6 誘
本日最後。
私は今、ガムテープで口を塞がれ、両手もぐるぐる巻きに拘束され、車でどこかに運ばれていた。
「はん。この餓鬼、ビビッてやがる。さっきから一言もしゃべらねぇ」
「当たり前だろ。こいつはまだピカピカの一年生だ。誘拐されたこともないだろうしな」
そう。私は生まれて初めて誘拐を経験している(前世の研究所へ連れていかれた事を覗けばだ)。
誘拐犯の二人は男。一人は太っていて大きく、もう一人は中肉中背。
いったい何が目的なのだろう。
お金だろうか。
……それが一番可能性が高そうだ。
我が本田家は戦国時代から続く名家らしい。
何をしたか詳しい事は知らないが、かなりの土地の面積を持っている。山も持ってるらしい。
まぁ、そんなことを知らなくても、家を見れば一発でお金持ちと分かるが……。
今の家は、父の祖父の代に建て替えられ、趣のある庭をつくり、どこぞの平安貴族だ!と思わせる家になった(そのおかげで、門の外に行くまで平安時代かと思っていた)。
そんなお屋敷の子どもを狙うとしたら、十中八九お金だろう。
「おい、この子ども連れていたあとどうするんだ?」
「さぁな。殺されるか海外に売られるかだろ」
……違った。
どうやら金銭目的の誘拐ではなく、怨恨のせんが高そうだ(刑事風)。
……七歳の子どもに恨みを抱いている人?
いやいや、ある訳ないだろう。どんだけちっちゃな心の持ち主だよ、とか思ってしまったではないか……。
――――となると、父と母のどちらかだろうか。
普通に考えれば父だな。
あの無表情で何人か敵を作ってそうだ。
そうこう考えるうちに目的地に着いたようだ。
車から降ろされると、そこはどこかのビルだった。立ち入り禁止の衝立があるが、真新しい様子から何かあって工事中止になったビルかもしれない。
「あっ」
歩いている最中、機材の一つに躓き、排水溝に手をついた。
「おい、大丈夫か?」
頷いて立ち上がったが、膝から少し血が出ていた。
「歩けるか?」
「(コクン)」
「よし。じゃあ早く行くぞ。ボスが待ってる」
どうやらこの二人は使い走りだったらしい。
ボスって誰だろう……。
その疑問はすぐに解消した。
「こんにちは、お嬢さん」