09. 熱い滾り(たぎり)
愛する妻が親友とデートをする……
一般的にも常識的にもあり得ない、
考えられないことですが、そのことが現実に起きてしまいそうなことに、私は不安を覚えていました。
しかもそれを始めるも止めるも、私次第ということになっているのです。
が、正直に言うと、不安に思うことで、アダルトサイトや成人サイトに掲載されている、寝取られ物語の主人公にでもなれるような気がしていたのです。
これまで 寝取られの話なんて、遠い世界の話、私にはまったく縁のない話、
愛する妻がほかの男と だなんて、私にとっては刺激にはなっても現実的ではない話。
しかしそれが今、曲がりなりにも、私が主人公になれる“チャンス”が目の前にあるのです。
実はもっともっと心理的に不安になることが、「これぞ寝取られの醍醐味」
のように感じられていたのは、タクシーの適度な揺れによって、
ほど良く酔いがまわってきたからだけではありませんでした。
それどころか、だんだん頭が冴えてきたくらい、まだまだ私はシラフでしたから。
なによりも、久しぶりに滾る(たぎる)下半身の熱が、
私にこの考えを前向きにさせる後押しをしてくれていたのでした。
(これだ! これなんだよ! これしかないんだよ!)
嬉しくなった私は、タクシーの運転手に気づかれないように、
そっとズボンの上から自分のシンボルを握ってみると、たしかに硬さが感じられるくらいにはなっていました。
懐かしい感触、やっぱり私は男だったのです。
(単純やなー)
そう思って苦笑いを受けべながらも、
(これこそが寝取られ効果ということなんだな……)
と、私は前向きに信じるしかなかったのです。




