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26 頑

武藤視点最後!


 武藤視点




 今さらながらに彼女と二人っきりということを自覚すると、落ちつかなくなってきてソワソワと動いた。

 ちらちらと彼女の後姿を見つめていると、彼女が振り向いたので思わず小さく飛び上がってしまった。


 しかし、彼女が持っているものに困惑してしまった。


 彼女が持っていたのはビニール袋と湿布。ビニール袋の中は氷が入っていると思われる。


 「え、えっと……」


 彼女は無言で近くの机に二つを置き、別のパイプ椅子を持ってきて俺の目の前に座った。


 「え……えっ!?」


 するとなんと彼女はオレの右足を彼女の太腿に乗せ、靴を脱がし始めた。


 「な、何を!じ、自分でやるよ!」


 慌ててどかそうとするも、膝(怪我している)を叩かれ、強制的に大人しくさせられてしまった。



 い、痛い……。



 彼女は靴を脱がすと、今度は靴下を脱がし始めたが、今度は懸命に動かないよう努めた。

 そして、露わになった右足に、引き締まって弾力のある感触が伝わってきて……。



 耐えろ!!耐えろオレ!!絶えろ本能!!



 しかし、追い打ちをかけるように、彼女が濡れた布で足を拭きだした!


 痛めた足を気遣って拭う優しい手つきと、時々触れる彼女の指の感触が……。



 もう、鼻血出そう……。



 顔が熱い。絶対に真っ赤だ。


 にやける口元と鼻を押さえ、懸命に我慢をする。しかし、限界が近い。



 「ひえっ!?……冷たっ!」


 急に冷たい感触が右足に触り、思わず情けない声を上げてしまった。


 見ると、先ほどの氷の入ったビニール袋が右足に当てられていた。


 その冷たさが、沸いた熱を冷ましてくれるようで、鼻血がでそうな感覚もなくなってきた。


 彼女は右足を冷やしている間、膝の怪我の泥を落とし消毒してくれた。

 その手際が鮮やかで、慣れている感じがした。


 「慣れてるんだね」


 (コクン)


 「誰がに教えてもらったの?」


 「……兄様に」


 「お兄さん、いるんだ?」


 (コクン)


 「他に兄弟は?」


 「……弟」


 「三人兄弟?」


 (コクン)



 あ、オレ普通に会話できてる!


 それに、彼女もどこか嬉しそうだ。もしかして、家族の話をできるのが嬉しいのかもしれない。


 「家族好きなの?」


 (コクン、コクン)


 今までで一番大きく頷いていた。


 そうか、彼女は家族が好きなのか……。

 きっと彼女の家族も彼女が好きなのだろう。

 無表情だが、嬉しそうにする彼女がとても可愛い。こんな子を嫌いなはずがない!



 しかし何で彼女は手当しに来たんだろう。……いや、嬉しい。本当マジで嬉しいし、天にも昇る気持ちなのだが、彼女がオレの怪我を手当する理由が分からない。



 ……き、聞いてみようか。今なら聞ける気がする!


 「あ、あの」


 「?」


 「何でこんなオレの手当なんかしてる――あいたっ!」



 くじいた右足を叩かれた。い、いたい……。


 涙目で彼女を見ると、どこか怒っているようだった。

 な、なにが彼女を怒らせてしまったのだろう?


 「あの、えっと、どうして怒って……」


 「“こんな”って言うな」


 「は、はいっ!」


 鋭い瞳と気迫に思わず返事をしてしまった。

 彼女はオレの返事を聞いて頷くと、手当に戻った。


 その際、ポニーテールにした綺麗な黒髪が揺れた。


 「髪……」


 「?」


 「あっ!えっと、その……そ、そういえば、リレーで横からポニーテールに結びなおしたよね。それは何で?」



 あ、危ない!心の中で『髪、綺麗だなぁ』って思っていたのが口に出そうになった!

 まだそんなに親しくもないのに、か、身体の一部を褒めるなんて……。



 いいい、今のオレには無理だ!



 「……本気になったから」


 「本気って……あ、オレが転んだから……」


 彼女は首を横に振った。


 「で、でもオレ転んだりして情けない姿見せちゃって――」


 続きの言葉は彼女の鋭い視線にかき消された。

 鋭い目がオレを見据え、思わず息をのむ。


 「情けない姿はかっこよかった」


 「???」



 情けない姿がかっこいい?





 …………





 か っ こ い い ?






 固まるオレを、彼女は立ち上がって見下ろした。




 「頑張るやつは、嫌いじゃない」




 そう言うと彼女は布を捲ってテントから出て行った。その際、温度差で生じた風になびいたしっぽのような髪がとても印象に残った。



 足を見ると、右足は手当が完了し、丁寧に靴下まで履かせてくれていた。



 オレはこの数分を思い出し、彼女の最後の言葉を思い出し――――






 意識を手放した。













気絶しました。



王道に、と思って書いていたら、「ん?これ男女逆じゃね?」とか今更ながら思ってしまった……。


翼はいいとして、不幸男よ……。

明日は更新できるかわかりません。しても日付が変わるぐらいかと思われます。



誤字脱字ありましたら教えてください!


評価、お気に入り登録、ありがとうございます!!日に日に増えていってうれしい限りです!

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