表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/50

おてごろ物件、ふたりの新居 8







 まず口を塞ぐように杭を上から突き刺します。でぇいっ!

 ちなみに自分の魔力から作ったものは、魔力の中なら自由に動かせます。あれです、火の玉とか浮かせてる人たちがいらっしゃいますよね? あれもこういう原理です。


「にゃーにゃぁ、おぅお」


 ……何歌ってるんですか?


 動きを止めて苦しみ始めたティラノさんの足あたりを狙って叩き込みます。もんどりうって転ぶと、地面が揺れるほどの重量感。

 ……い、今更ながらちょっと怖くなってきましたね。ぷちっと逝きますよ、ぷちっと。

 杭を再び魔力に戻すと、血をどくどくと噴き出しながらもティラノさんはよろりと起き上がり、ボクサーのように闘志に満ちた目で睨み付け、再びこちらに向かってきます。


「ぎゃーぅ! にゃにゃっ、ぎゃおううっ」


 落ち着いてください、大丈夫ですから。

 というかこんな場所に1人で居られるくせに怖がりですか!? しかも全裸なのに!


 わたしは長く太い杭を作り出し、真っ直ぐに先端を向けます。えーとだいたい2メートル超くらいの巨大な杭ですね。うっかりしてわたしの上に落下してきたら即死ですよ!


 どこかスローモーションに、がぱりと開かれる口。鋭い牙はラオムさんを想起させ、なんだかちょっと恋しくなってきたなあと思いつつ、しっかりと気合を入れます。


 大丈夫、大丈夫いける絶対いけます! 目標をセンターに入れてっ、とりゃあああ!


「……アグァッ」


 ど真ん中いきましたああっ! 今ならアーチェリーとかでメダル取れる気がします!


 前傾姿勢だったせいかこちらに倒れこんできたので、急いで退避します。

 いやー、ベタですかね。わたしは非力なので急所狙いがベストですし、よく使う手ですけど。

 今度こそ脳をぶち抜かれて倒れたティラノさんは、ピクピクしながら呻いています。

 息の根を止めないと後で怖いので、上からまた数本の杭を突き刺しておきました。


「……うーっ、あう! おぁぅぅ?」


 だから、猫語でOKですってば。

 わたしのかっこいい姿への賛辞ですか? え、違う?


「にゃうぁっ! にゃーにゃっ、あううっ」


 なんか叱られてる気がしますね……なんででしょう。

 とりあえず、ティラノさんから戦利品を頂きますか。


 魔獣の体内には力を増すための装置や術式、それを動かす魔石が仕込まれている事が多々あります。擬似的に魔法術を発動させる事もできます。……主に、宝探し的なお遊びのためにですが。

 いかんせん魔生物は血の気が多いですから、宝探しもほとんど狩りみたいなものです。逃げる魔獣の体内から魔石を見つけたら勝ちとか、割ととんでもない遊びが流行りますし。

 恐竜を合成したエセ竜を作って集団で武器構えて狩るゲームとか、もう世界大会開いちゃう域ですからね。惜しむらくは地上を使いにくいことですか。基本人型で、色々とやりくりしながら制限して戦うのが楽しいみたいです。


 赤ちゃんを下ろして、ティラノさん(故)の背中に飛び乗ります。……何で今は離してくれるんですかね? このまま逃げましょうか。いえ、しませんけど。

 それから杭を全て魔力に戻し、ケーキナイフのような長く薄い刃物を作り出し、ついでに手早く切断の魔法術を作って、ナイフに貼り付けていきます。


 ケーキ入刀!

 とくだらない事を考えつつ、まず首からすぱーんと落としました。

 魔力は薄いですが、心臓付近に…………ん?






魔獣


いわゆるクローンや合成獣キメラ、また化石などから再現した生物の総称。

魔石と魔法術を仕込み、擬似的に魔力を使用できるようにしたものも多い。


恐竜などを組み合わせて作った偽竜フェイク・ドラゴンを使った狩猟ゲームは昔から行われている。

基本的に人型になって行い、対象から取った素材から武器を作成したり、ゲーム内通貨と交換してアイテムと交換したりする。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ