12 長
今回は長いです。
ぎりぎり投稿間に合った……。
???視点
入学式も無事終わり、授業初日となった。
一時限目は担任の教科なので、自己紹介から始まり、クラスの役割分担を決めていた。
この学校は礼儀作法などの授業もあるので、普通の公立学校より時間に余裕がない。なので、この時間ですべての役割を決めなければならなかった。
そして、どの学校でも一番初めに決めて一番決めにくいもの……それはクラス長。
この壱ノ壱クラスも例外ではなく、すでに一限目始まってから十五分は経っていた。
こうなったのは十五分前。
担任の織多三郎は、
「あ~、クラス長は……あみだくじで決めていいな~」
と、やる気のない様子で言うと、副担任の開智秀が、
「言い訳ないでしょう!ここは生徒の自主性に任せるべきです」
と反対。
「んなこと言っても絶対にこいつらでねぇぞ。いつものごとく大半は部活やんだろうし、クラス長なんざ面倒くさいこと進んでやる奴はいねぇよ」
「あなたがそんなこと言うとますます出にくくなるでしょうが!ならば推薦――」
「会って二日目のこいつらにお互いのなにが分かると?それに、そういうのは眼鏡かけてるやつが不利なんだよ。真面目に見えるから。不公平だろ?」
クラスの眼鏡かけている人たちが大いに頷いていた。……少なからず苦しいことがあったのだろう。
開智先生も思い当たることがあるのか、グッと苦い顔をした。
「し、しかし……」
「他にも今日来てないやつに押し付けようとかいるよな。小学生のころ、次の日来たら嫌な役職になってたりとか」
開智先生が完全に黙った。思うに、ダブルで思い当たってしまったのだろう。眼鏡で真面目そうな先生が風邪で休んでいる間に役員決めがあり、次の日来たら嫌な役職になっていた――――。
あり得る。
といったやり取りをしていて十五分。
「さっ、あみだできめるぞ~。文句あるやつはでてこ~い。まぁ、いないだろうけど。
織多先生はそう言いながら黒板へ乱雑に線を引き出した。
「三十人だから三十本……っと。おれの独断で場所決めるぞ~。……ここだっ!」
変な鼻歌を歌いながら線を降りていった。
誰もが当たらないよう心に祈りながら、固唾をのんで見つめる。
ふと、ぶつぶつと何か言う声が聞こえ、そっと後ろを振り返ってみる。すると、斜め後ろの男子が目をつむり、ものすごく必死に祈っているところだった。
そんなにクラス長になりたくないのだろうか。
まぁ、進んでやりたいと思う役職ではないが……。
隣の席を見ると、空席だった。そう言えば、入学式のときも一席空いている席があったような気がする。
「よし、決まったのは~?」
視線を前に戻すと、織多がにやりと笑った。
「出席番号二十五番、武藤旭!」
「のおおおおおおおおお――――っ!!やっぱりかぁぁああああああっ!!!」
大声に驚いて振り返ると先ほどの男子が頭を抱えて机に突っ伏していた。
「え~本人はあれですが、賛成のもの、拍手」
全員が拍手した。
偶然にも選ばれてしまった男子は窓際の一番後ろという席に座っている男子に向かって
「笑うな~~!」
と叫んだ。その男子は窓の方をむき肩を震わせていたので、二人はかなり仲のいい知り合いらしい。
なんとも不幸な人だ。
「ほら、武藤。あとよろしく」
「くっ……。えー、不本意にもクラス長になりました、武藤旭です。……では、残りの副長を決めたいと思います。男女平等のため、副長は女子からでてもらいますが、いいですね?」
女子は全員頷いた。こればかりは仕方がない。
それにしても、進行の仕方が鮮やかだ。さっきの反応を見るに、どこかで経験があるのかもしれない。
「じゃあ、せっかくだからあみだで――――」
ガラガラガラ
その音で、クラスは静まりかえった。
全員音の出所、教室のドアに視線を向けた。
そして誰もがその人に魅入った――。
真っ直ぐに伸びた黒髪を横で結び、肩から前に流している。少し長めの前髪の隙間から見える黒髪は鋭く、どこまでも見透かしそうな瞳だった。
その人は教室へ一歩踏み入ると、後ろ手にドアを閉めた。
ここから見える全身は均等が取れていて綺麗だった。特にスカートの下に伸びるカモシカのような引き締まった足。黒のニーソで隠れているも、絶対領域が何ともエロい。
背筋はぴんと伸び、まさに威風堂々。侍のような雰囲気の人だ。
「君、三十分の遅刻ですよ。名前は」
すぐに冷静さを取り戻した明智先生が腕を組んでその人を睨んだ。
その人は無表情のまま深々と頭を下げた。
「遅れて申し訳ありません。何なりと罰をお与えください」
「罰って……」
クラスの視線が開智先生に集まった。こんな美少女がここまで頭を下げて誤っているのに、どんな罰を与えようというのだろうか。
そんな生徒たちの非難の視線を感じたのか、開智はうろたえて眼鏡をいじりだした。
「おう、お前は入学式のときも来なかった本田だな?」
「本田翼と申します。重ね重ね、申し訳ありませんでした」
「いいっていいって!……いや、そうだな」
織多がまたにやりと悪い笑みを浮かべた。これはもしや……。
「そうだな。入学式欠席や今日遅刻した罰として、クラスの副長をやれ」
「畏まりました」
「えぇ!!」
「「「「「えええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」」」」」
織多の言うことに驚いて思わず叫んでしまった。一人以外……。
その一人は両手の拳を握り、天高くつきだしていた。
それはそうだろう。クラス長と副長は一緒に作業する時間が誰よりも長い。あんな美人と二人っきりで作業する機会があるのなら、誰だって喜ぶだろう。
彼に集まる視線が鋭くなった。
「せ、先生!武藤君がクラス長不本意と言っていたので僕が変わります。いえ、やらせてください!」
「えぇっ!?」
「いえ、ぼくが!眼鏡かけてるし、真面目に役目を務めます!」
「何!?おれだって眼鏡だ!おれがやる!」
さっきは嫌がっていたくせに、男子たちが手を上げ始めた。周りの女子たちは目を細めてそんな彼らを見る。
「だ~めっ!一度決まったんだから変更はなし!」
「「「「「ええ――――――――――――――――っ」」」」」
「ぃよしっ」
「これで二人決まったな。本田、その場で自己紹介と意気込み」
「本田翼。このクラスの副長になった。……よろしく」
そういうと、彼女は席についた。あたしの後ろの席へ――――。
これから、楽しくなりそっ!
遅くなって申し訳ないです。
次回は我らがヒロイン翼ちゃん視点でお送りします。




