Hello,Baby? 2
えーとですね。
魔生物の生殖に必要なのは、魔力と体の一部です。
材料を混ぜ合わせるだけ! と、混ぜると色の変わる某最初も最後も“ね”の子供向けお菓子並に簡単に見える手順ですが、これがなかなか難しいところ。
何せ、魔力の違う者同士が全く同じ量の魔力を出さなきゃいけないのです。
巨人と小人が同じ力で押し合いっこするようなものですからね! 無理! いえ、不可能を可能にするのが夫婦ってものですよね!
そういう訳で、わたしとラオムさんは軽く数週間は掛かりました。いやあ、大変でしたね。
スピンさんとマデルさんも先日お子さんが出来たそうですが、あっちは五分くらいでできたそうですし! ……元々魔力の操作に秀でているのかもしれませんけども。
とにかく、混ぜ合わせたものを固形化すると型に嵌めたかのように卵型になります。
……いろいろ謎ですが、まあそういうものと納得しておきましょう。
卵は上の方がピンク、下にいくにつれて黒になるグラデーションになっています。両親の魔力によって色に影響が出る訳ですね。
アポ●チョコじみたカラーリングの卵は、石の台座の上で沈黙を保ったまま。
いつ生まれますかねーとドキドキわくわくし始めて、はや50日。
孵化までの期間はまちまちな魔生物ですが、ドラゴンも猫もだいたい60日が目安とのことで……ああ、わたしの同種がつがいを持った例は無いそうなので(にゃんとまあ稀少なことで)、一般的な猫さんの妊娠期間を参考にしていますが、とりあえずあと10日で孵る、かもしれません。
同系統同士ならだいたいの事は分かるんですが、いかんせんわたしとラオムさんって百八十度違いますしね。
わたしにはよく分かりませんが、孵化までの期間が半分ほど過ぎた頃には薄らと意識があるそうです。
でも殻は固いようで、こつこつ叩いても反応は無いですね。
ちなみに、生まれた後の最初の養分になるのもこの卵です。いえ、卵の中で魔力を吸っているそうなんですが、固形物は卵の殻が始めてという事で。
まあ自然界ではよくある事ですよね。虫さんとか。
……で、その僅か数日後のこと。
「ふむ。どこに行ったか」
わたしとラオムさんの愛の証――珠のようなベイビーは、貴重な孵化シーンどころか産声すら聞いていないうちに、巣から消えていたのでした。
……に……にゃああぁぁぁぁぁああっ!!
~赤ちゃんはどこから来るの?~ 魔道連盟子作りマニュアル(1)
著者 ディール
インタビュー アンク
●第1回 老竜グランデ
「おいちゃん、正直な、思うんだけどな」
「えーなになに? 気になるぅ」
「おまえ生かす機会無いんじゃね?」
「……っ」
「おうおう、インタビュアーが逃げたぞー」
――インタビュー失敗。