10 入
ようやく高校生になりました!
高校生第一弾は、我らがヒーローの登場です!
8月9日誤字脱字修正。
??視点
桜舞い散る入学式。
真新しい制服に身を包み、期待に胸膨らむ新入生。
あちこちで部活動勧誘の声が響き、新たな出会いに色めき立つ。
さぁ、新しい自分の始まりだ!
「って思ってたのに~っ!」
「何言ってんだてめぇ。いいから金よこせよ」
「金持ってんだろ?さっさと渡しな!」
武藤旭十六歳。今日は素敵な入学式!のはずが……。
朝起きたら目覚まし時計が壊れていて、小学校からの親友は置いて行かれ、信号には全部捕まり、さらには不良高校生二人にカツアゲにあう。
そんなオレのあだ名は『不幸男』。
「おい、聞いてんのか、こらぁ!」
「お金はありません。そんなにお金が欲しかったら自分で働いて稼げばいいでしょう」
「あ゛あ゛ん!?なんだとてめぇ!」
「やんのか、ごらぁ!」
あぁ、オレの入学式――。初日から入院とか……シャレにならん。
「歯ぁ、喰いしばれや!」
不良(仮に不良たちを不良Aと不良Bとしておこう。この場合はA)が拳を大きく振りかぶった。
オレは衝撃に備え、目をつむって歯を喰いしばる。
しかし、いつまでたっても衝撃は来なかった。
「な、何だおめぇ!」
不良Bの驚いた声が聞こえ、恐る恐る目を開く。
「木刀?」
不良たちとオレを分断するように構えられた木刀。
いったい誰が……。
視線を動かし、木刀の持ち主を見た。
ドクン――――
木刀を真っ直ぐ突き出しているその人は、一つに結んだ真っ直ぐの黒髪を風になびかせ、鋭い瞳は鷹を思わせた。
そしてとても、綺麗な女性。
その視線がオレの方を向いた。
吸い込まれるような黒い瞳だった。
とても澄んでいて、そして真っ直ぐな瞳。
「怪我は」
声は綺麗な低めのアルト。
凛とした彼女にはぴったりの声――――。
「な、何だよねぇちゃん。こいつを助けようってのか?」
彼女の声に浸っていると、壊れた楽器のような声が聞こえ、オレはムッとして不良たちを睨んだ。
「……」
彼女は何も言わなかった。ただ、オレだけを見つめている。
オレも、再びその目に吸いこまれるようにして視線が放せなくなった。
「~~~おい!無視すんな!見つめあんな!」
不良Aが叫ぶも、無視。
オレは彼女を見つめていたいんだ!
「怪我は」
再び聞かれ、彼女はその質問を待っていたことに気付く。
「あ、だ、大丈夫です」
思わず声が裏返り、恥ずかしくて顔が熱くなるのが分かった。
「~~~~~~~っ、このぉ!」
不良Aがオレを殴ろうと向かってきた。
「わ、わ、わっ!」
しかし、不良Aの拳はオレに届くことはなかった。
突然風が吹いたかと思うと、不良Aが綺麗な放物線を描いてふっとんで行ったのだ!
「あ、け、健ちゃん!」
不良Aは健ちゃんと言うのか……。
不良Bは不良A……もとい健ちゃんに駆け寄った。
「ぐ、ふ……康よ……体には、気を付けて……(ガク)」
「健ちゃ――――ん!!」
仲いいな、この二人……。
場違いなことを思っていると、康と呼ばれた不良Bはオレと彼女をキッと睨むと(彼女を見るときは多少頬を赤くしていた)、
「お、覚えてろよ!」
と叫ぶと、健ちゃんを担いで去って行った。
「今時覚えてろよって……」
古風な不良だなぁ。
それよりも……。
「あ、あのっ!」
意気込んで彼女にお礼を言おうと(あわよくば名前を聞こうと)振り返ると、彼女はすでにいなかった。
「あ、あれ?――あ、いた!」
彼女は綺麗な黒髪をなびかせて角を曲がるところだった。
「行っちゃった……」
今まで見た事ないほど綺麗な人だった。
また会いたいなぁ……。そう言えば、彼女の制服は、オレと同じ私立蒼ヶ原高等学校のロゴが入っていた。
今日は入学式で先輩たちはほとんど学校へ行かないはず。
制服は真新しかったし、オレと同じ新入生の可能性が高い。
「って、入学式!!」
やばい!あと五分で式が始まる!
全速力で向かっているも、間に合わないかもしれない。
…………
あれ?
彼女、学校と反対方向に行ったぞ?
不良に絡まれたヒロイン(ヒーロー)が偶然通りかかったヒーロー(ヒロイン)に助けられ、ヒロイン(ヒーロー)は一目ぼれし、また会いたいなーと思っていると同じ学校の生徒だった!!
という王道的展開で始まりました!
※健康兄弟
両親が共働きでほとんど祖父に育てられた。そのため、健康にうるさく、酒・たばこは一切しない。朝は五時起きでラジオ体操、朝食はきっちり食べた後カツアゲにでかける。夜は九時に寝るので夜遊びは絶対にしない。声は生まれつき。
設定考えて楽しかった。また登場するかも。約束は守るやつらだから。




