思えばこの時女性の言葉を聞かなければ、悩むこともなく、もう少し楽しい人生を送っていたのかもしれない――。
「ふざけんな!あんたがいたら、二人は不幸になる!この疫病神!!」
他にも女性が何か喚いていたが、私は聞くことが出来なかった。
『あんたがいたら、二人は不幸になる!』
そう。彼女の言う事はある意味正しい。
私は実際、すでに不幸にしているのだ。
あぁ、だけど…………
両親の顔、どんなだっただろう――――
私の意識は急速に失われ、世界は暗闇に包まれた。
シリアース!!思った以上にシリアスになってしまった……。
更新に時間があいた理由は……漫画買いました。今人気の。
……も、申し訳ない。
ご意見、ご感想、質問、誤字脱字、なんでもお待ちしております!
今日はこれまで。