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おてごろ物件、ふたりの新居 7








 ゆっくりと先導して歩き始めると、赤ちゃんはわたしの真似でもするような四足歩行でよちよちと着いてきます。ハイハイ、と言うんでしたっけ。

 すいません、ちょっと面白いです、人間の赤ん坊。

 それにしても、わたしは気にしないんですが、全裸ですねこの子。人間って服着るものですよね? うーん。捨てるにしても、全裸で捨てるなんてあまりにも酷くないですか?


「にゃにゃあ?」


 はいはい、なんですか。


「がーぉ」


 ……猫語でOKなんですが、えーと、何ですか?


「がぅおっ! にゃーにゃ、がぅお、あーぃ」


 は、い?


 全く理解できないのですが、赤ちゃんが小さな指で一点を指差した先を見ると――


「にゃにゃ!」


 ……うにゃぁあああああああああっ!!


 悲鳴を上げ、尻尾に力を入れて赤ちゃんをぐるんと巻くように抱えて飛びのくと、目の前でがちんと鋭い牙が噛みあわされて、ひいっ、怖いっ! デジャヴが!

 ラオムさんとは似て非なる、あまりツヤのない鱗に覆われた、獰猛な姿。


「グオオォォォァアアアアアアッ!」


 てぃ、てぃ、てぃらのっ、ティラノサウルスううううううっ!!?

 まっ、まっ、待っ、何ですかそれっ、ギアナ高地がロストワールドの元ネタだからですか!?

 ドイル先生リスペクトですか!


「ふゃっ」


 泣、泣かないでくださいよこんな時にっ!


 というか魔獣ですよね、まさか本気で恐竜が生き残ってるんじゃないですよねっ!

 誰ですかこんな所に放ったお馬鹿さんはああああっ!


 ――あっ、ちなみに魔獣っていうのはわたしたちが(主に興味本位で)再生した古代の生物やら、合成獣キメラやら、の総称です。実験生物というか、人工生命体というか。

 知性を持つ魔獣は面倒なのであまり居ませんねっ!


 わたしはひとまず赤ちゃんを尻尾でぐるんと巻いたまま駆け出し、箱から取り出した小ぶりな魔石を舐めます。あ、ラオムさんのじゃなく、本部でもらえる黒い魔石です。この前の時はこれすら使いきってましたね。

 これは非常用として配布されていまして、5、6ミリの小さなタブレットですね。戦うなら今の魔力量じゃ心許ないですし。


 そして逃げながら、魔力を1メートルほどの長さの鉄の杭に変えて――うぇええいっ!


「グオオアッ!?」


 もう同じ轍は踏みません――全身全霊、フルパワーでぼっこぼこにしてさしあげましょう!









緊急回復用魔力タブレット


気分を出すために錠剤型で配布されている魔石。緊急用。

かなり濃縮してある。魔力量に合わせてサイズは様々。

5錠までは無料で貰えるが、それ以上は何らかの見返りが必要。

希望すれば自分の魔力で作ってもらう事もできる。


これとは別に液体のものもあるが、こちらはポーションと呼ぶ。


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