表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/50

食うに食えない非常食 6

10/27 一部加筆修正





 怖いかと聞かれましたら、とても恐ろしいです。自分より大きなものを本能的に畏れるのは、イキモノとして当然のことです。

 ですが、わたしの気持ちとしては――


「……恐ろしいだろう」


 いえ? そんなことはございません。


 確かに非常食ですし、攫われましたが。


 狼から助けていただきました。宝石も頂きました。

 まだ生かしていただいていますし、いつか空を飛ばせてくれるとも。


 いい事が悪い事よりとても多いです。

 わたしは単純ですので、それだけで好ましく思ってしまうのです。


 わたしよりも、ドラゴン様。


「……何、」


 ――何がそんなに、恐ろしいのです?





 ……なんか視界が悪いですね。


 わたしは単純に、命の危険に恐怖していました。とはいえそれは、歩み寄り、友好関係を築くことでいつしか消えてしまうようなもの。

 ドラゴンさんは、そういうものではなく、何か別のものを恐れている。


 怖いだろうと凄みながらも、何か矛盾があるように思えて仕方が無く。

 ……なんだかとても気になって。


 どこか温かで包み込むようだった魔力が、びきりと変異する音が聞こえる。

 どくりと血が沸く。魔生物の本能が危険だと告げているのに、もうどうにもならないくらいに攻撃的な状態に変わった魔力は、動きすら阻む。


 なにか、逆鱗に触れてしまったらしいと、ぼんやり後悔する。

 直後、一際強い痛みに意識を手放した。


 本当に阿呆ですね、わたし。

 思ったからといって口に出してはならないことというのも、あるのでしょうに。

 ……ああ、本当に、








「……っおい……おい!」


 うにゃう、……なぅ?


 全身が痛い上になにやらケイレンしているような気がするのですが、わたし、ついにぱくりと頂かれてしまいましたか? 目の前が真っ赤なのは胃の中だからですかね? あれ?

 ……胃の中でも会話はできるのでしょうか。うにゃん? なんですかね、なんか、体が生温かいですね、どろっとして。なんか、あれ、あれ、やっぱり胃ですか?


「阿呆! 喰わんと、言っただろうがっ……死ぬなっ! くそっ、……おい!!」


 死ぬ……?

 ……あの、ドラゴン様。わたし何か物凄い鬼畜発言でもしましたか?


 ……どうしてそんな、泣きそうな声を?







2222年事件


2222年2月22日、世界各地で突如発生した魔生物による攻撃、また魔生物の発見などを総称して2222年事件と呼ぶ。

この事件により15の国が地図から姿を消した。


この事件から魔生物が実在のものであると広く認知され、またその危険性に対する対策も開始した。

既に読み解かれていた文献などの再研究も始まり、結果、魔生物は古代より存在していたというのが公式の見解となった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ