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おてごろ物件、ふたりの新居 10








 銜えていた時より、何故か小さく見える塊が、赤ちゃんの小さな喉を滑り降りるのが、確かに見えました。

 ごっくん、と。


 ……え、え、えええええええ!


 子育てにも子供にも縁はございませんが、流石にマズいという事はわかります。わかりますが、どうすりゃいいって言うんですか!

 慌てて飛び込んだら赤ちゃんの腹に激突した訳ですが、相変わらずのーてんきにきゃいきゃい言いつつ耳を捉まれました。わたしが能天気とか言えた事じゃないですけど!


「にゃーにゃ」


 ……し、仕方、ありません。

 何か体調が悪くなったら寝覚めが悪いですし……ううっ、結局面倒見るしか無いんですか、わたし。

 経過観察のため、とりあえず一晩は面倒を見よう、と覚悟を決めて、一夜の宿を探すためにわたし(プラス赤ちゃん)は歩き出したのでありました。



 ふっふっふーん、ふっふっふーん。

 二百年以上も昔の曲を歌いつつ歩いていると、後ろからてちてち付いてくる赤ちゃんも真似してあぶあぶ歌い始めます。器用ですね。


「あっぶっぶー」


 将来はいい歌手になれますよー。

 たぶん。


 ……それにしても、なんだかこの子、滅茶苦茶体力ありますね。

 わたしは全然疲れていませんが、赤ん坊に耐えられるような距離はとうに通り越したと思うんですけど……うにゃうん?

 まあ、いいです。背負って歩くのはぶっちゃけ無茶です。尻尾でぐるっと巻いて抱えるのも、長時間やると疲れます。

 これでも普通の猫と違って強い体してますから、多少は平気ですけどね。それに、ラオムさんの血を貰って、なんだか異様なほど強靭になりましたし。もうひ弱とは言わせませんよ! 


「あぶー」


 はいっ、何ですか!

 ……あ、ここいいですね、まあ登るのに一苦労かもしれませんけど。


 見上げるような大木に、ちょうどよさげな洞を発見したようで。この子わたしより周りに気を配れてませんか……いや、気のせい、気のせいです。

 一応1度上ってみて、何もいないことを確認――している途中に赤ちゃんがよじよじと上ってきたので、いろいろ諦めました、もう。


 危ないですからちょっと待ってくださいね。もし底がなかったら――


 え?


「あぶぁっ!」


 ……落ちっ――にゃあああああああああああっ!!

 もおぉぉぉっ、何で1日に何度も叫ぶ破目になるんですかっ、わたしはああああ!








魔連・人間子育てマニュアルより


質問14 赤ん坊が物を飲み込んでしまった。どうしよう?


人間の赤ん坊は好奇心旺盛で、何でも飲み込もうとします。乱暴な対処をすると喉に詰まらせて簡単に死んでしまうのが人間という生物なので、基本的には迷わず医療部門に駆け込むのが正解です。

ただし、物によっては対処法が違います。水を飲ませる、牛乳を飲ませる、吐かせる、など。これらについては39ページで説明しています。

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