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食うに食えない非常食 2






 非常食になりましたがわたしは元気です。どうもティエラです!


 現在、ごろごろと転がった大量の宝石に埋もれております幸せです。

 鉱物が、特に宝石があればわたしは幸せです。ええ、我が生涯に一片の悔い無しです。

 思わずふにゃーとにやけていると、ドラゴン様の視線が。


「……」


 無言。えー現在、無言で見つめられています。そんなに見つめられてもわたしの肉が柔らかくなる訳でもございませんし、わたし、肉付きよくないので美味しくないですよ多分。


「今はいらん」


 どうやら今は満腹なご様子です。よかったです。

 わたしは逆に、走りすぎて空腹です。死にそうです。……あの、ドラゴン様。


「何だ」


 これ、食べても……よろしいでしょうか。


 わたしが右前足で指したのは、きらきらと輝く宝石。比較的疵のついた、価値の低いものを選んで、金色の綺麗なお皿に乗せてあります。


「……食うのか? それを?」


 わたし、鉱物が主食なんです。特に宝石類が好きです!


「構わん。……そうか、そういうものだったな」


 ありがとうございます!


 わたしは最初に、傷だらけになっているエメラルドをぺろりと舐めました。翠玉はとろりと溶けてわたしの舌を楽しませてくれます。歯は退化しそうですが美味しいものは美味しいのです。

 ドラゴン様のお家は、まさにわたしにとって天国です。むしろ楽園です。理想郷です!


「美味いのか」


 とても!


 魔生物(魔物と魔族の総称)は基本的に、自分以外なら何でも食べられます。何食べても魔力になりますしね。

 しかしながら、魔力を吸収しやすい食べ物というものがありまして。わたしのように鉱物などから得るタイプは少数派ですが。他は肉や魚、あるいは植物などなど。

 ドラゴン様は肉食タイプの大御所様ですね。


 ところで、やっぱり人肉がお好きですか?


「……人も美味いが。やはり、子羊などが好きだな」


 ふむふむ、ラム肉。では尚更わたしの肉など、不味いと思いますけれど。


「非常食の味などどうでもいい」


 そうですね。本気で空腹でしたら味なんて気にしませんよね。ぜひとも香辛料振りたくって頂いてください。あの、ほんと……や、優しくしてくださいね。


「……」


 いやあのそんな胡乱げな目で見なくても!







――とある百科事典より


鉱食こうしょく


鉱物を食すること。鉱物食とも。肉食や草食と対比し、略した名称が定着した。

消化のため等の目的でなく、鉱物を主食とし、消化可能である場合のみを示す。


基本的に魔生物の食形態である。例を挙げると、宝猫は宝石を好んで食する。舐め溶かして食べているようであるが詳細は不明。

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