健康第一、モンスタードック 5
「……え、あれ何?」
「助けた方がいいの? いや、違うか。親子……はどう見ても違うけど」
「…………つがい?」
「「「それは無いだろ」」」
あります……。
と言うわけで、何故か首根っこを咥えられて移動しているティエラ775歳。乙女です。
何故こうなったのかと言うと、アンクさんの所に駆け寄ったのがお気に召さなかったらしいです。気分はドナドナですが、うっかりすると本気で首が千切れるので大人しくしております。
「こっちこっち。いやー、随分変わったでしょ」
「そうだな」
そりゃ千年も来てなければ変わりますよ……にゃああ!
突然の方向転換に尻尾をぴーんとさせて固まるわたしを他所に、ずんずんと廊下を進んでいきます。ひいいい、ちぎれる!
ドナドナされていく間、そこかしこから騒音が聞こえます。……何か、こっちに近づいているような気が……にゃあ?
ドガッ! ギュイイイィィィィィイ 「やめろおいっ、やめろってば!」 ィィイイイイン!
ガガガガガガガ 「ぎゃーーっ!! タンマタンマタンマ!」 ズガアアアン!
何してるんでしょうね! 気になりますけど近づきたくないタイプの音ですね!
「ああ、今実験してるんだよね、騒がしくてごめんねー」
何のですか!?
絶え間なく聞こえる悲鳴。死人は出ておられないようですが、非常に気になります。
巻き込まれたくはないですが!
「千年前と何も変わっていないな」
「技術力は上がったよ!」
あらぬ方向にですよね!
それにしても、社交性というか他人(他魔ですかね?)に興味の無さそうなラオムさんがちゃんと親しげにしておられるとはびっくりです。
やっぱりでっかい方とは仲良しですか!?
「……」
「僕は同期だからねー! まあ80歳くらい僕が上だけど!」
「全く親しくない」
「え? やだなあ、僕と君の仲じゃないか!」
なんか怪しいところですが、つがいであるからにはラオムさんの言葉を信じておきましょう。……いえ、でもラオムさんも素直でない方ですし……うにゃう。
下手な事を言うと噛み千切られそうですので、ここらへんでやめておきましょう。
そんな感じで進んでいくと、健康診断を行う部屋にようやくたどり着きました。
最後にちらっと後ろに見えた、ドリルの付いた何かに追いかけられる魔族さん方については、全力で見なかった事にしておきます。
ドリル付き魔力稼働車
掘削にも使われる。しかし魔法術や魔力の方が便利。
アンクは主に迎撃用に研究を重ねているが、そもそも魔生物以外はたどり着ける筈もないので無用の長物である。
主に本部内の魔族や魔物が追い掛け回されている。