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2 誕

ふむ。続きを読むがよい。(侍風)


二話目です!







 「さぁ、頑張って下さい。もうすぐですよ!」



 いろいろな器具が置かれた産室に悲痛なうめき声とともに助産師の声が響く。



 「今頭が出ましたよ!あとちょっと!」


 息を吸っては吐き、そして力む。力む瞬間、家から付き添ってきて、助産師の言うことを拒んで無理やり妻のもとに残った夫の手を遠慮なく握る。爪が肉をえぐる感じがしたが、夫の眉はピクリとも動かない。そんないつもの無表情にイラッとくるも、目の奥に心配そうな輝きを見つけ、殴ることはしないでおく。



 「おかあさん……」



 四歳になる息子がさらに心配そうに様子を伺う。なぜ息子もここにいるかは追及しない。

 出産は血が出て結構グロイ。トラウマにならないといいのだが……。



 「大丈夫よ……。もうすぐ、会える、からねっ」



 最後の一押し。

 夫の手を握り、思いっきり力む。



 「く~~~~~~っ!!」






 ふっと、体の中から何か出ていくのを感じた。その瞬間。


 「オギャーッ!!オギャーッ!!オギャーッ!!」


 「!産まれ……」



 夫はパタリと倒れてしまった。



 「あらあら。だから出て行って下さいとあれほど……」



 助産師の文句を聞きながら、荒い息を整えようとした。



 「あかちゃん、うまれた?」


 「えぇ。元気な女の子ですよ」



 助産師がタオルに包まれた赤ちゃんを連れてきて、見えるように顔の横へ置く。




 「あかちゃん?」


 「そうよ。妹よ」


 「いもうと……」



 不思議そうな顔をする息子にクスリと笑いをもらし、視線を赤ちゃんに戻す。






 産まれたばかりでまだしわくちゃで、だけどどこか親に似た顔つきの女の子。

 大きな泣き声でこの世に産まれた私の娘。






 「翼」




 どうか、どこまでも自由に。







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