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健康第一、モンスタードック 8










 なんとかこうとか口から頭の上に場所を変更して頂いて、むしろ更に変な目で見られながら本部内を歩いていきます。

 行き先は……えーと、最下層です。コキュートスと名付けられたそのフロアは、なんと魔石の川が流れ……てはいませんが、川のように魔石がある場所です。

 凍った黒い川、と言い表すのが正しいでしょうか。元ネタであるコキュートスはギリシア神話やダンテの小説“神曲”に登場する、嘆きの川を意味する名称です。ルシファー氏が裏切り者たちをはむはむ噛んでいるというあの場所ですね!


 わたしのお仕事――というかボランティアでございますが、鉱物に魔力を変換できるタイプの方というのはなかなか稀少ですので、お役に立たせていただいております。

 魔石管理者として、年に1度はメンテナンスしてますよ!

 

「……離れたら?」

 えー。

 

「いや、作業できないんじゃ」

「問題ない」


「……もういいや……あああ、いいなああーつがい、僕も欲しいなー」


 と言う訳で、ラブラブっぷりに当てられてふらふらと去っていくアンクさんを見送りつつ、魔力受信端末を口に咥えます。球形の、棒付きの飴に似た形のそれは、棒の部分で魔力を受け取り、球体部分に溜め込む装置です。舐めてれば魔力が勝手に供給されます。

 ただし効果があるのは本部内だけですし、持ち出しは厳禁。善意の皆様の魔力をお借りしていますので、それなりに厳重に管理されるべきアイテム……なのですが、良いんですかねアンクさん、普通に出て行きましたが。

 

「職務放棄か。そのまま首にされればいい」


 それはちょっと可哀想ではないですかね!



 入り口の扉からかくんと曲がり、四角いフロアの壁に沿ってカクカクとした渦巻きを描く黒い川。それが行き着く中心部には、一際巨大で、そして美しい魔石があります。

 天井まで伸びる木の幹の前に、水瓶を傾ける乙女の姿。先代管理者のつがいを模したと聞きますが、とても美しいです!

 ちなみにこれの造形は管理者に一任されていますから、わたしが自由にしていいわけですね!

 

「……ここは、始めて来たが。なかなかの像だな」


 普通は来ませんしね。まあ、動力室のようなところですから。……でも隠れ絶景スポットですよね、ここ。神秘的で素晴らしいと思います!

 

「そうだな」


 また来ましょうね!

 ……健康診断もちゃんと受けましょうね!


「……」


 何でそこで黙るんですか!? 来ましょうよ!


「来るだけならな」


 にゃあああぁぁ!

 


 じゃれあいながら作業を進め、ようやく終わったあたりでアンクさんがふらふらと帰ってきました。あれ、酔ってますか……?


「はい、受信機……あ、柱、変えたんだー」


 はい! どうですかね? なかなか力作なんですが!

 

「うん、すごくいいと……うん。愛的なアレを感じるよね、はいはいエロスエロス」


 なんか馬鹿にしてますね!?



 でも、あの像は一生モノですよ。なんといってもモデルは、ラオムさんですから!

 鱗の1枚1枚まで細かに再現、スケールは残念ながら小さめですが天に向かって咆哮するシルエットの美しさ! 喉元とか最高ですね我ながらっ! 尻尾の撓り具合ですとか、爪の輝き、随所痒い所に手が届くような本気の造形で――

 

「落ち着け」


 はにゃい!








コキュートス


総本部の最下層にある、魔石の保管庫兼動力室。

電力等の代わりとして魔力を採用している。魔石の生産力が高い者が魔石管理者として、年に数度メンテナンスや補充を行う。

魔力そのものは各魔生物から集めている。とはいえ義務ではなく各自の良心に委ねられている。


魔石柱

大樹ユグドラシル直下にあり、その根とも言える魔石の柱。

代々の管理者に造形が委ねられるため、個性が出る。

天井と床を貫き、上部に数本の太いコードが繋がっている。

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