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おてごろ物件、ふたりの新居 15





 尻尾の付け根に走る激痛、そして顔面をぶつけた痛みにに悲鳴を上げ、ラオムさんに駆け寄ろうとしたのを忘れ去ってゴロゴロ転がりまわって、慌てて寄ってきたラオムさんにべろんと顔を舐められて、ちょっと窒息しかけました。


 はー、はー、はぁ……と、とにかく、会えて嬉しっ……あれ!?


「あぶぶー」


 ラオムさんの、頭上にっ、何か!

 どうもわたしの尻尾を握って離さない不届き者に似た生物が、いるような、気がするんですが!


「……何だ? 虫か何かかと思っていたが、違うのか」


 虫!? そのサイズの虫はちょっと……無いような!

 赤ちゃんですよ、赤ちゃん。わたしの後ろでバブバブ言ってるのと同じイキモノです。人間なのか魔族なのかは不明ですが、白っぽい金髪に赤い目の愛らしいお子さんが乗っかってさっきから角をしゃぶってらっしゃるんですけど!


「そうか。ならとっとと喰ってしまえばよかったのだな」


 それはアウトおおおおおお!

 というか、こんなちまっこい子供食べても腹の足しにはならないと思います! あとで町でも襲撃しましょうっ、それで我慢してください!

 ……ああっ、なんかおかしな事を言ってる気がしてきましたけどっ!

 なんというか良心の呵責がですね……!


「……そこまで言うのなら、やめておく」


 よかったああぁぁっ!

 名もなき赤ちゃん、命拾いしましたねっ、うっかり一口で食べられるところでしたよ! 口の中って恐怖ですよ、なんかこうなまぬるい洞窟の中みたいでですね。

 ……じゃなくて、それはともかくっ。


 ラオムさんっ、何したんですか!?


「少し脅かしただけだ」


 少し!?


「うわあぁああぁぁあああん!」

「落ち着けって、落ち着け、おい、泣いてると頭から食われるぞ」

「やだああぁぁあぁぁぁっ」


 背後でコケていたマデルさんのつがいは未だに泣いてました。干乾びませんか!?

 どんだけ怖がらせたんでしょうか……いや、わたしも最初は本気でビビりましたが。

 というかむしろマデルさんが脅かしてませんか。


「それにしても――良かった。もしお前に何かあったら、そこの娘をうっかり食い殺していたかもしれんな」

「ひぃいいいやああああああ!!」


 そ、そういう事言うからビビられるんですってば!


 とりあえず必死に双方なだめて落ち着いて、自己紹介タイム。

 生贄ばりの神妙な顔で正座するマデルさん夫婦が気に掛かりますが、まあ、いいとして。


「の、ノッカーの、スピン……です」

「水の精霊の、マデルだ。……ころっ、殺すなら、2人1度にやってくれ!」


 だからやりませんってば!







ノッカー


鉱山の精霊。人間の前に出ず、どこからかコンコンと音を立てて良質の鉱脈を教えたり、落石を知らせたりするという。

鉱夫の姿をしているとされる。


本来の伝説では男性型だが、魔生物の場合は両方存在する。

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