健康第一、モンスタードック 終
「片方に出る場合もあれば、両方に出る場合もあるし、両方出ないのが大多数なんだけどね。まあ一応、君たちは特殊なケースっぽいしね。説明しておこうと」
と締めくくり、説明は一応終わりという事になりました。
……ですが、正直なところあまりピンと来ないですね。例えばどんな力なんですか?
「……やたら的中する占いとか、明日の天気が秒単位で正確に分かるとか、周囲数キロ内の生物の数を当てられるとか、歩いてるだけで水脈を当てられるとか」
……ギリギリ勘とも言えなくないのではないでしょうか!
「まあそうなんだけど……あと、空調として最適な温度に限って風を発生させられるなんてのもあったかな。本当に謎なんだよね」
便利といえば便利ですが、こう、すごい微妙な感じありますよね!
「それを言われるとね……まあ、何か出たら連絡をね」
「……話は終わりか?」
「ちょっ、聞いてたの!? ねえ! ちゃんと聞いてた!?」
本当に仲が良いですねー。
ちょっぴりジェラシーですよ!
「うわああまた何かとばっちりの来そうな事を!」
「ティエラ……! こんな奴に嫉妬する事は無い」
「冷たい! ラオム冷たい!」
……後ろで長老さんが微笑ましそうな顔で見てました。若さっていいですね、まあわたしよりお二方とも年上ですが!
そういう訳で、今回の健康診断を終え、わたし達は転移で元の場所に帰りました。
帰りはゲートではなくその場から転移しました。体を縮めるための補助具もしっかり貰ってきています。
そういえば、新しい巣を探さなければいけませんね。
「そうだな。……どこにするか」
うーん、やっぱり見晴らしのいい所ですか。……でも、ここもなかなかの立地ですよね。まあ高すぎて落ちたら即死かなーとは思いますが!
でも、ラオムさんが選ぶならどこだっていいですよ。
「お前もちゃんと意見を出せ。お互いに好ましい場所でなければ、意味が無い」
うーん、そうですね……でもわたし、ラオムさんが居ればどこでもいいです!
ええ、ラオムさんさえ居れば廃墟だろうと宮殿レベルですよ!
「……そうか。まあ、それもそうだ」
でしょう!
そういう訳で、健康診断を終えまして。
ひとまず安心したことですし、暫くはらぶらぶなつがい生活を送るために巣を探したり色々とする事になりそうです。
でも、突き詰めればどんな状況でもラブラブできますよ!
つがいとはそういうものだと、本能的に分かる気がします。多分、戦場だろうと日常だろうと、あるいは今際の際だろうと、変わらずこうなのでしょう。
だからこそそれが失われる時、共に命を絶つ魔生物が多いのです。
なにはともあれ。
隣につがいさえ居れば、世の魔生物はみんな幸せなのでありました。
つがいについて、とある魔物は言った。
「つがいとは魂の片割れである」
更にそのつがいの言葉。
「つがいこそ我が魂である」
捉え方は様々であるが、いずれにしろつがいとは必要不可欠であり唯一無二の伴侶である。
我々は、ここまで想える相手を持てる幸福に感謝せねばならない。
――とある魔生物の心理学者の著書より。
◆
という訳で第二章おしまいです。
途中から上げる日に書く状態で……見切り発車って怖い。
あまり今回いちゃついてませんが、次は甘くする予定。
設定を出すのが楽しくてしょうがないです。はいはい設定厨
えー、書き溜めするので数日から数週間ほど休憩を入れますが、どうぞ見捨てないでください……ストックが溜まったらまた毎日更新再開します。
その日にかき上げてアップだと行き当たりばったりで大分苦労するなと痛感しました。
次更新では別のキャラの話を挟むかもしれません。予定は未定。
ではまた!