19. 拍子抜け
発信ボタンを押したものの、無情にも? 留守電のアナウンスが流れてきました。
勢いが削がれた気がして、どこか空しい気持ちになりました。
私は、幸美がOKしたことを録音してまで伝えることもないと思い、アナウンス途中でスマホを切ったことを覚えています。
私としては、鈴木のほうから、あの話どうなった? と問われるほうが話しやすいし、なおかつ、優位にこの話をすすめることができると思ったからです。
ただ気になるのは、鈴木が断ってくることでした。
彼は彼で 一晩越えれば、気持ちがリセットされることもあるだろうし、まして酒の席のことですから。
もし私が逆の立場だったら、人様の しかも親友の奥さんとデートをさせてくれる話に、YES? それともNO? いろいろ頭を巡らせていました。
これまでの流れに乗ったとして、みなさんが鈴木の立場だったらいかがですか?
では、鈴木から「お断り」があった場合、私はどうすれば?
私は鈴木が断ってきたときにそれを覆してまで、この企画を推し進めていく理由付けが見当たらなかったのです。
お前(鈴木)のためだ、たのむからデートしてくれ、なんて言えないし、
俺のED回復のために協力をしてくれ、これは絶対に言えません。
そこまでして? ということで、それならそれで仕方がないと。
正直、この時は、あらぬ妄想を含めて、ここまで自分の気持ちが揺れる出来事が体験できたことで満足するしかないよな、と無理にでも納得しようとしていました。
気がつくと、窓から差し込んでいた日の光がいつのまにか薄暗くなり、大粒の雨が音を立てて降り始めていたのでした。




