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29 既

「次回急展開!」と言っておきながら、それがプレッシャーになり意外と難産でした。


少し多くなってしまったので、二つに分けようと思います。






 武藤視点




 現在午後三時。


 『狩り者競争』のあとも、壮絶な戦いが繰り広げられていた。


 怪我人が大量に出て保険医が発狂するし、織多先生率いる北軍が途中参戦してくるし、やけになった校長が参戦してものすごい活躍を見せるなど、予想外のことが次々と起こり、体育祭は乱戦と言えるような状態だった。

 その中で、見事勝利を掴んだのは……・このはためく黄色いハンカチで分かるだろう。


 優勝は、後半追い上げてきた南軍だった。


 南軍は前半はまるで体力を温存してきたかのように後半活躍していた。前半より高得点が多い後半に戦力を集中させ、教師陣の北軍に目を奪われていた東西軍の隙を突き、点数を稼いでいたのだ。

 噂では、これはすべて三年のある参謀によるものというのだから、驚きだ。

 ちなみに、MVPは南軍の主将になった。主将は三年最後に花を咲かせたことが嬉しいのか(はたまた夏休み宿題免除が嬉しいのか)泣いて喜んでいた。





 ※※※※※※※※※※





 「あー、ひどい目にあったー」


 立花さんたちの質問と言う名の尋問にかけられ、洗いざらいとテントでのことを放してしまった後、怪我で競技に出場できないオレは一人椅子に座って体育祭が終わるのを待っていた。

 やっと体育祭が終わり、肩を落としてうなだれていると、隣の椅子に誰か座った気配がした。


 「なんだ。亮介か」


 「なんだよはなんだよ」


 「別に~」


 「……」


 どうせなら本田さんがよかったなぁと考えているオレに対し、亮介は気のないオレの返事に眉をひそめたが、やがてにやりと笑った。


 「そうか。チェリーは俺じゃなくて本田さんをご所望か」


 「なっ!」


 考えを読まれ、慌ててしまう。


 「べ、別にそういうわけじゃ」


 「なんだ。会いたくないのか?」


 「そ、そりゃぁ、めちゃくちゃ会いたいけど……」


 「けど?」


 「~~~~っ」


 駄目だ。何を言っても上げ足を取られるだけだ。

 幼稚園の頃からそうだった。オレより頭のいい亮介はオレをからかって遊ぶのが楽しいのだ。まぁ、不幸男と呼ばれるほどの不幸体質のオレを見捨てないでいてくれたのはありがたいが、趣味趣向もいいも悪いも知り尽くされている相手だ。簡単に裏をかくことができない。

 そんなオレの葛藤もわかっているのだろう。亮介はニヤニヤとオレを見ていた。


 「で?『けど』なんだ?」


 「あ、会いたいけど……こ、これ以上情けない姿を見せるのは嫌だっつーか、好きな子にはかっこつけていたいというか……」


 恥ずかしくて頭をかきながら言うと、亮介の視線がオレを後ろを見た。


 「あ」


 「え?」



 嫌な予感はしていた。いい事の後には必ず不幸が待っている。

 『人生楽ありゃ苦もあるさ』の歌詞を地で体験してきたのだ(もう少し詳しく言うと一いい事あれば三倍の不幸が返ってくる)。



 オレはそろりと振り返る。すると……。



 「ほほほほほほほ」


 「?」


 「本田さん!?」




 なんだろう。すごいデジャヴ。










次回が山場!(これ本当)

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