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食うに食えない非常食 4







 くぁ、と欠伸をして伸びをして、いつものように気紛れに前足をぺろぺろ舐めたりして一通り朝の儀式を終えた後、ふと気づく。背中に触れているひんやりした感触――


 思わず悲鳴を上げそうになりました。


 いや、びっくりしますよ普通。目が覚めたら横にドラゴン様ってどういった寝起きドッキリでしょうか。ドッキリにしては性質が悪いですね。


「誰がどっきりだ」


 いえすいません強いて言うなら状況がです。

 そうでした、わたし非常食でした。あんな健気な誓いをしておいて忘れておりましたが非常食でした。所詮猫ですしね。魔生物ですけど。


 さて。現在地は……不明ですね。先程というか先日は南アメリカの方に居た筈なのですが、飛んでいる時は混乱しすぎて景色は見ておりませんでした。飛行機と違って下も見えますし、是非とも次があればじっくり見たいものですが。しかもわたし密航メインですから、大抵物置的なところにいますし余計見えません。

 ……いえ、次が来る前にドラゴン様のお腹の中ですかね。


「……その内。連れて飛んでやらんこともない」


 本当ですか! それは有り難いですね。

 冥土の土産にぴったりです。


「お前は……一々、死ぬ死ぬと言うな。鬱陶しい」


 申し訳ございませんです。いえ、いつ死ぬか分からないとついつい……つ、爪を向けないでください。先端恐怖症じゃないですが鋭すぎて怖いです!


「……餓えねば、喰わん。餓える予定もない」


 にゃう?


「猫1匹、足しにもならん。お前は最後だ」


 魔力はそれなりですから、お腹は膨れると思いますけど。味は不明ですが。


「……煩い。そんなに死にたいのか」


 いえそんな訳でもないですけれど!


 疲れたように黙り込んでしまわれたので、今日も宝物(ごはん)の山に突っ込んでみました。宝石も好きですが、金属類もなかなか美味しいのです。そう言う訳で、丸ごとおいしいティアラや装身具は好きです。

 朝食に、ティファニーかと思われる指輪を1つ。ティファニーで朝食を、ならぬティファニーが朝食。……こちらはハリー・ウィンストンでございますか。高級志向ですねー。


「銘など関係あるのか」


 食べる分には変わりませんが、やはり食べ物も綺麗な方が良いのです。人間も美味しく見えるように盛り付けをするでしょう? ああいう事です。

 なんとなくですが、洗練されたデザインのものを食べるのはいいですね。マモノ的本能と言いますか、完成されたものを崩す楽しみというアレですよ。破壊的衝動!


「分からんでもない」


 でしょう!

 どこから食べようかなとか色々考えてしまうのですが、どこから食べても美味しいのです。場所によってなんとなく違いますし。


「そうだな。眼を抉るか、足を千切るか。臓物などもいい」


 血生臭いです。


「煩い」


 すいませんでしただから爪を向けないでください!







ティエン(宝猫個体)


現在、宝猫で唯一確認されている個体。雌である。

危険度3、稀少度5、ランクSSS認定。捕獲履歴無し。

体色は薄いパールピンク(正確にはやや光沢を帯びたピンクホワイトに近い)、目はチェリーピンク。

能力、また数度の戦闘時のデータから危険度は3とされているが、魔生物としては格段に温厚で人懐こく、各地の都市部にもよく現れる。

しかし捕獲部隊等の接近を許した事は無く、危機感知に長けているようである。

移動方法は不明だが、世界各地に目撃情報がある。

2222事件時の目撃場所は中国。ティエンは「甘い」の意。

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