29. 思わぬ出来事
当時、私からすれば、思いつきから始めた、私欲にまみれた、とても安易で歪んだ
ド素人の企みですから、そんなにスラスラと、事が進むはずはないと思っていました。
だから、良い意味で、この「思わぬ出来事」が私としては、冷静に頭を冷やして見つめ直すことができた期間だったような気がします。
それにこんなレベルの企画では、成人小説サイトへのご投稿者様のような、大胆で、エロティックで、気持ちが熱く昂り、興奮をさせてもらえるような出来事には、到底及ばない、と悟ったのも この時でした。
そのように思うと、私なんかような小心者で臆病者は、大胆ではなくても、規模は小さくても、狭い世界、つまり知っている者同士の身内で、仲良くコソコソして、何かあれば いつでもやめることができる、くらいの企画で丁度良いと思ったのでした。
あ、話を戻します。
ちなみに、その「思わぬ出来事」というのは、幸美の父親(私にとっての義父)がご逝去されたこと、これが週明けの水曜日でした。
あと数日で、初めてのデートごっこだったのですが、さすがに こればっかりは、ということで鈴木にもすぐにメールで中止の旨を伝えました。
義息にあたる私も、会社を休んだりして、それなりにバタバタとはしましたが、当然ながら幸美も、実家に帰って母親に寄り添ったり、もちろん葬儀(家族葬)の手配や手続きなど とにかく慌ただしくしていました。
救いだったのは、幸美や義母、義弟ともに、義父が長期にわたるの闘病だったこともあって、ある程度の心の準備ができていたことや、義弟一家が親御さんと実家に同居をしているので、以後のこと、特に義母のことについての心配も、そこまでしなくても良い ということでした。
そうは言っても、このタイミングで、私からは、さすがに「例の件はどうしようか?」などの話を、幸美には切り出すわけにもいかなかったのです。
あたりまえ! ですよね……
が、とても不謹慎ながら幸美について、いつもと違った一コマに触れたことで、私の欲情はむしろ活気づいたのでした。




