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41 震

大変長らくお待たせしました。


ひとつ前に今までのあらすじを載せておきましたので、読んでからの方が思い出しやすいかと思います。


今回は翼視点から入ります。






 台所へ行くと、母様が二つ膳を用意していた。



 「母様」


 「はい、できたわよ。これも持って行って、三人で食べるといいわ」



 どうやら母様は最初から私が彼と一緒に食べさせるつもりだったようだ。

 確かに、身体が弱っているときは、誰かにそばにいてほしいものだ。



 ちなみに、この台所は最新式のシステムキッチンだ。

 昔ながらの日本家屋に合わないことこの上ないが、流石に仕事を持っている母様が一人で料理するには昔ながらの竈は時間かかるらしく、思い切って新しく取り付けたらしい。


 ただ、米だけは竈でやっている。母様のこだわりで、「ごはんは竈でやった方が美味しいのよ!」らしい。


 前世の食事はもう長い事点滴だったので、違いは分からないが、母様の料理はかなり美味しいと思う。


 基本、我が家は日本食で、朝はお米を食べないとどうも調子がくるってしまう。お米は我が家の元気の源なのだ。



 「今日の朝ごはんは、白米にお豆腐の味噌汁。焼鮭に、ほうれん草の胡麻和え、だし巻き卵。あ、このだし巻き卵、大地くんが作ったのよ」



 見ると、綺麗な黄色をしただし巻き卵が、まだ少し湯気を出してお皿に乗っている。そのいい香りに、食欲が湧いてくる。



 弟の大地はよく母様の手伝いで料理をする。手伝い、というより修行のような感じで、母様が認めた味でなければ人に振る舞われることはなく、母様に厳しく扱かれながら日々料理の腕を磨いている。


 大地が作った料理が人前に並び始めたのは私が中学一年、大地が小学校六年の時で、食べて美味しいと言ったら、目に涙を浮かべて喜んでいた。


 まだ母様には及ばないものの、料理のレパートリーも増え、今ではお米以外は任せられることもあるらしい(お米を炊くのは最終試験らしい)



 ちなみに、小さいころ、楽しそうに料理している母様を見て私もやってみたくなり、お手伝いをしてみたのだが、包丁を使えばまな板まで切ってしまい(剣道の要領で振り下ろした)、肉を捏ねれば飛び散り(正拳突きの要領で押した)など、被害が大きかったので、台所使用禁止にされてしまった。



「あぁ、食べ終わったらお茶があるから取りに来てね」



 母様に頷き、私と大地は膳を持って台所を後にした。



 「……姉さん。一つ聞いてもいい?」


 「ん?」



 今日も綺麗に整えられた純日本庭園を横目に廊下を歩いていると、大地がそう聞いてきたので立ち止まり、振り向く。



 「あの人に、告白されたんでしょ?」



 私より背の低い大地がおずおずと私を見上げる。



 「……」



 カタカタカタと何かの音がする。



 何の音だろう。



 あたりを見回すが、それらしいものはない。



 「姉さん……」



 大地を見ると、どこかショックを受けた表情でこちらを見ていた。



 ふと、手元を見ると、味噌汁が振動で揺れていて、ようやく音の正体は自分が震えているせいだと分かる。



 「……やっぱり、理解しちゃったんだ」


 「な、な、な……」



 私は、振動を止めるのに必死で、大地の言葉を聞き逃してしまった。











重要な言葉を聞き逃すのが、ヒロインの宿命(?)



次回は大地視点で震える翼の様子をお届けするかもしれません。




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