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26. 半日だけ

「まぁ、何度も言うように、トシが元気になってくれるのを願って、って感じやな」


私はあくまでも鈴木を立てることから、幸美の説得を試み、理解を促すのでした。


「んーー…… ホントにそれで鈴木さんは……」


幸美が言い終わる前に私が言葉を被せました。


「そうすることで、オレにも刺激が伝わるはずやし…… 期待してまっせ!(笑)」


「もぉ! んーー!」と幸代もどのように答えてよいのか困っていました。


更に私が続けて、


「1週間か2週間ごとに、たった半日だけの割り切りやし、楽勝やろ? 」


「あっ、それ! そうそう さっきも昨日も、トオサン 言ってたけど、ホントに半日だけで良い?」


幸美にしてみれば、朝出発してランチとディナーの2食、最後は たとえば夜景を観て、というガッツリ組まれた一日コースこそ、いわゆる「デート」だと思っていた、とのことでした。


幸美曰く、そういうのは、絶対に変だし、さすがにお互いが気も遣うし、まかり間違って おかしなことにもなりかねない、と。

だから何度となく私が口にしていた「半日」という時間は、幸美自身の気持ちが楽になるということからも、もう一度、はっきりと確認をしたかった、ということでした。


正直 私も、鈴木に話していた 「気楽に、気軽に、気さくに、気遣いのない」設定を考えると、半日程度のデート「ごっこ」で十分で、いわゆる デートをさせるのは怖かったのです。

いや、私自身が怖かったのもありますが、おそらく最初の段階から鈴木も幸美もこの話に乗ってこないと思っていました。


結局、この時は夕食の準備があるからと、幸美が切り上げて、一旦はお開きになりました。


幸美から最終合意までは得られませんでしたが、


「たった半日くらいなら…… うん、まぁ……」


胸の中にたまっていた息を吐いて、幸美はまるで自分自身に言い聞かせるかのように呟いた後、ソファーから立ち上がったのでした。


その日はこの後 この話題に触れることなく、かといってこの話題を避けているようなぎこちなさもなく、いつもように土曜日の午後からの夜を淡々と過ごしたのでした。


伝えるのが難しいのですが、こうして書き物にすれば、これまでのことは家庭生活の中での占める割合も高そうですが、私はそうであっても、幸美にとっては、たった「半日」、ということが効いたのか、彼女はそこまでウェイトの高い深刻な話でもないと、感じていたように、私には見えました。

(実際、幸美はどう感じていたのかは、私からはわかりませんでしたが……)


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